2025年10月19日、オフィス用品通販大手「アスクル株式会社」がランサムウェア攻撃を受け、出荷業務が全面停止となる重大なシステム障害が発生しました。
2025年10月23日時点でも復旧の見通しは立っておらず、アスクルの物流を利用する複数の企業にも連鎖的な影響が出ており、サプライチェーン全体に支障が出ている状況です。
この記事では、アスクルに対するランサムウェア攻撃の詳細、現時点の被害状況、および復旧対応の進捗について解説します。
※この記事の内容は記事作成時点の情報のため、最新情報とは異なる可能性があります。
目次
アスクルが受けたランサムウェア攻撃の概要
アスクル株式会社の発表によると、2025年10月19日に外部からの不正アクセスを検知し、調査の結果ランサムウェア（身代金要求型マルウェア）による攻撃を受け、物流システムに深刻な障害が発生したことが確認されました。
この影響で、アスクルが展開する主要サービスにて受注・出荷業務が停止し、同社の物流業務を受託している他社サービスにも波及してサプライチェーン全体に障害が拡大している状況です。
業務停止となったアスクルの業務は以下の通りです。
- 「ASKUL」「ソロエルアリーナ」の受注・出荷業務
- 「LOHACO」の受注・出荷業務
ランサムウェア感染被害を受けたアスクルでは、2025年10月23日現在、個人情報や顧客データなどの外部流出や影響範囲の調査や、システム復旧を行っています。
出典：ランサムウェア感染によるシステム障害発生のお知らせとお詫び（第１報）
出典：Yahooニュース
アスクルのランサムウェア感染被害の影響
アスクルのランサムウェア感染被害により、以下の影響がでています。
- 注文受付の停止
- 出荷の停止
- 新規ご利用登録の停止
- その他サービスの停止
- 医薬品に関する問い合わせ・受注業務の停止
ランサムウェア感染に伴うシステム障害により、WMS（Warehouse Management System：倉庫管理システム）でコントロールする物流センターの入出荷業務が停止し、2025年10月23日現在も受注ができない状態です。また、グループ会社ASKUL LOGIST社が受託している物流業務も停止していると発表されました。
2025年10月21日のアスクルの発表によると、10月21日時点でお届けできていないご注文は、順次キャンセルされるとのことです。また返品、領収書の郵送、カタログ送付、各種回収サービスも停止しています。
出典：アスクル株式会社
ランサムウェア感染におけるアスクルの対応
ランサムウェア感染を受けたアスクルでは、10月19日（日）14時に対策本部を設置し、本部配下に「事業継続部会」「IT復旧部会」が設置されました。
また、LINEヤフーなどグループ内外から約30名のエンジニアを招集し、障害の詳細な技術的原因および感染経路の特定を進めています。
外部の専門機関とも連携して障害範囲の特定、影響の詳細調査を継続しています。
出典：アスクル「ランサムウェア感染によるシステム障害について（第２報）」
出典：日本経済新聞
サプライチェーンにもアスクルの業務停止が影響
アスクルのランサムウェア感染により、同社の傘下にある配送企業を活用していた複数の企業が物流機能を喪失し、ECサイトでの注文停止や配送遅延が連鎖的に発生しています。
具体的には、「無印良品」を展開する良品計画およびロフトが、2025年10月23日時点でオンライン注文分の配送を全面停止。また、ネスレ日本でも自社ECサイトでの受注受付を一時停止するなど、サプライチェーン全体で深刻な物流遅延が発生しています。
出典：読売新聞
出典：日本経済新聞
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