Trigonaランサムウェアは、2022年10月頃から流行し始めた比較的新しいランサムウェアです。
Trigonaランサムウェアに感染すると、ファイルの拡張子に「._locked」が追加され、ファイルが「暗号化」されます。
本記事では、Trigonaランサムウェアの特徴を紹介し、感染した場合の被害や感染経路、対処方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
Trigonaランサムウェア(._locked)の特徴
Trigonaランサムウェアは、2022年10月ごろに報告されたもので、比較的新しいランサムウェアです。Trigonaとは、もともとの意味では、刺針の退化したハリナシミツバチ属のことを指します。二重恐喝手法で身代金の要求を行うランサムウェアです。
Trigonaランサムウェアの主な特徴は以下のようなものがあります。
- TrigonaランサムウェアはCryLockランサムウェアから派生
- Trigonaランサムウェアを利用した政府や金融機関への攻撃が増加
- 未だ謎が多いランサムウェア(Trigona)
また、ランサムウェアについては以下の記事でも説明していますので是非参考にしてください。
TrigonaランサムウェアはCryLockランサムウェアから派生
Trigonaランサムウェアは、CryLockランサムウェアから派生したものと言われています。二つのランサムウェアの類似点は以下の通りです。
- 二重恐喝手法を用いて身代金を要求する点
- 身代金の受け渡しの際に匿名性を重視している点
ただし、CryLockランサムウェアは復号化ツールでデータを復号化できる可能性がありますが、Trigonaランサムウェアは現状復号化ツールが開発されていないため、同じ方法では対処できないので注意しましょう。
Trigonaランサムウェアを利用した政府や金融機関への攻撃が増加
2022年10月にTrigonaランサムウェアの存在が発表されてから2か月経った同年12月には、被害が発生している企業は増え続けています。
Trigonaランサムウェアは政府や金融機関などの大規模な組織をターゲットとしています。他にも、製造・建設・農業などの業種で被害が発生しています。有名なランサムウェアと比較して研究が進んでいないことから、対処できずに身代金を支払ってしまう企業もあります。
未だ謎が多いランサムウェア
Trigonaランサムウェアは比較的新しい種類というのもあり、謎が多いランサムウェアと言われています。詳細が判明していないのは、以下の理由があります。
- 認知が広がっていないため、調査・解析が進んでいない
- 感染経路が正確に特定できていない
- 暗号化がほかのランサムウェアと比較してまれな方法を用いている
感染経路が解明されていないため、対策を設けるのが難しいのが特徴です。現状では復号化ソフトでTrigonaランサムウェアで暗号化されたデータを復号化することが難しいため、大規模な組織程身代金を払ってしまうようです。
ただし、調査専門業者によっては比較的新種のランサムウェアの感染調査も対応してもらえる可能性があります。デジタルデータフォレンジックでは、ランサムウェアに関する相談から調査まで対応可能ですので、まずはお問合せください。
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Trigonaランサムウェアに感染するとどうなる?
Trigonaランサムウェアに感染した時に発生する被害には以下のようなものがあります。
- ファイルを暗号化されデータにアクセスできなくなる
- ファイルの拡張子が「._locked」に変わる
- 二重恐喝される
- ランサムノート「how_to_decrypt.hta」が表示され身代金を要求される
- 情報が漏洩する/盗まれる
ファイルを暗号化されデータにアクセスできなくなる
Trigonaランサムウェアに感染すると、特定のフォルダーに保存しているデータ以外のすべてのデータを暗号化します。
データが暗号化されると、データを読み込むことができないため、ツールなどを用いて復号する必要があります。ただ、Trigonaランサムウェアの復号化ツールは現状存在していないため、自力で対処することは難しいです。
ファイルの拡張子が「._locked」に変わる
Trigonaランサムウェアは、感染したファイルの拡張子を変更します。Trigonaランサムウェアで追加される主な拡張子は「._locked」です。これによりファイルが正常に開けなくなります。ファイル名は、「ファイル名._locked」に変更されます。
二重恐喝される
二重恐喝型ランサムェアとは、ランサムウェアを使ってより多くの金銭を奪い取ることを目的とした攻撃手法です。身代金を一度支払った後に、次は盗み出したデータ自体を公開するという内容の強迫でもう一度身代金を要求する手法です。
Trigonaランサムウェアに感染すると、被害者は二重の脅迫に直面する可能性があるだけでなく、脅迫が繰り返される可能性があります。身代金を支払っても復号化される保証はないので、絶対に支払わないようにしてください。
ランサムノート「how_to_decrypt.hta」が表示され身代金を要求される
出典:pcrisk.com
Trigonaランサムウェアは感染すると、以下を含むメモが作成されます。
- Trigonaランサムウェアの攻撃に関する情報
- Torへのリンク・ログインキー
- ランサムノート「how_to_decrypt.hta」とサポートチャット
Trigonaランサムウェアは感染すると、「Tor」を経由したランサムノート「how_to_decrypt.hta」が表示されます。Torとはウェブサイトの一種で、匿名性を保ちながら通常のウェブサイトでは入手できない商品やサービスを販売しています。Torを利用した身代金の要求の手法も1つの特徴で、匿名性がある分出所を追跡することが不可能です。
Torを経由したランサムノート「how_to_decrypt.hta」が表示されると、攻撃者との交渉を行うためのサポートチャットも表示されます。身代金が支払われるとファイルの復号化に使用される復号化ツールへのリンクと復号化ツール用のキーを受け取り、暗号化されたデータを復号化することができるという仕組みです。
指示に従って身代金を支払ったとしても、データが復号化される保証はないので、絶対に支払わないようにしてください。他の身代金を支払うリスクについては以下の記事で紹介しています。
社内の情報が漏洩する/盗まれる
Trigonaランサムウェアはそもそも感染したシステムからデータを暗号化するために盗み出します。データが盗まれた際に、盗み出した情報を漏洩させたり、ダークウェブなどの闇サイトで売買される可能性があります。
機密情報や個人情報が漏えいした場合、組織は個人情報保護法に違反したとして罰金を科せられます。個人情報保護法では「個人情報を取り扱う事業者に対して、個人情報の漏えいなどの事態が発生した場合、当該個人情報の本人に対して通知すること」を義務付けているため、事実を調査して各方面へ通知することが必須になります。
条項に違反し、措置命令を無視した場合、組織は最大で1億円の罰金を科せられる可能性があります。また、顧客が組織との取引を停止するなど、信頼損失による経済的被害をともなう場合もあります。
Trigonaランサムウェアの感染経路や、情報漏えいの有無を適切に把握するには、専門の調査機関での調査が必要です。ランサムウェアに感染した際は、一度調査の専門業者へ相談し、今後の対応を協議することをおすすめします。
Trigonaランサムウェアの感染経路
Trigonaランサムウェアに感染する原因としては次のものが挙げられます。
- フィッシングメールから感染
- ドライブバイダウンロードから感染
- エクスプロイト キットから感染
- リモートデスクトップやVPNから感染
感染経路の詳細は以下の記事でも紹介しているので是非参考にしてください。
フィッシングメールから感染
不正なマクロを含む電子メールをフィッシングメールといい、添付されている悪質なファイルをクリックすると、含まれているTrigonaランサムウェアに感染する可能性があります。
添付ファイルには、一般的にはOfficeドキュメントやPDFが使用されます。不正なマクロを含む添付ファイルを開くと、マクロが実行されてTrigonaランサムウェアがダウンロードされる恐れがあります。
ドライブバイダウンロードから感染
ドライブバイダウンロードとは、WEBブラウザなどを用いてユーザーに気付かれないようにソフトウェアなどをダウンロードさせる攻撃のことを指します。
脆弱性のあるWEBサイトや不正なメールに不正にアクセスし、悪意のあるソフトウェアを埋め込みます。WEBサイトや不正なメールにアクセスしたユーザーにTrigonaランサムウェアをダウンロードさせ、感染する危険があります。
エクスプロイトキットから感染
エクスプロイトとは、セキュリティの脆弱性を利用してコンピュータを攻撃するための具体的な手段を指します。エクスプロイトが実行されると、攻撃者は機器からデータの取得・コンピューターの制御・攻撃することが可能です。エクスプロイトキットはエクスプロイトに関する知識なしでエクスプロイトを用いた攻撃を可能にするもので、サイバー攻撃で一般的に利用されている攻撃手段です。
リモートデスクトップやVPNから感染
リモートデスクトップやVPNを使用して、社外から社内のネットワークへアクセスしている人も多いでしょう。
リモートデスクトップやVPNは、機器によって重大な脆弱性が報告されており、ランサムウェア感染の最大の要因となっています。
Trigonaランサムウェアに感染した時の事実調査はデジタル端末を解析する「フォレンジック調査」を行うことで解明することができます。VPNやRDPの脆弱性を突いたランサムウェアについては、下記で詳しく解説しています。
Trigonaランサムウェア感染時の対応
Trigonaランサムウェア感染時、誤った対応を取ると、再感染やデータ漏えいなどのインシデントに遭遇する恐れがあります。
よって過不足のないフローで適切な対応を取りましょう。 Trigonaランサムウェアに感染した場合の対処法は次のとおりです。
- 端末をオフラインにする
- バックアップから感染前のデータを復旧する
- ランサムウェア感染調査に対応した専門業者を利用する
ランサムウェア感染時、企業がとるべき対応については下記でも詳しく解説していますので是非参考にしてください。
①端末をオフラインにする
まずは、ネットワークから感染した端末を切り離す必要があります。これにより感染が広がることを防ぐことができます。
②リストアする(バックアップから感染前のデータを復旧する)
さらに、感染したサーバーのバックアップを確認し、最新のバックアップからデータを復元することができます(これをリストアと言います)。これにより、被害を回復することができます。
ただし、ランサムウェア感染時は、復旧だけではなく、攻撃経路の特定や、再発防止策の検討が必要となります。攻撃に遭った場合は「フォレンジック調査」を検討しておきましょう。
③ランサムウェア感染調査に対応した専門業者を利用する
Trigonaランサムウェア感染時は、感染経路を特定し、再発防止策を講じる必要があります。
特に「脆弱性」を悪用した攻撃を受けた場合、再度、攻撃を受けないよう、適切な対応を行うとともに、どの端末のどのデータが詐取されたのかを確認する必要があります。
法人の場合、個人情報の漏えいが疑われる際は、関係各所に向けた「被害報告」が必要ですが、自社調査だけでは客観性や正確性が担保できないことがあります。
たとえば、セキュリティツールはマルウェアを検知・駆除できますが、感染経路や情報漏えいの有無を適切に調査することはできません。したがって、Trigonaランサムウェア感染時は、感染経路調査に対応した「フォレンジック調査」を利用することが有効です。
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ランサムウェア感染時、感染経路調査を行うメリット
ランサムウェアに感染した場合、感染経路を調査することで、攻撃者の侵入方法を特定し、将来の攻撃から身を守るために対策を講じることができます。
ランサムウェア感染の調査を行う方法として「フォレンジック調査」を挙げることができます。フォレンジック調査とは、電子機器から証拠を収集・分析して、インシデントの詳細を解明する手法で、たとえば攻撃者がどのようにランサムウェアを侵入させたか、どのような手法や脆弱性が悪用されたかなど、感染経路や情報漏えいの特定に役立ちます。
ランサムウェア感染時の対処におけるフォレンジック調査のメリットは次のとおりです。
①被害範囲の特定ができる
フォレンジック調査は、感染したシステムやネットワーク内での攻撃の拡散範囲を特定するのに役立ちます。これにより、被害を受けたシステムやデータ、ネットワークの一部を迅速に特定し、対処を開始することができます。
②感染経路や攻撃手法の解析・証拠の確保できる
フォレンジック調査では、ランサムウェアの攻撃手法や感染経路を解析し、証拠を確保できます。また、証拠の確保は、法的な措置や法執行機関との連携に役立つだけでなく、被害の評価や保険請求のためにも重要な要素となります。
③専門エンジニアの詳細な調査結果が得られる
フォレンジック調査の専門会社には、正確にハッキング被害の実態を確認するために必要な高度な技術を持つ専門エンジニアがいます。
自社調査だけでは不適切な場合がありますが、フォレンジックの専門業者と提携することで、調査結果をまとめた報告書が作成でき、公的機関や法廷に提出することができます。
④セキュリティの脆弱性を発見し、再発を防止できる
フォレンジック調査では、マルウェアによる被害の程度や感染経路を特定することで、今後のリスクマネジメントに貢献することが出来ます。弊社では、解析調査と報告書作成の他に、お客様のセキュリティを強化するためのサポートも提供しています。
私たちデジタルデータフォレンジックは官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験があります。お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
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ランサムウェア感染による企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もしTrigonaに感染した場合、まず感染経路や漏えいしたデータを確認することが重要です。しかし、調査を行う場合、法知識や専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、フォレンジック専門家と提携して調査を実施することをおすすめします。
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Trigonaランサムウェアによる被害の調査を行う場合、専門業者に相談する
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセスのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
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インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
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インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
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