社長であっても、会社のお金を私的に使用した場合は横領にあたるのでしょうか?
社長と会社は別個の法人格であるため、株主が社長一人の場合でも私的な使用は業務上横領となり、民事または刑事責任が発生します。
被害額が大きく、損害賠償請求や刑事責任を追及したい場合は、横領の事実を裏付ける客観的証拠を確保する必要があります。
この記事では、社長による横領の処罰の内容から、民事・刑事責任を追及したい場合に必要な証拠確保の方法までを紹介しています。
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目次
社長の横領はどのような罪になるか
社長が自身の会社のお金を私的に使い込んだ場合も業務上横領罪となりますが、横領の手口によっては別の罪が加算される場合があります。
私的に使用した場合は横領罪となる
法律上、社長という「個人」と、会社である「法人」は別個の法人格であるため、会社の財産を社長が勝手に利用・処分した場合は、業務上横領罪に問われます。
会社のお金は自己が管理する「他人のお金」という扱いになるため、私用で利用すると業務上横領となり、成立した場合には「10年以下の懲役」が科されることになります。
また、社長が着服した現金は会社の損害となるため、株式会社に対して生じた損害を賠償する任務懈怠責任(423条1項)を負う可能性もあります。
株主が社長のみであっても横領罪とみなす
株主が社長一人のみの会社であったとしても、個人と法人という別個の法人格であることに変わりはないため、業務上横領罪になります。
被害規模が大きい場合、刑事責任にあたる特別背任罪(会社法960条、961条)が科される場合があり「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はその両方」と、厳しいものになっています。
領収書などを偽造すると有印私文書偽造等罪となる
横領を隠蔽するために領収書を偽造した場合、有印私文書偽造罪(刑法第159条第1項)が成立し、3月以上5年以下の懲役刑となります。また、偽造した領収書を使用すると、偽造私文書行使罪(刑法第161条)も成立します。社長といえども、会社と個人は別法人格であるため、これらの犯罪行為は厳しく罰せられます。
破産手続きの過程で詐欺破産罪が課されることがある
社長による横領行為が発覚し、会社が破産に至る過程で、詐欺破産罪が問われることがあります。詐欺破産罪とは、破産法265条に規定され、債権者を害する目的で財産を隠匿したり、不当に処分したりする行為を指します。
「会社の財産を隠す」「親族や知人に財産を不当に譲渡する」「実際よりも低い金額で財産を売却する」「架空の債務を作り出す」といった行為が発覚した場合、社長は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
また、破産手続きにおいて免責が認められず、借金が帳消しにならないこともあります。
社長の横領が疑われる場合の流れ
経理担当や従業員に限らず、社長であっても横領した場合は刑事告訴、または民事上の責任である損害賠償を請求することができます。
ただし、社長に対し横領の責任追及をしたい場合は、十分な証拠や横領の事実、被害額の確認と証拠が必要になるため、以下の流れを抑えるようにしましょう。
横領した本人に確認する
事実関係の調査と証拠の確保がある程度進んだら、横領している疑いのある社長本人に事情の聞き取りを行います。
この際、聴取事項はあらかじめ準備しておき、目的を明確にするようにしましょう。聴取事項としては以下の物があります。
- 横領した事実を認めるか
- 横領の内容と手段、使途
- 返済の意思があるか、返済方法について
- 横領の協力者がいるか、被害者が社外にもいるか
聴取役と記録役の最低2名で行い、対象者の発言は全て書面で記録するか録音するようにしましょう。
しかし、証拠が全くない中での尋問は、横領を認めない可能性があるだけでなく、共犯者によって証拠隠滅がされるリスクがあります。調査会社に依頼して先にデジタル端末などから横領の証拠を確保しておくことなども検討しましょう。
横領の事実関係を調査する
社長による横領が疑われる場合は、横領の有無や被害額の確認が必要になり、主に行う調査としては以下の物が挙げられます。
- 領収書や帳簿の裏取り
- 防犯カメラの記録
- 取引先や従業員への聞き取り
- パソコン内の情報やメールの履歴調査
- 外部機器による情報持ち出し調査
この中でもパソコン内の情報や、共犯者などはいないかメールの履歴などを調査して裁判などの証拠とするには、様々な障害があります。
第一にデジタルデータは改ざんが容易です。単なるスクリーンショットや外付け機器にコピーしただけでは、データの同一性を証明する「ハッシュ値」が変更されるため証拠能力が失われる可能性もあります。
第二に証拠隠滅のためにパソコンを初期化されたりデータを削除されると、証拠能力を保持したままデータ復旧を行うことが一般的な方法では困難となります。
電子端末などからデータを法的証拠として収集するにはフォレンジック調査と呼ばれる調査を行いましょう。この調査では端末内のデータの証拠保全作業を行ったうえで、証拠の収集や解析を行います。専門家に相談すると法的活用可能な調査結果報告書の作成まで行うことができます。
社内で調査を完結させると、証拠データが上書きされるなどのミスで、証拠収集が不十分となる可能性があるため、データ関係の証拠は調査会社に依頼するようにしましょう。
横領が発覚した場合の対応
横領が発覚、確定した場合は以下の手段を取ることができます。
損害賠償請求
社長が業務上横領をした場合、民事上の責任である損害賠償請求をすることができます。
しかし、業務上横領は他の横領と違い、比較的に被害金額が高額になる傾向があり、回収が難しい場合があります。
この場合、退職金の不支給や、退職後の再就職先で得ている給料の差押えから回収する方法が一般的です。
損害賠償請求を提起する場合、横領した事実を裏付ける証拠が必要になります。関係者の話やデータ履歴など、証拠となるものは全て残しておくようにし、必要な場合は調査会社に相談して証拠を確保するようにしましょう。
刑事告訴
被害額の規模が大きい場合は、刑事告訴に踏み切り、刑事上の責任を追及することも可能です。
刑事告訴とは、被害者が捜査機関に対し、事実を申告して犯人の処罰を求めることを言います。警察署に告訴状を提出することで捜査が開始になりますが、告訴を受理してもらうためには、横領の事実を証明する客観的証拠を提示する必要があります。
自社での調査は客観性が担保されず、受理されない可能性があります。この場合、外部の調査会社と提携することで、専門的な知識に基づいた調査で客観性がある証拠を確保でき、裁判でも使用できる書類の作成まで行うことができます。
個人や自社のみでの客観的な証拠の確保は難しく、膨大なコストと時間が必要になります。横領による被害額が大きい場合は、調査会社に相談し、適切な対処を取るようにしましょう。
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横領の可能性がある場合は専門業者に調査を依頼する
社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
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