セキュリティ対策

Webアプリケーション診断の特徴や活用方法を専門家が解説

Webアプリケーション診断について特徴や活用方法を専門家が解説

Webアプリケーション診断とは、Webアプリケーションに内在する脆弱性を調査するセキュリティ対策です。

現在、多くの企業が仕事でインターネットを使用し、自社サイトを運用しています。しかし、使用しているプラットフォーム(Webアプリケーション)には、攻撃者がアクセスできる脆弱性が存在している可能性があり、企業や組織にとって大きな脅威となっています。

そこでWebアプリケーション診断を実施することで、脆弱性を早期に発見し、対策を講じることで、攻撃の被害を未然に防ぐことができます。

本記事では、Webアプリケーション診断の特徴や活用方法について専門家が解説します。

脆弱性とは

脆弱性とは、OSやネットワーク、アプリケーションなどに存在する、セキュリティ上の欠陥を指します。脆弱性はプログラムの不具合や、設計上のミスが原因で発生し、放置した場合は攻撃者に悪用され、情報漏えいなどの被害に繋がる可能性があります。

これらの脆弱性を放置すると、個人情報や機密情報の漏洩、社内システムのダウンなど、深刻な影響を及ぼす可能性があります。

WEBアプリケーションとは

A modern and sophisticated user interface of a Web application, resembling a SaaS product. The screen displays a navigation bar, an interactive dashboard with data graphs and charts. The color scheme is primarily blue and white, reflecting a professional and clean look. Include symbols or elements representing cloud services to emphasize the SaaS nature of the application. The overall design should be sleek, user-friendly, and technologically advanced, suitable for a business or professional setting.Webアプリケーションはブラウザからアクセスできるアプリの総称です。WebサイトやSNSの背景には、さまざまなWebアプリケーションが存在しており、これによってサービスの情報提供、顧客とのコミュニケーション、業務効率化を行うことができます。

しかし、Webアプリケーションは、インターネットを介して外部からアクセスできるため、セキュリティ上のリスクが常に存在します。もしWebアプリケーションの脆弱性が悪用されると、データの盗難や改ざん、サービス妨害などの被害を起こす可能性があります

そこで重要になってくるのが「WEBアプリケーション診断」です。これは攻撃者の視点から擬似攻撃を行い、Webアプリケーションに内在する脆弱性を調査することです。

WEBアプリケーション診断はサイバーセキュリティの強化に欠かせない手段であり、Webアプリケーションの安全な運用を保証するために必要不可欠です。しかし、診断にはWebアプリケーションの専門知識が必要で、個人が行う場合、次のような課題があります。

  • 脆弱性の種類や深刻度を正確に評価できない
  • 検出漏れや誤検知が発生する可能性がある
  • 脆弱性の修正に必要な技術や知識が不足している

これらの課題を解決するためにも、サイバーセキュリティ専門家に診断を依頼することが推奨されています。専門家は、脆弱性に関する豊富な知識と経験を持ち、最新の攻撃手法にも精通しているため、適切な対応を施すことができます。

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よくあるWebアプリケーションの脆弱性

よくあるWebアプリケーションの脆弱性、あるいはそのデータベースを不正に操作し、情報を盗んだりデータを改ざんしたりする攻撃は、おもに次のとおりです。

タイトル
  • クロスサイトスクリプティング(XSS)
  • SQLインジェクション
  • ファイルアップロードの脆弱性
  • バッファオーバーフロー

クロスサイトスクリプティング(XSS)

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者がユーザーのブラウザに悪意のあるスクリプトを注入することで、ユーザーの情報を盗む手法です。

例えば、フォーム入力などを利用して、攻撃者はスクリプトをWebアプリケーションに埋め込みます。このスクリプトは他のユーザーがページを閲覧する際に実行され、セッションIDやクッキーなどの機密情報が盗まれる可能性があります。

具体的には、悪意あるスクリプトが含まれたコメントを掲示板に投稿し、他のユーザーがそのコメントを閲覧することで情報が漏えいするケースが考えられます。

SQLインジェクション

SQLインジェクションは、攻撃者がデータベースに不正な文字で検索することで、設計者が意図していないSQLクエリ(データベースへの命令文)を送信する攻撃です。

実際の例としては、ログインフォームで攻撃者が「‘ OR ‘1’=’1」という文字列を入力することで、認証を回避しシステムにアクセスすることがあります。これはSQLの論理演算子「OR」を悪用したもので「常に真となる条件」を作成するために使用されます。つまりWHERE句でのフィルタリング条件を無効にし、データベース内の任意のレコードにアクセスできる状態を作り出すことを意味します。このような攻撃は、Webアプリケーションがユーザー入力を適切に検証、およびサニタイズ(無害化)していない場合に成立します。

ファイルアップロードの脆弱性

Webアプリケーションでは、不正なファイルをアップロードすることで、攻撃者によりサーバーを乗っ取られる場合があります。例えば、拡張子をJPGに偽装したスクリプトや実行ファイルが画像掲示板などで実行されたとき、攻撃者はこのスクリプトを実行してサーバーにアクセスしたり、悪意ある操作を行ったりする場合があります。

バッファオーバーフロー

バッファオーバーフローは、予期せぬ大容量データを扱うことでコントロール不全に陥ったシステムを攻撃者が制御下に置く攻撃です。

この脆弱性は、ソフトウェアがメモリにデータを格納する際に、想定された容量を超えてしまうことにより発生します。例えば、ユーザー名やパスワードといった入力フィールドに、通常想定されるよりも長い文字列を入力し、不正なコードを実行することがあります。

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Webアプリケーションの脆弱性を放置すると、どのようなリスクがあるのか?

Webアプリケーションの脆弱性を放置すると、以下のリスクがあります。

Webアプリケーションの脆弱性を放置するリスク
  • 情報漏えい
  • システムの改ざん
  • マルウェアの感染
  • サービス妨害

これらのリスクを回避するためにも、定期的にWebアプリケーションの脆弱性を診断して、発見された脆弱性を早急に修正することが重要です。また、Webアプリケーションの開発や運用において、セキュリティ対策を徹底することも重要です。

情報漏えい

Webアプリケーションの脆弱性を悪用されると、攻撃者は不正にデータベースにアクセスして、機密情報や個人情報を盗み取ることができます。機密情報や個人情報が漏えいすると、企業や組織の信用を失ったり、金銭的な損害が発生したりする可能性があります。

システムの改ざん

Webアプリケーションの脆弱性を悪用されると、攻撃者は不正にシステムにアクセスして、データを改ざんしたり、サービスを停止させたりすることができます。

システムが改ざんされると、企業や組織の業務に支障をきたしたり、システムの信頼性を失ったりする可能性があります。

マルウェアの感染

Webアプリケーションの脆弱性を悪用されると、攻撃者は不正にマルウェアを送り込んで、システムに感染させることができます。マルウェアに感染すると、システムが乗っ取られたり、他のシステムに感染が広がったりする可能性があります。

サービス妨害

Webアプリケーションの脆弱性を悪用されると、攻撃者は不正にサービスを停止させたり、パフォーマンスを低下させたりすることができます。サービスが停止すると、企業や組織の業務に支障をきたしたり、顧客の信頼を失ったりする可能性があります。

私たちデジタルデータフォレンジックは、官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験があり、攻撃に使用された侵入経路や漏えいデータを迅速に特定します。24時間365日体制で相談や状況のヒアリング、見積もりを無料で受け付けておりますので、お電話またはメールでお気軽にお問い合わせください。

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WEBアプリケーション診断の必要性

WEBアプリケーション診断を導入する必要性として、セキュリティ強化と法令遵守の2つが挙げられます。

WEBアプリケーション診断の必要性
  • セキュリティの強化
  • 法令遵守

セキュリティの強化

脆弱性を放置すると、情報漏洩や金銭の要求、システム停止など、セキュリティインシデントにみまわれる可能性があります。

万が一、脆弱性を悪用されると、システムが停止し、WEBサイトやオンラインサービスが利用できなくなる、社内の営業秘密や機密情報を外部者によって閲覧される可能性があります。

情報漏洩が発生し、顧客や取引先に損害を与えた場合は、企業に責任が問われることがあるだけでなく、社会的信用も失うことになります。

セキュリティ対策が不十分であると、会社存続の危機につながる可能性があります。WEBアプリケーション診断を導入し、脆弱性の悪用を未然に防ぐことが大切です。

法令遵守

個人情報を取り扱う事業者の場合、個人情報保護法23条において、漏えい防止に必要な対策を講じるよう義務付けられています。

事業者は、個人情報が漏えいするリスクを十分に認識しておき、リスクを低減するために適切な措置を講じる必要があります。その一環がWEBアプリケーション診断です。

また、個人情報が漏えいした場合に組織は、個人情報保護委員会への報告が義務付けられており、怠った場合は最大1億円の罰金が科される可能性があります。

情報漏洩は、会社のイメージを下げるだけでなく、大きな損害が発生する恐れがあるため、専門家の下で適切な対策を実施するようにしましょう。

Webアプリケーション診断のチェック項目

Webアプリケーション診断のチェック項目は次のとおりです。

Webアプリケーション診断のチェック項目
  • 入出力処理
  • 認証機能
  • セッション管理
  • 設定/運用

Webアプリケーション診断では、これらのチェック項目を網羅的に実施することで、Webアプリケーションのセキュリティを総合的に評価することができます。

入出力処理

データの入出力処理とは、Webアプリケーションから外部とデータをやり取りする処理のことです。具体的には、以下の処理が含まれます。

  • ユーザーから入力されたデータの取得
  • データベースへのデータの保存
  • データベースからのデータの取得
  • ユーザーへのデータの出力

データの入出力処理が不十分であると、攻撃者がXSSやSQLインジェクションなど不正なデータを送信して、Webアプリケーションの脆弱性を悪用する可能性がありますが、データの入出力処理をチェックすることで、それを未然に防ぐことが出来ます。

認証機能

認証機能のチェックでは、以下の項目を確認します。

  • ログイン認証の強度
  • パスワードの強度
  • アカウントの管理

認証プロセスとは、ユーザーの正当性を確認するプロセスです。認証プロセスが不十分であると、攻撃者が不正にログインして、Webアプリケーションにアクセスできる可能性があります。

セッション管理

これはセッションハイジャックを防ぐ確認です。セッションハイジャックは、Webアプリケーションを標的としたサイバー攻撃の一種で、攻撃者がログイン中のユーザーのIDを不正に取得し、ユーザーになりすましてWebアプリケーションに不正アクセスします。

セッション管理のチェックでは、以下の項目を確認します。

  • セッションIDの生成方法
  • セッションIDの保存方法
  • セッションIDの有効期限

設定/運用

アプリケーションの設定や運用面も脆弱性の原因となり得るため、注意深く検討する必要があります。

設定や運用面の脆弱性としては、以下のようなものが挙げられます。

  • アプリケーションの脆弱性パッチの適用状況
  • アプリケーションのバージョン管理の実施状況
  • アプリケーションの運用ポリシーの策定と遵守

WEBアプリケーション診断の種類

WEBアプリケーション診断の種類には、主に2つの方法があります。

WEBアプリケーション診断の種類
  • ツール診断
  • 手動診断
  • ハイブリット診断

ツール診断

ツール診断は、自動的に脆弱性を検出する方法で、比較的に短時間で大量のデータを診断することができます。しかし、パターンに基づいて脆弱性の検出を行うため、誤診断が起きることや、未知の脆弱性は発見できないというデメリットがあります。未知の脆弱性とは、開発者やアプリケーションの開発者がまだ見つけていない脆弱性です。そのため、セキュリティ対策が提供されておらず、攻撃者が先に脆弱性を悪用することがあります。

手動診断

手動診断は、専門家が直接アプリケーションを分析・検査を行うことで、脆弱性の存在を検知するだけでなく、脆弱性が悪用される可能性があるかまで深堀して調査することができます。ただし、手動診断はエンジニアの技術力に依存するため、診断会社によって精度に差が生じる場合があります。そのため、実績が豊富な調査会社に依頼し、高度な攻撃に対応できる手動診断を受けるようにしましょう

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ハイブリット診断

ハイブリット診断とは、ツール診断と手動診断を組み合わせて行う手法です。

ツール診断で網羅的に検出した後、手動診断で詳細に調査することで、より正確な診断結果と対策を行うことができます。ツール診断での検出結果は、必ずしも正確ではない可能性があります。加えて手動診断を行い、誤診断や検出の漏れを防ぐようにしましょう。

Webアプリケーション診断の方法/フロー

Webアプリケーション診断のフローは、以下のとおりです。

Webアプリケーション診断のフロー
  • ヒアリング
  • 診断
  • 解析
  • 結果報告

ヒアリング

まず、クライアントのニーズとアプリケーションの特性を理解するためにヒアリングを行います。ヒアリングによって診断の範囲や目的を明確にすることができます。

診断

次に診断を実施します。診断には、前述した自動診断手動診断の二種類があります。

自動化ツールは、コードや設定ファイルなどを解析して、脆弱性を検出します。自動化ツールは、効率的に脆弱性を検出できる反面、検出漏れや誤検知が発生する可能性があります。

一方、手動テストは、実際にアプリを操作して、脆弱性を検出します。手動テストは、自動化ツールでは検出できない脆弱性も検出できる反面、時間と手間がかかりますが、同時に運用や管理の不備も検出し、潜在的な脆弱性や問題点を特定します。

報告

報告書には、主に以下の項目を記載します。ここでは診断結果と推奨される対策について説明が行われます。

  • 脆弱性の概要
  • 脆弱性の原因
  • 脆弱性の影響
  • 対策の推奨

Webアプリケーション診断は専門業者へ依頼する

Webアプリケーション診断の実施には専門性の高い知識と豊富な経験が必要不可欠です。

専門的なノウハウを持たない中で、個人ないし自社のみでWebアプリケーション診断を行うと、実態を正確に把握できない可能性が高いです。

組織や社内において、現状のセキュリティ上の抜け穴や脆弱性、問題点を把握しておくことは重要です。今後サイバーインシデントの発生リスクを最小限に抑えるためにも、まずは信頼性の高いフォレンジック業者に一度相談することをおすすめします。

私たちデジタルデータフォレンジックは、官公庁、上場企業、捜査機関等を含む累計3.2万件の対応経験があり、サイバー攻撃経路や漏えいしたデータを迅速に特定・調査します。豊富な知識・経験を持った専門家がWebアプリケーション診断を行います。

デジタルデータフォレンジックは、24時間365日体制で相談、見積もりを無料で受け付けておりますので、お電話またはメールでお気軽にお問い合わせください。

WEBアプリケーション診断を専門家に依頼するメリット

WEBアプリケーション診断を専門家に依頼するメリットには以下2つがあります。

WEBアプリケーション診断を専門家に依頼するメリット
  • 専門家の知見
  • 客観的な評価

専門家の知見

専門家に依頼することで、未知の脆弱性や複雑なシステムの物であっても、検出が可能であり、適切な対策を講じることができます。

未知の脆弱性を悪用した主な攻撃方法として「ゼロディ攻撃」が挙げられます。脆弱性が公表されてから改善がされるまでの間に、攻撃が仕掛けられ、以下の被害が発生する可能性があります。

  • データの暗号化し端末を操作不能にされる
  • 情報の抜き出しや改ざん
  • システム自体の乗っ取り、破壊

ツール診断に手動診断をかけ合わせることで、より高度な脆弱性診断を行うことができます。高いセキュリティ対策が必要な場合や、個人情報や機密情報を扱っている場合は有効であると考えられます。

客観的な評価

外部の専門家による評価は、企業内部の見解に偏りがないため、セキュリティ状態について客観的な視点を得ることができます。

また、損害が発生した場合、自社のみでの調査では客観性が無いとみなされ、診断結果が正確な証拠として扱われない可能性があります。

第三者機関に依頼することで、客観性が担保された証拠を確保でき、セキュリティ状況に関しても、的確なアドバイスをもらうことができます。

セキュリティを強化したい場合や、脆弱性によって損害が発生する恐れがある場合は、手動診断ができる調査会社に依頼することをおすすめします。

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