ランサムウェアは、被害者のデータを暗号化して、復号するための身代金を要求するサイバー攻撃です。なかでも2023年末頃に初確認されたAlbabat(別名White Bat)は、アルゼンチン、ブラジル、チェコ共和国、ドイツ、ハンガリー、カザフスタン、ロシア、米国などの組織や個人に、攻撃を立て続けにおこない、被害を拡大させています。
このランサムウェアに感染すると拡張子が「.abbt」に書き換わり、データが暗号化されるだけでなくデータ漏えいのおそれもあるため、個人情報保護の観点から被害企業は専門家の支援が必要になる場合があります。
この記事では、Albabatランサムウェアの特徴と、被害に遭った場合の対処法などを解説します。ぜひ参考にしてください。
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目次
Albabatランサムウェア(.abbt)の特徴
Albabatランサムウェアの特徴は次の通りです。
Rust言語で記述されているランサムウェア
Rust言語とは、「Firefox」の開発元である「Mozilla Foundation」が2009年から開発に関わっており、2015年にリリースされた比較的に新しいプログラミング言語です。
ある調査によると、2016年から2023年の8年間、「愛されている言語」または「称賛されている言語」の第一位に選ばれており、最も多くの開発者から好まれている言語だといわれています。
- 基本的な文法がUNIXやLinuxで使われることの多いC言語やC++に似ている
- 強力なメモリ管理機能を備えており「メモリの安全性」を保証しやすい
- 実行前にプログラム全体を機械レベルに近い言語に翻訳するため、実行時の処理速度が高速
- 開発者が使いやすいツールキットなどが用意されている
Rustのメリットはランサムウェア開発者にもメリットとなり、特に実行時に高速処理できることは短時間でファイルの暗号化を行いたいランサムウェアにとって大きなメリットの一つと言えます。
最近では「Go」というプログラミング言語で開発されたランサムウェアも増えていますが、今後はRustで開発されたランサムウェアも増えていくと思われます。
出典:fortinet
「.abbt」拡張子が追加される
Albabatはファイルサイズが5MB未満のものを対象として暗号化するファイルを探します。暗号化対象ファイルが決まると、それらのファイルを暗号化し、「.abbt」というファイル拡張子を追加し、のちに特定のプログラムやサービスを停止させます。さらには、Albabatのバージョン0.3.0移行ではウォレットや各種設定ファイルを盗み、バージョン0.3.3ではいくつかのWebサイトへアクセスすることをブロックします。
出典:fortinet
画像出典:PCrisk
デスクトップの壁紙が変わりメッセージが表示される
暗号化した後にランサムノート「README.html」などの複数ファイルを残し、以下のような画像にデスクトップの壁紙を変更します。
画像出典:fortinet
データが暗号化され、ランサムノート「README.html」が表示される
ランサムノートとは、身代金の金額・支払方法や復号化の手順などが書かれたメッセージのことを言います。
ランサムノートの内容を検索することで、ランサムウェアの種類を特定することができる場合があります。以下が、今回紹介しているAlbabatに感染した際に表示されるランサムノート「README.html」の内容です。
実際のランサムノートの記載内容
実際に記載されている内容は、被害者に対してEメールで攻撃者に送信するような指示とファイルの復号と引き換えに0.0015ビットコイン(約15,000円)を要求する内容となっています。フォーマットを除けばAlbabatのバージョンによって表示されるランサムノートの内容は大きく異なります。以下が実際のAlbabatランサムウェアVersion 0.3.3が配信したランサムノートの内容です。
画像出典:fortinet
ランサムウェアに感染した時点で情報が抜き取られている恐れがあることから、一刻も早く被害状況を確認し、対処する必要があります。
このとき被害拡大を最小限に抑え、復旧を目指すためには、独自の判断で復旧作業を試みるのではなく、速やかにIT部門や外部の専門家に連絡し、状況を報告する必要があります。
特にサイバー攻撃被害を受けた時、原因究明などのためにコンピュータに残された証拠を調査する「フォレンジック」の専門家に依頼することで、 攻撃手口の調査、侵入経路、被害の拡大防止、復旧プランの作成など、適切な対応を取ることが出来ます。
被害に遭った場合、速やかに調査を実施し、被害を最小限に抑えましょう。
フォレンジック調査では、ランサムウェアによる被害を正確に把握し、信頼性のある調査報告書を作成するとともに、再発防止策を効率的に打つことも可能です。
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Albabatの開発者の主要言語はポルトガル語
AlbabatのランサムノートをGoogle Translateサービスを使用して翻訳をすると、翻訳言語としてポルトガル語が自動的に選択されます。これにより、攻撃者の拠点はポルトガル語圏内ではないのかと推測されています。
ランサムウェア感染時に有効なフォレンジック調査とは
ランサムウェアに感染し、適切な対処ができる企業はほとんどありません。むしろ自社だけで対応を判断するのが一番のリスクです。ランサムウェアに感染した場合、情報漏えいや更なるサイバー攻撃被害が疑われるため、まずはサイバーセキュリティの専門家と提携して感染原因の究明や被害範囲の特定を行うことが重要です。
この際、有効なのが「フォレンジック調査」です。
フォレンジック調査とは、コンピュータやネットワークに保存されたデータやログを分析し、インシデントの原因や経緯、影響範囲を解明する調査手法です。ランサムウェアの感染調査では駆除・隔離に加えて、侵入経路や情報漏えいの有無を確認することができます。
私たちデジタルデータフォレンジックは、官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験があり、攻撃に使用された侵入経路や漏えいデータを迅速に特定します。ご相談や詳細な情報については、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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フォレンジック調査の詳細については下記の記事で詳しく解説しています。
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企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。
ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。
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ランサムウェア感染時の対応
ランサムウェアに感染した場合は、以下のフローで被害を最小限に抑える必要があります。
感染時は慌てずに、過不足のないフローで適切な対応を取りましょう。 ランサムウェアに感染した場合の対応は次のとおりです。
- 端末をオフラインにする
- リストアする(バックアップから感染前のデータを復旧する)
- ランサムウェア感染調査に対応した専門業者を利用する
ランサムウェア感染時、企業がとるべき対応については下記でも詳しく解説しています。
①端末をオフラインにする
まずは、ネットワークから感染した端末を切り離す必要があります。これにより感染が広がることを防ぐことができます。
②リストアする(バックアップから感染前のデータを復旧する)
さらに、感染したサーバーのバックアップを確認し、最新のバックアップからデータを復元することができます(これをリストアと言います)。これにより、被害を回復することができます。
ただし、ランサムウェア感染時は、復旧だけではなく、攻撃経路の特定や、再発防止策の検討が必要となります。攻撃に遭った場合は「フォレンジック調査」を検討しておきましょう。
③ランサムウェア感染調査に対応した専門業者を利用する
ランサムウェア感染時は、感染経路を特定し、再発防止策を講じる必要があります。
たとえば「脆弱性」を悪用した攻撃を受けた場合、再攻撃を受けないよう、適切な対応を行うとともに、どの端末の、どのデータが被害に遭ったのかを確認する必要があります。
特に法人の場合、個人情報の漏えいが疑われる際は、関係各所に向けた「被害報告」が必要ですが、自社調査だけでは客観性や正確性が担保できないことがあります。セキュリティツールはマルウェアを検知・駆除できますが、感染経路や情報漏えいの有無を適切に調査することはできないからです。
したがって、ランサムウェア感染時は、感染経路調査に対応した「フォレンジック調査」を利用することが有効です。
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フォレンジック調査は、DDF(デジタルデータフォレンジック)までご相談ください。
累計32,377件のご相談実績(※1)があり、他社にはないデータ復旧業者14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術(※2)とフォレンジック技術を駆使してお客様の問題解決をサポートします。
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※1 データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと
第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(集計期間:2007年~2020年)
※2 累計ご相談件数32,377件を突破(期間:2016年9月1日~)
Albabatランサムウェア(.abbt)の感染経路
Albabatランサムウェアの感染経路として考えられるものは次のとおりです。
- 偽造プログラムとして配布
- VPNの脆弱性
- RDPの脆弱性
- フィッシングメールや添付ファイル
偽造プログラムとして配布
Albabatランサムウェアは、あるツールやプログラムの偽造プログラムとして配信されています。今までの感染経路としてあるものを以下で紹介します。
出典:fortinet
Windows10デジタルアクティベートツール
Windows10デジタルアクティベートツールとは、Windows10 PCのハードウェア変更等によってライセンス認証から外された場合にライセンスを再認証するために使用するツールです。
Counter-Strike2のチートプログラム
Counter-Strike2とはゲームの名前であり、そのゲームをプレイする際に不正行為(ズル)をするために使用するプログラムをチートプログラムと言います。
VPNの脆弱性
警察庁の調査によると、ランサムウェア感染において、VPN機器からの侵入は全体の71%を占めています。
企業は感染を防止するためにも、テレワークでVPNを使用する際には、適切なバージョンアップを行うことが重要です。またVPN以外のセキュリティ対策としてファイアウォールやアンチウイルスソフトウェアを導入し、強力なパスワードの使用や、適切なアカウント管理をおこなう必要があります。
出典:警察庁
RDP(リモートデスクトップ)の脆弱性
警察庁の調査によると、RDP(リモートデスクトップ)は、ランサムウェアの侵入経路として10%を確保しています。
RDPもVPNも、組織におけるシステム上重要な役割を担っていますが、重大な脆弱性も報告されており、ここから攻撃者はIDやパスワード情報を割り出し、不正ログイン、感染拡大を図っています。
被害を未然に防ぐためにも、パスワード更新、定期的なセキュリティチェックなどが必要です。またVPNも同様に、機密情報の暗号化や不正アクセスの監視などが必要です。
出典:警察庁
フィッシングメールや添付ファイル
フィッシングメールの添付ファイルは、ランサムウェアの感染経路として一般的です。たとえば攻撃者は、実在する企業や個人になりすまして、請求書や領収書、納品書などの偽装ファイルをメールに添付して送信します。
この際、Emotet(エモテット)などの危険なマルウェアが、その手口に利用されることが多く、添付ファイルを開くと、ランサムウェアが実行されて感染する恐れがあります。
ランサムウェア感染時、感染経路調査を行うメリット
ランサムウェアに感染した場合、感染経路を調査することで、攻撃者の侵入方法を特定し、将来の攻撃から身を守るために対策を講じることができます。
ランサムウェア感染の調査を行う方法として「フォレンジック調査」を挙げることができます。フォレンジック調査とは、電子機器から証拠を収集・分析して、インシデントの詳細を解明する手法で、たとえば攻撃者がどのようにランサムウェアを侵入させたか、どのような手法や脆弱性が悪用されたかなど、感染経路や情報漏えいの特定に役立ちます。
ランサムウェア感染時の対処におけるフォレンジック調査のメリットは次のとおりです。
- 被害範囲を特定できる
- 感染経路や攻撃手法の解析・証拠が確保できる
- 専門エンジニアの詳細な調査結果が得られる
- セキュリティの脆弱性を発見し、再発を防止できる
①被害範囲を特定できる
フォレンジック調査は、感染したシステムやネットワーク内での攻撃の拡散範囲を特定するのに役立ちます。これにより、被害を受けたシステムやデータ、ネットワークの一部を迅速に特定し、対処を開始することができます。
②感染経路や攻撃手法の解析・証拠が確保できる
フォレンジック調査では、ランサムウェアの攻撃手法や感染経路を解析し、証拠を確保できます。また、証拠の確保は、法的な措置や法執行機関との連携に役立つだけでなく、被害の評価や保険請求のためにも重要な要素となります。
③専門エンジニアの詳細な調査結果が得られる
フォレンジック調査の専門会社には、正確にハッキング被害の実態を確認するために必要な高度な技術を持つ専門エンジニアがいます。
自社調査だけでは不適切な場合がありますが、フォレンジックの専門業者と提携することで、調査結果をまとめた報告書が作成でき、公的機関や法廷に提出することができます。
④セキュリティの脆弱性を発見し、再発を防止できる
フォレンジック調査では、マルウェアによる被害の程度や感染経路を特定することで、今後のリスクマネジメントに貢献することが出来ます。弊社では、解析調査と報告書作成の他に、お客様のセキュリティを強化するためのサポートも提供しています。
私たちデジタルデータフォレンジックは官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験があります。お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
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ランサムウェアによる被害の調査を行う場合、専門業者に相談する
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセスのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
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ランサムウェア調査会社への相談方法
インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
取引先や行政に報告する際、自社での調査だけでは、正確な情報は得られません。むしろ意図的にデータ改ざん・削除されている場合は、情報の信頼性が問われることもあります。
インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
DDF(デジタルデータフォレンジック)では、フォレンジックの技術を駆使して、法人/個人を問わず、お客様の問題解決をいたします。
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