2022年9月に最初に観測された「Royal」は、「DEV-056」と呼ばれるランサムウェアグループによって開発・配信されているランサムウェアです。このランサムウェアは、米国を中心に活動しており、数億円単位の身代金を要求されるなど被害規模が大きくなりやすいのが特徴です。
この記事では、Royalランサムウェアの特徴を交えつつ、被害に遭った場合の対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
Royalランサムウェアの特徴
Royalランサムウェアに感染すると身代金の支払いを要求され、支払わなかった場合はファイルを公開すると脅迫されます。その際立った特徴は次のとおりです。
- RaaSではないプロのランサムウェアグループ
- 数千万円から数億円の多額の身代金を要求する
- 部分暗号化を採用している
RaaSではないプロのランサムウェアグループ
Royalは経験豊富なランサムウェア攻撃者のグループ(通称「DEV-0569」)で構成されており、いわゆる「RaaS」(製品としてのランサムウェアのこと、アマチュアでも利用できる)ではありません。いわばRoyalは非公開かつ専門性の高い「高度なランサムウェア」であり、なおかつ「秘匿性の高いランサムウェア」であるといえます
数千万円から数億円の多額の身代金を要求する
RaaSはアマチュアでも使えるため、標的は小規模な組織が多いのですが、Royalは技術的に洗練された組織によって開発されていることから、大規模な組織への攻撃が目立ちます。
言い換えれば、身代金の要求額が大きくなりやすく、平均して25万ドル(2400万円)から200万ドル(約2億円)を要求されていることが判明しています。なお、被害者の大半は米国企業で、ある大手通信会社は6,000万ドルの身代金要求に見舞われたとされています。
部分暗号化を採用している
Royalランサムウェアは、部分暗号化を採用しています。部分暗号化とは、感染したコンピューターやネットワーク内のすべてのファイルを暗号化するのではなく、一部のファイルだけを暗号化することです。これにより、攻撃者は身代金の支払いに応じる可能性が高いファイルをターゲットにすることができます。
出典:cyberreason
Royalランサムウェアに感染するとどうなるのか
Royalランサムウェアに感染すると次のような症状に遭遇する場合があります。
- ランサムノート(身代金要求画面)が表示される
- 拡張子が「.royal」に変更される
- 二重恐喝される
- データが漏えいする
ランサムノート(身代金要求画面)が表示される
Royalランサムウェアに感染すると、すべてのデータは暗号化され、「ランサムノート」と呼ばれるtxtファイルが表示されます。内容には身代金の要求額や支払先のTor サイト(ダークウェブ上にあるリンク)が記載されています。なお、このメモは暗号化されたデバイス上で表示されるだけでなく、ネットワークプリンタで自動印刷されることがあります。
拡張子が「.royal」に変更される
暗号化されると、ファイル名は「.royal」という拡張子になります。たとえば、次に示すように、test.jpg は暗号化され、名前が test.jpg.royal に変更されます。
二重恐喝される
Royalは、いわゆる二重脅迫型(暗号化+暴露)のランサムウェアです。
これは身代金を振り込まないと、ウェブサイトにデータを暴露する脅迫手法です。もっとも現時点ではリークサイトの存在は確認されていませんが、匿名性の高いIRCなどでデータを販売している可能性もあります。
データが漏えいする
Royalに感染すると「ファイルの暗号化による身代金要求」だけでなく「データが漏えいする恐れ」があります。この際、企業は、個人データや機密情報を保護するために法律を守る必要があります。
しかし、データ漏えいが発生した場合、不適切な調査を行うと法律に違反する恐れがあり、罰金や法的措置の対象になります。このことから、Royalランサムウェア感染が確認された場合、被害に遭ったシステムやファイルの特定、感染経路の把握は、被害を最小限に抑え、再発を防止するために不可欠です。
これらの情報を得るには、デジタルデバイスから証拠を収集・分析する「フォレンジック調査」を行う必要があります。
フォレンジック調査とは、システムログやネットワークトラフィックの解析、マルウェアの解析などを通じて、データ漏えいの規模や影響範囲を正確に把握するのに役立ちます。
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Royalランサムウェアの代表的な感染経路
このランサムウェアは、あらゆる手段を用いて攻撃を試みます。
代表的な手口は次のとおりです。
- RDPを利用した侵害
- ソーシャルエンジニアリング
- Webアプリケーションの脆弱性
- Google Adsを用いたマルバタイジング
RDPを利用した侵害
RDP(リモート デスクトップ プロトコル)は、Windows上でリモート接続を可能にするプロトコルですが、Royalランサムウェアの侵入手法の1つとして悪用されています。
RDPを悪用したランサムウェアの侵害リスクは、次のとおりです。
- 脆弱性の悪用:RDPには、パスワードの推測やブルートフォース攻撃など、悪用される可能性のある脆弱性がいくつかあります。
- 不正アクセス :RDPのパスワードや資格情報が盗まれた場合、攻撃者は不正アクセスしてランサムウェアを実行する可能性があります。
RDPを利用したランサムウェアの侵害が発生した場合、フォレンジック調査を行うことが重要です。これにより、システムやアプリケーションのログから、侵害の痕跡を探し出し、侵害の詳細やランサムウェアの拡散経路を特定することができます。
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ソーシャルエンジニアリング
Royalランサムウェアの感染は、ソーシャルエンジニアリングの手法を使用して行われることもあります。例えば攻撃者は、フィッシングメールやフェイクウェブサイトなどを通じて、被害者を誘導し、悪意のあるファイルやリンクをクリックさせます。
これにより、ランサムウェアがシステムに侵入し、ファイルの暗号化や制御を行います。
Webアプリケーションの脆弱性
Royalランサムウェアは「不正な入力検証」「データ処理の不備」などが存在する脆弱なウェブサイトやWebアプリを特定し、その脆弱性を悪用してネットワークに侵入してランサムウェアを配信します。これらの脆弱性が複合的に存在するウェブサイトは、攻撃者にとってターゲットとなりやすく、セキュリティインシデントのリスクが高くなります。
Google Adsを用いたマルバタイジング
Royalランサムウェアは、Google広告などの広告プラットフォームを悪用して感染を広めます。ユーザーは、広告をクリックしても問題ないと油断していても、広告をクリックしただけで、ランサムウェアに感染する可能性があるため、細心の注意が必要です(クリック誘導によるマルウェア感染の手口は「マルバタイジング」と呼ばれます)。
Royalランサムウェアから身を守るには、知らない広告や怪しい広告はクリックせず、セキュリティソフトを最新の状態に保ちましょう。
Royalランサムウェアに感染した場合の対処法
Royalランサムウェア感染時、誤った対応を取ると、再感染やデータ漏えいなどのインシデントに遭遇する恐れがあります。
よって過不足のないフローで適切な対応を取りましょう。Royalランサムウェアに感染した場合の対処法は次のとおりです。
- 感染拡大を防ぐためにネットワークを分離する
- 支払いを行わない
- バックアップから復旧する
- ランサムウェア感染調査に対応した専門業者を利用する
感染拡大を防ぐためにネットワークを分離する
ランサムウェアの感染が広がるのを防ぐために、感染した端末をネットワークから切り離すか、他の端末との接続を制限します。
支払いを行わない
攻撃者からの身代金要求に応じることはおすすめできません。まずはセキュリティ専門家や法執行機関の助けを借りて、解読ツールや復号方法の確認を試みましょう。
ランサムウェア感染時、復号ツールで対応する方法は次のとおりです。
バックアップから復旧する
ランサムウェアに感染した場合、バックアップからクリーンなデータを復元することで、被害を最小限に抑えることができます。ただし、これとは別に、攻撃の経路や感染の範囲を特定することが重要で、これにより将来の攻撃の防止策を講じることができます。
ランサムウェア感染調査に対応した専門業者を利用する
ランサムウェア感染時、ランサムウェアの感染経路を特定し、再発防止策を講じる必要があります。特に脆弱性を悪用した攻撃を受けた場合、再度攻撃を受けないためにも、適切な対応を行うとともに、どの端末のどのデータが詐取されたのかを確認する必要があります。
特に法人の場合、個人情報漏えいが確認された場合は被害報告が必要ですが、自社調査だけでは客観性や正確性が担保できないことがあります。
たとえばセキュリティツールはマルウェアを検知・駆除こそできますが、感染経路や情報漏えいの有無などを適切に調査することはできません。したがって、Royalランサムウェア感染時は、感染経路調査に対応した「フォレンジック調査」を利用することが有効です。
◎フォレンジック調査を考えている方へ (お見積りまで完全無料)
フォレンジック調査は、DDF(デジタルデータフォレンジック)までご相談ください。
累計32,377件のご相談実績(※1)があり、他社にはないデータ復旧業者14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術(※2)とフォレンジック技術を駆使してお客様の問題解決をサポートします。
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※1 データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと
第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(集計期間:2007年~2020年)
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ランサムウェア感染時は、感染経路の調査を推奨
ランサムウェア感染時は、感染経路調査に対応した「フォレンジック調査」を利用することが有効です。フォレンジック調査とは、コンピューターから証拠を収集・分析し、インシデントの詳細を解明する手法です。たとえば、ランサムウェアの調査では、ランサムウェアの感染経路や感染した端末から流出した情報を特定するために使用されます。
これにより、攻撃者がどのようにランサムウェアを侵入させたか、どのような手法や脆弱性が悪用されたかを特定でき、適切な対応策や復旧プロセスを計画することができます。
ランサムウェア感染時の対処におけるフォレンジック調査のメリットは次のとおりです。
①被害範囲の特定
フォレンジック調査は、感染したシステムやネットワーク内での攻撃の拡散範囲を特定するのに役立ちます。これにより、被害を受けたシステムやデータ、ネットワークの一部を迅速に特定し、対処を開始することができます。
②感染経路や攻撃手法の解析・証拠の確保
フォレンジック調査では、ランサムウェアの攻撃手法や感染経路を解析し、証拠を確保できます。また、証拠の確保は、法的な措置や法執行機関との連携に役立つだけでなく、被害の評価や保険請求のためにも重要な要素となります。
③専門エンジニアの詳細な調査結果が得られる
フォレンジック調査の専門会社には、正確にハッキング被害の実態を確認するために必要な高度な技術を持つ専門エンジニアがいます。
自社調査だけでは不適切な場合がありますが、フォレンジックの専門業者と提携することで、調査結果をまとめた報告書が作成でき、公的機関や法廷に提出することができます。
④セキュリティの脆弱性を発見し、再発を防止できる
フォレンジック調査では、マルウェアによる被害の程度や感染経路を特定することで、今後のリスクマネジメントに貢献することが出来ます。弊社では、解析調査と報告書作成の他に、お客様のセキュリティを強化するためのサポートも提供しています。
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ランサムウェア感染による企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。
違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性がありますので、もしRoyalランサムウェアに感染した場合、まずは感染経路や漏えいデータを確認することが重要です。
しかし、被害の調査を行う場合、法的知識や専門技術が必要です。自社のみで対応するのは困難であるため、コンピューターやネットワーク上のデータを収集・分析する「フォレンジック専門家」と提携して調査を実施することをおすすめします。
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Royalランサムウェアによる被害調査を行う場合、専門業者に相談する
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセスのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
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Royalランサムウェア調査会社への相談方法
インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
取引先や行政に報告する際、自社での調査だけでは、正確な情報は得られません。むしろ意図的にデータ改ざん・削除されている場合は、情報の信頼性が問われることもあります。
インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
DDF(デジタルデータフォレンジック)では、フォレンジックの技術を駆使して、法人/個人を問わず、お客様の問題解決をいたします。
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