近年、ランサムウェア攻撃は世界的に増加しています。企業や個人がランサムウェアの被害を受けた際、適切な対応が求められます。特に、日本では個人情報漏洩が伴う場合、報告義務が発生します。
本記事では、ランサムウェアの被害に遭った場合に必要な報告手順、法的義務、そして被害を最小限に抑えるための対策について詳しく解説します。
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目次
ランサムウェア攻撃を受けた際の報告手順
ランサムウェア攻撃を受けた場合、迅速かつ適切な対応が求められます。特に、個人情報の漏洩が発生した場合には、日本の法律に基づき報告義務が生じることがあります。以下に具体的な報告手順とその重要性について解説します。
個人情報保護委員会への報告
ランサムウェア攻撃によって個人情報が暗号化されたり漏洩した場合、個人情報保護法に基づき報告が必要です。この報告は、企業がサイバー攻撃を受けた際の最も重要なステップの一つであり、被害の範囲や影響を早期に把握し、適切な対策を講じるための基盤となります。
報告が求められる状況は、単に個人情報が暗号化された場合だけでなく、その情報が第三者にアクセスされたり、不正に流出した場合も含まれます。企業は、攻撃を受けた事実を認識した瞬間から、報告のための準備を進める必要があります。個人情報保護委員会への報告は、以下のようなプロセスで行います。
- 攻撃を認知したら直ちに企業内の担当部門と連絡を取り、被害状況を整理します。
- 速報として、発覚から3〜5日以内に個人情報保護委員会に報告します。
- 60日以内に、詳細な調査結果を踏まえて確報を提出します。
この報告プロセスでは、迅速な対応が重要であり、報告が遅れることで被害が拡大するリスクがあります。攻撃による被害を最小限に抑え、関係者への影響を軽減するためには、事前に報告フローを明確にし、必要な連絡先や手順を常に把握しておくことが推奨されます。
業種ごとの所管官庁への報告
ランサムウェア攻撃によって企業の機密情報が漏洩した場合、特定の業種や規制に従って、所管官庁への報告が必要となるケースがあります。これは、金融機関や医療機関、さらには電力会社などのインフラ関連企業など、重要な情報を取り扱う業種が対象です。これらの業種に属する企業は、ランサムウェアの被害を受けた際に、該当する監督機関に対して報告を行う必要があります。
例えば、金融業界であれば金融庁、医療業界であれば厚生労働省が所管しています。これらの機関に対する報告は、企業の信頼性や業界全体の安全性を保つために重要な役割を果たします。所管官庁への報告手順は以下の通りです。
- 該当する所管官庁を確認します。
- 委員会への報告後、所管官庁にも同時に速報を送付します。
- 調査結果を基に、確報を作成し、所管官庁に提出します。
これらの報告は、業界全体でのサイバーセキュリティ意識の向上を促進し、同様の攻撃が繰り返されることを防ぐための重要なステップです。また、各業界の規制や報告義務に従わない場合、法的な罰則や業界内での信頼失墜に繋がる可能性があります。企業は事前に該当する報告義務について理解し、迅速に対応できる体制を整えておくことが不可欠です。
被害者への通知義務
ランサムウェア攻撃によって漏洩した個人情報が第三者に渡った場合、企業はその情報の所有者に対して通知義務を負います。これは、被害者が適切な対策を講じるためのものであり、特に個人の財産やプライバシーに影響を与える可能性がある場合には、速やかに通知することが求められます。
通知を行う際には、以下のような情報を明確に伝える必要があります。被害の詳細や漏洩した情報の種類、影響範囲、そして被害者が取るべき具体的な対策が含まれます。例えば、パスワードの変更や二段階認証の設定、さらにクレジットカード情報が漏洩した場合には金融機関への連絡など、具体的な対処法を提示することが重要です。
- 被害が発生した日時と概要
- 漏洩した個人情報の具体的な内容
- 今後の対応策と推奨される対策(パスワード変更等)
- 問い合わせ窓口の案内
通知義務を果たさなかった場合、企業は法的な責任を追及される可能性があり、さらには信頼を失うリスクがあります。逆に、迅速かつ適切な通知を行うことで、被害者が早期に対策を講じることができ、二次的な被害を防ぐことができます。通知の際には、シンプルかつ正確な情報を伝えることが求められ、余計な混乱を避けるために明確なガイドラインに従うべきです。
社内での調査と対応策の実施
ランサムウェア攻撃を受けた後、企業が速やかに行うべき最初のステップの一つは、社内での詳細な調査と再発防止策の実施です。このプロセスは、被害の範囲を正確に特定し、システムの脆弱性を改善するために不可欠です。また、従業員全体がセキュリティ対策を理解し、適切な行動を取れるようにするための教育も含まれます。
この調査では、システムログの確認やネットワークの異常通信の解析を通じて、攻撃がどのように行われたかを把握することが重要です。また、従業員が日常的に使用しているアカウントやデバイスの状態も確認し、攻撃者が不正アクセスを行った経路を特定することが求められます。社内での対応策として、以下の基本的なステップが考えられます。
- システムの脆弱性を特定し、パッチを適用します。
- 全社員に対してセキュリティ教育を実施し、意識向上を図ります。
- バックアップ体制を再確認し、万が一の復旧手段を整備します。
これらの対応策は、ランサムウェア攻撃による被害を最小限に抑えるだけでなく、将来的な攻撃から企業を守るためにも必要です。また、外部のセキュリティ専門家と連携し、調査を行うことで、より効果的なセキュリティ対策を講じることができます。
フォレンジック調査の依頼
ランサムウェア攻撃の発生後、社内での調査だけでは十分な情報が得られない場合や、より詳細な分析が必要な場合には、フォレンジック調査の依頼が推奨されます。フォレンジック調査は、専門の調査会社が攻撃の証拠を保全し、攻撃の詳細な解析を行う手法であり、法的な証拠としても使用されることが多いです。
フォレンジック調査によって、攻撃の侵入経路や攻撃者が使用した手口、さらに漏洩した情報の具体的な内容が特定されます。また、この調査結果を基に、今後の対策を講じるための具体的な提案がなされることもあります。特に、再発防止策やセキュリティ強化のためのアドバイスが含まれるため、企業にとって非常に有益な情報を提供してくれます。
- 攻撃者の侵入経路や手口の特定
- 漏洩したデータの範囲や内容
- 再発防止策の提案
フォレンジック調査は、単に被害を明確にするだけでなく、法的な観点からも重要です。攻撃者を特定し、訴訟に向けた証拠を保全するためにも、このような専門的な調査は欠かせません。特に、企業が取引先や顧客に対して責任を果たすためにも、調査結果を基に迅速な対応を行うことが求められます。
個人情報漏洩時の報告義務について
ランサムウェア攻撃による個人情報の漏洩やシステム障害は、企業や組織にとって深刻な影響をもたらします。特に、個人情報が絡む場合には、日本の法制度に基づき、迅速かつ適切な報告義務が発生します。これらの法的義務は、被害の拡大を防ぐために設けられており、関係者に必要な情報を提供し、迅速に対応できるようにすることを目的としています。
2022年の個人情報保護法改正により、サイバー攻撃に対する報告義務が一層強化されました。ランサムウェアの被害を受けた企業は、ただデータを復旧するだけではなく、個人情報保護委員会への報告や、被害者への通知など、さまざまな法的責任を果たす必要があります。以下では、具体的に企業や組織が果たすべき法的義務について詳しく解説していきます。
個人情報保護委員会への報告義務
ランサムウェア攻撃で個人情報が暗号化されたり、外部に流出した場合には、企業や組織は個人情報保護委員会に対して報告を行う義務があります。報告の際には、被害の規模や影響範囲について詳細に説明しなければなりません。
この報告義務は、「個人情報保護法」によって規定されています。個人情報保護法は、企業や組織が取り扱う個人情報の適切な管理と保護を目的としており、サイバー攻撃などにより情報漏洩が発生した場合、速やかに報告することを義務付けています。報告を怠ったり、報告が不十分だった場合、企業は法的な罰則を受ける可能性があります。
被害者への通知義務
ランサムウェア攻撃によって漏洩した個人情報が第三者に渡った場合、企業や組織はその情報の所有者である被害者に対して速やかに通知を行う義務を負います。この通知義務は、被害者が迅速に適切な対策を取れるようにするためのものであり、個人情報保護法に基づいて厳格に定められています。
通知の内容には、以下の情報が含まれる必要があります。
- 被害の詳細
- 漏洩した個人情報の種類や範囲
- 被害者が講じるべき具体的な対策(例:パスワードの変更や二段階認証の設定)
- クレジットカード情報が流出した場合の金融機関への連絡方法
- 企業の問い合わせ窓口やサポート体制の案内
被害者への通知義務も個人情報保護法によって定められており、企業や組織がこの義務を怠った場合には罰則が科される可能性があります。
罰則規定の強化
2022年の個人情報保護法改正により、ランサムウェア攻撃に関する報告義務を怠った場合や、適切な対応を行わなかった企業に対する罰則規定が大幅に強化されました。
具体的には、ランサムウェア攻撃後の報告を怠ったり、被害者への通知を行わなかった場合、最大で1億円の罰金が科される可能性があります。これは個人情報保護法の罰則規定によるものであり、この強化された罰則は、企業に対して情報セキュリティの徹底を促すために導入されたものです。
また、罰則規定の強化は、単に罰金を科すだけではなく、違反企業に対する監査の強化や、再発防止策の導入を義務付けることも含まれています。
罰則規定に従い企業はセキュリティ対策を強化し、内部監査や定期的なシステムチェックを行うことで、リスクを最小限に抑えることが可能です。特に、サイバーセキュリティに関する教育や訓練を全社員に徹底することが、ランサムウェアなどの攻撃を防ぐための重要です。
サイバーインシデントには、スピード対応が重要です。
サイバーインシデントに遭った際は、いかに早く対応するかが重要です。対応が遅れてしまうと下記のリスクがあります。
- 攻撃者がシステム内に深く侵入し、より広範囲な情報漏洩やシステム障害を引き起こすリスク
- 被害拡大により、システム停止や業務妨害などで会社の売上や利益の減少につながるリスク
- 情報漏洩が発生していた場合、報告義務のある個人情報保護員会への報告に遅れてしまうリスク
個人情報保護法の改正により情報漏洩の恐れがある場合、発覚日から3から5日以内に速報、30日以内に確報を行わなければ罰金が科せられる可能性があります。
※不正な目的で行われた恐れがある場合は60日以内
サイバーインシデントが発生した場合、再度、攻撃を受けないよう、適切な対応を行うとともに、どの端末のどのデータが詐取されたのかをいち早く確認することで被害や法的リスクを最小限に抑えることができます。
しかし、セキュリティツールはマルウェアを検知・駆除できますが、感染経路や情報漏えいの有無を適切に調査することはできません。したがって、自社調査だけでは客観性や正確性が担保できないことがあるため、調査を実施する場合、フォレンジック(Forensic)の専門家と提携することをおすすめします。
DDF(デジタルデータフォレンジック)では、法人様限定で最短15分で調査前までの対処方法の提案や調査内容についての打合せなどの初動対応が可能です。
フォレンジック調査とは、デジタル証拠の収集解析を目的とした科学的な調査方法です。この調査手法を用いれば、攻撃者がどのようにシステムに侵入し、データを漏えいさせたのかを把握することが可能で、同様の攻撃を防ぐための対策を講じることもできます。
フォレンジック調査の詳細については、下記の記事でも詳しく解説しています。
企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。
ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。
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ランサムウェア被害は専門業者に相談する
ハッキング、不正アクセス、乗っ取り、情報漏えいのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出によって問題の解決を徹底サポートします。
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インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
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