デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)とは、サイバーセキュリティに関するインシデント(マルウェア感染、不正アクセス、情報漏えいなど)が発生したときに、コンピュータやネットワークなどデジタル機器・データから、被害状況を調査(=フォレンジック)して、適切な事後対応(=インシデントレスポンス)を行うことです。
インシデントが発生してから対応を始めるまでの時間が長いと、被害が拡大する可能性があります(例えば「マルウェア感染、情報窃取が拡大する」「システムが破壊される」などが例に挙げられます)。一方、DFIRを活用した対応においては、必要なデータを迅速に収集・解析することで、早急な原因究明を行い、適切な対応を迅速に行うことができます。
本記事では、デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)の概要や活用事例、対応フローを解説します。
目次
デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)とは?
デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)は、サイバーセキュリティに関するインシデント(マルウェア感染、不正アクセス、情報漏えいなど)に対して「フォレンジック調査」という技術を用いて、初動対応の切り分け・準備・識別、攻撃の封じ込め、脅威の根絶、復旧などの対応(=インシデントレスポンス)を行うことです。
「デジタルフォレンジック」と「インシデントレスポンス」は、それぞれ異なる概念ですが、両者を組み合わせることで、サイバーセキュリティに関するインシデントに対し、適切な対応や調査、対策をとることができます。
デジタルフォレンジックとインシデントレスポンスの違い
デジタルフォレンジックとインシデントレスポンスは、どちらもサイバー攻撃やインシデントへの対応に関連する分野ですが、目的や対象が異なります。
デジタルフォレンジック(デジタル鑑識)
デジタルフォレンジックは、コンピュータなどのデジタルデバイスや、ネットワークログを体系的に調査し、インシデントに関連する証拠を収集し、被害の全容解明を行います。
デジタルフォレンジックは、調査対象機器によって「コンピュータフォレンジック」「ネットワークフォレンジック」「モバイルフォレンジック」などがあり、状況に応じて、適切な種類のデジタルフォレンジックを使い分けることが重要です。
デジタルフォレンジックの詳細は、下記の記事で詳しく解説しています。
コンピュータフォレンジック
コンピュータやサーバなどの固定端末を対象としたフォレンジックです。ログやファイル、システム構成情報などのデジタルデータを収集・解析することで、インシデントの原因や被害状況を調査します。
ネットワークフォレンジック
ネットワークやルータなどのネットワーク機器を対象としたフォレンジックです。ネットワークパケットやログなどのデジタルデータを収集・解析することで、攻撃者の侵入経路や活動状況を調査します。
モバイルフォレンジック
スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを対象としたフォレンジックです。ログやファイル、アプリの履歴などのデジタルデータを収集・解析することで、不正アクセスや情報漏えいの調査を行います。
例えば、マルウェア感染の調査を行う場合は、コンピュータフォレンジックとネットワークフォレンジックを組み合わせて実施することで、より詳細な調査を行うことができます。
インシデントレスポンス(インシデント対応)
インシデントレスポンスは、インシデントの発生から収束までの対応を指します。これはインシデント発生時、直ちに脅威を識別し、インシデントの封じ込め、被害の拡大防止、復旧、再発防止を目的としています。近年はインシデント対応の一環で、フォレンジックが実施されることも多く、インシデント対応それ自体を「DFIR」と呼称することがあります。
デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)で活用されるファストフォレンジックとは
ファストフォレンジックとは、インシデント発生後、迅速に行うフォレンジック調査です。インシデント後、被害を最小限に抑えるためにも、迅速な原因究明と対応策の検討が求められるため、DFIRにおいて、ファストフォレンジックは非常に重要な役割を果たします。
ファストフォレンジックでは、以下のような手法が用いられます。
- ログやネットワークトラフィックの分析
- 端末のOSやアプリケーションの状態の確認
- マルウェアの検出と特定
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デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)を行うべき理由
DFIRを行うべき理由は次のとおりです。
- 被害を封じ込めるため
- 適切な初動対応に切り分けるため
- サイバー攻撃の被害状況を把握するため
被害を封じ込めるため
DFIRではインシデントがこれ以上拡大しないよう封じ込めを実施します。これには「マルウェアに感染した端末を隔離」「インシデントの原因となった脆弱性へのパッチ適用」「攻撃者が使用する悪意のある悪意のあるトラフィックのブロック」などが含まれます。
適切な初動対応に切り分けるため
DFIRは、デジタルデータの収集・保全・分析・解析を通じて、インシデントの原因や被害状況を迅速に把握し、適切な初動対応を策定することで、被害を最小限に抑えます。
例えばインシデント範囲を評価し、どのシステムやデータが影響を受けたかを特定します。これにより対応の優先順位を設定し、適切な初動対応を迅速に行うことが可能になります。
サイバー攻撃の被害状況を把握するため
DFIRでは、システム、ネットワーク関連のログを詳細に分析し、不正なアクティビティ、異常なパターン、侵入の痕跡を特定します。これらは攻撃手法や被害全容を明らかにする上で重要な情報源であり、サイバー攻撃の被害を迅速かつ正確に把握することができます。
弊社デジタルデータフォレンジックでは、認定資格者のフォレンジックエンジニアが社内に在籍し、高度な解析によって官公庁・上場企業をはじめ、法人・個人問わず幅広いインシデントの実態解明を行っています。いつでも対応できるよう、24時間365日体制でご相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)を実施するケースとは
DFIRを実施するケースは下記のとおりです。
- マルウェア・ランサムウェア感染状況の調査
- サイバー攻撃の侵入経路調査
- 社外端末への不正通信の確認
- 社内不正や訴訟のための証拠収集
マルウェア・ランサムウェア感染状況の調査
マルウェアやランサムウェアに感染した場合、まずは以下の2つの対応を迅速に実施する必要があります。
感染端末や感染範囲の調査
マルウェアは、感染端末から他の端末やネットワークに感染を拡大させます。そのためDFIRで封じ込めを行うことで感染拡大を防止し、被害を最小限に抑えることができます。
流出した情報や被害の程度の調査
感染した端末から流出した情報や被害の程度を調査することで、優先度ごとに適切な対応策を検討することができます。
たとえば、機密情報の流出が確認された段階で、個人情報保護員会や関係者への通報・報告など速やかに情報漏えい対策を実施する必要があります。
サイバー攻撃の侵入経路調査
サイバー攻撃を受けた場合、DFIRにより攻撃経路を特定することで、ネットワークやシステムの脆弱性を修正したり、セキュリティ対策を強化したりすることができます。また攻撃者がどのように侵入したのかを調査することで、再発防止策を検討することがもきます。
社外端末への不正通信の確認
社外端末から不正な通信が発生している場合、社内ネットワークへの侵入や情報の漏えいを防ぐために、調査を行う必要があります。DFIRでは不正な通信の原因を特定することで、適切な対応策を検討することができます。
社内不正や訴訟のための証拠収集
社内不正が発生した場合、DFIRで不正アクセスのブロックなどインシデント対応を行いながら、法執行機関に提出可能な「法的証拠」を確保することが可能です。
このプロセスは内部で行うと手間と労力がかかる上、法的証拠の確保も困難ですが、デジタル証拠を中立的に収集・保全・分析する専門知識や経験を保有する、フォレンジック調査の専門業者であれば、これらの課題を解決し、適切な対応を迅速に行うことができます。
私たちデジタルデータフォレンジック(DDF)には、官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験がある専門エンジニアが40名以上在籍しており、相談や見積もりを無料で受け付けています。いつでも対応できるよう、24時間365日体制でご相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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調査が必要なときは、デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)の専門業者へ依頼する
セキュリティインシデントの被害を最小限に抑えるためには、正確な調査と迅速な対応が必要不可欠です。
専門的なノウハウを持たない中で、個人ないし自社のみで調査を行うと、実態を正確に把握できない可能性が高まるだけでなく、取引先や行政等へ報告が必要な場合、 自社調査のみだと信憑性が疑われ、さらなる信用失墜につながる危険性があります。
もし組織や社内でサイバーインシデントが発生した際、調査の実施が未確定の場合でも、まずは信頼性の高いフォレンジック業者に一度相談することをおすすめします。
私たちデジタルデータフォレンジックは、官公庁、上場企業、捜査機関等を含む累計3.2万件の対応経験があり、サイバー攻撃経路や漏えいしたデータを迅速に特定します。
緊急性の高いサイバー攻撃被害にも迅速に対応できるよう、24時間365日体制で相談、見積もりを無料で受け付けておりますので、お電話またはメールでお気軽にお問い合わせください。
企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
「ランサムウェア・マルウェアに感染した」、「内部の人間による情報漏えいが疑われる」 このような場合、被害範囲や不正行為の経路を調べることが大切です。
特に2022年4月施行の「改正個人情報保護法」では、財産的被害が生じるおそれのある個人データの漏えい等が発覚した場合、法人に以下の義務が課せられました。つまり、被害調査を行うことは再発防止のためだけでなく、個人情報取扱事業者の義務でもあります。
- 個人情報保護委員会への報告:当該企業は、個人情報保護委員会に漏えいの報告を行う。
- 当該個人に対する通知:当該企業は、個人情報漏えいの被害を受けた個人に通知を行う。
仮に、悪質な管理体制で個人情報の不正流用が発生した、もしくは措置命令違反があった場合、最高で1億円の罰金が科せられる恐れもあります。したがって情報漏えい時、どの情報が、どのように漏えいしたのかを調査し、今後の対応や予防策を考える必要があります。
ただし、被害の調査を行う場合、専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難であるため、フォレンジック専門家と提携して調査することをおすすめします。
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デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)の一般的な流れ
DFIRの一般的な流れは次のとおりです。
- 準備:この段階では、対応計画の策定、スタッフの訓練、システムのテストなど、インシデント対応の計画と準備を行います。
- 特定:このフェーズでは、侵害の指標の特定、ログとネットワークトラフィックの分析、インシデントの範囲と影響の決定など、インシデントの性質と範囲を特定します。
- 封じ込め・根絶:このフェーズでは、組織のシステムから脅威を排除します。被害を拡大させないためにインシデントを封じ込め、影響を受けたシステムの隔離、特定のリソースへのアクセスの遮断、その他の封じ込め対策の実施などを行います。
- 復旧:このフェーズでは、影響を受けたシステムやリソースを通常の運用状態に復旧させます。
- 改善: このフェーズでは、インシデントから得られた教訓に基づいて、インシデント対応計画および手順を見直し、改善します。
デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)を行う前にやってはいけないこと
DFIRを円滑に進めるにあたって、以下の行為は絶対に行わないようにしてください。証拠の確保が困難になってしまう恐れがあります。
- 調査対象機器の継続使用
- 市販のソフトやツールなどを試す行為
調査対象機器の継続使用
「電源の入り切りを繰り返す」「機器を継続して使用し続ける」など、対象機器に何らかの操作を加えると、データ領域の情報が変化し、フォレンジック調査が困難となります。
調査の観点からは、ネットワークから切り離し、電源を切らないようにしましょう。また、データを法的な証拠として利用する場合、証拠としての価値が失われる可能性もあります。
市販のソフトやツールなどを試す行為
端末の中で無料のソフトやツールを試してしまうと、大量の領域が書き換わるため、フォレンジック調査やデータの復旧を行う際に難易度が上がり、時間もコストも無駄になってしまいます。個人での操作やデータ復旧は控えてください。
デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス(DFIR)は、デジタルデータフォレンジック(DDF)にお任せください
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
官公庁・上場企業・捜査機関等まで幅広い調査対応経験を持つ専門の担当とエンジニアが対応させていただきます。
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フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
選ばれる理由
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(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
24時間365日スピード対応
緊急性の高いインシデントにもいち早く対応できるよう24時間365日受付しております。ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せを開催・即日現地駆けつけの対応も可能です。(法人様限定)自社内に調査ラボを持つからこそ提供できる迅速な対応を多数のお客様にご評価いただいています。
利用しやすい料金設定 相談・見積無料
外注により費用が高くなりやすい他社様と異なり、当社では自社内のラボで調査するため、業界水準よりも安価に調査サービスを提供しております。初動対応のご相談・お見積は無料で実施。はじめてのご利用でも安心してお任せください。
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(※4)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
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インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
取引先や行政に報告する際、自社での調査だけでは、正確な情報は得られません。むしろ意図的にデータ改ざん・削除されている場合は、情報の信頼性が問われることもあります。
インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
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