社内不正が発覚したとき、まず何をすべきか。初動対応を誤れば、証拠の消失や再発のリスクが高まり、企業の信頼も損なわれます。
適切な手順を踏んで早期に対応することで、証拠を確保し、調査や法的措置につなげることができます。一方で、対応を誤れば、証拠の消失や再発のリスクを高めてしまいます。
本記事では「社内不正調査」の初動対応から証拠収集、関係部署との連携、専門家への依頼タイミングまで、実務に役立つ流れを体系的に解説します。
目次
不正調査とは
不正調査とは、企業内で発生した不正行為に対して、事実関係の把握と証拠の収集を通じて原因や影響を明らかにし、再発防止策につなげるための調査活動です。企業の信頼性やコンプライアンス遵守の観点からも極めて重要な取り組みです。
不正調査の対象となる社内インシデント
社内不正調査の対象となるインシデントは多岐にわたります。以下は代表的な不正行為の一覧です。
- 不正会計・粉飾決算
- 業務上横領・着服
- 贈収賄・汚職
- データ偽装・品質不正
- 不正アクセス・情報漏えい
- セクシャルハラスメント(セクハラ)
- パワーハラスメント(パワハラ)
- 勤怠・タイムシート改ざん
- 機密情報の持ち出し・漏洩
- 勤務実態と異なる勤怠記録の申請
- 業務用PCの私的利用
これらの行為は企業の信用を著しく損なう恐れがあるため、早期の発見と対応が重要です。
社内不正調査の全体フローと初動対応のポイント
社内不正が疑われる場面では、適切な初動対応と社内外での役割分担が重要です。以下に、不正調査を進める際の基本的な流れと初期対応のポイントを整理しました。
初動対応から報告までの流れ
社内不正が疑われる場合、まず行うべきは「初動対応」です。初動では、状況把握、証拠確保、関係者の聞き取りなどを迅速に行い、事実関係の整理を進めます。その後、必要に応じて調査結果を関係部署や経営層へ報告し、法的対応や社内処分に移行します。
社内調査と外部専門家の役割分担
社内では主に初期対応と内部資料の確認、ヒアリングなどを実施します。一方で、法的リスクや証拠保全の技術的な観点からは、外部のデジタルフォレンジック専門家に調査を依頼することで、客観性と正確性を担保することが可能です。
調査の基本方針を策定
調査の目的(原因究明・再発防止・処分判断など)や対象範囲、優先順位を明確に定め、社内の調査責任者と必要な関係部署を巻き込んで方針を共有します。
たとえば、「対象は経理部門に限定する」「1週間以内に中間報告をまとめる」など、具体的な運用ルールを設けることが重要です。
行政機関・社内への報告要否を判断
横領や個人情報漏えいなど法令違反が疑われる場合は、警察や所轄官庁への報告義務が発生する可能性があります。また、社内規定に基づいてコンプライアンス部門や経営層への報告ルートも検討が必要です。
たとえば、内部通報制度を通じて通知された案件であれば、内部統制の観点からも早期報告が求められます。
ログ・PC・メールなどの証拠を早期に確保
不正の証拠となる可能性があるデジタルデータ(操作ログ、メール、ファイル履歴、USB接続履歴など)は、時間とともに上書き・削除されるため、即座に保全対応を行う必要があります。
たとえば、対象者のPCをシャットダウンせずに隔離し、ディスクイメージを取得することが一般的な初動です。
関係者に事実を公表する際の注意点
調査対象者や関係者に対して事実を通知する際は、「調査中であり確定的な判断ではない」ことを前提に、誤解を招かない表現を使う必要があります。
内容によっては社内通達文書や説明会形式を取ることもありますが、名誉棄損や風評リスクを避けるため、情報の開示範囲やタイミングは慎重に判断すべきです。
証拠の保全・収集・分析の進め方
保全されたデータは、フォレンジックツールを用いて専門的に解析を行い、時系列に沿った行動ログや操作履歴を整理します。たとえば、「いつ・どのファイルを・どの端末で・誰が操作したのか」などを明確にし、関係者の証言や行動と照合して裏付けを取っていきます。
デジタルデータの正確な分析や証拠保全が必要な場合は、専門家によるフォレンジック調査の活用をご検討ください。
デジタル証拠の収集・保全の方法と注意点
デジタル証拠は、不正の事実を立証する重要な情報です。以下に、主な手順と注意点を簡潔にまとめます。
- 端末のディスクイメージ取得:PCやスマートフォンのストレージを複製し、元データを保ったまま分析します。
- ログの保全:ネットワーク機器やシステムのアクセスログを確保し、行動履歴を記録します。
- クラウド・メールデータの取得:クラウドやメールのデータを操作履歴と照合し、改ざんの有無を確認します。
- タイムラインの構築:証拠を時系列で整理し、矛盾や不審点を洗い出します。
調査時の注意点は以下の通りです。
- 通報者の保護:身元の秘匿や不利益の防止が必要です。
- 迅速かつ目立たない対応:証拠隠滅を防ぐため、水面下で調査を進めます。
- 外部専門家の活用:社内だけで完結せず、法的・技術的な支援を受けます。
- 端末使用の制限:対象者には端末を使わせないようにします。
- 証拠の取扱いに注意:復旧やコピーは専門家に任せ、証拠の信頼性を確保します。
正確で信頼性の高い証拠収集は、不正調査の成否を左右します。
社内不正が疑われる場合、専門家に相談するメリット
社内だけで不正調査を進めることには限界があり、専門家の支援を受けることで調査の質とスピードが格段に向上します。以下は、専門家へ相談する主なメリットです。
① 調査計画や社内対応が効率化できる
経験豊富な専門家の支援を受けることで、調査の全体像や進め方が明確になり、無駄な作業を避けることが可能となります。調査範囲の優先順位付けや関係部署との連携もスムーズになり、時間やコストの最適化につながります。
② 中立かつ客観的な証拠収集ができる
利害関係のない第三者が関わることで、データの信頼性や調査結果の客観性が保たれます。社内の対立構造に巻き込まれるリスクも低減でき、公平な判断材料として経営層や法的機関への説明にも有効です。特に、社内通報が発端となる案件では、調査の信頼性を担保するため外部の関与が不可欠です。
③ 法的観点からのサポートが得られる
刑事告訴や民事対応を見据えた調査が可能となり、証拠となるデータの法的有効性も確保されます。弁護士や法務部との連携も円滑に進められ、後の訴訟リスクや手続き上の不備を未然に防ぐことができます。
④ 詳細かつ精密な調査結果が得られる
専門家による高度なフォレンジック技術により、見落とされがちなデジタル証拠や時系列データまで正確に解析できます。断片的な情報を組み合わせることで、不正行為の全体像や経緯を明確に把握することが可能となります。
⑤ セキュリティの脆弱性を発見・改善できる
調査を通じて明らかになったセキュリティ上の問題点を洗い出し、再発防止策や改善提案を受けることが可能です。技術的な脆弱性だけでなく、運用や権限管理の見直しなど、組織全体のセキュリティレベル向上にもつながります。
よりセキュリティ診断や脆弱性への対応について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
フォレンジック調査の活用事例
実際に行われたフォレンジック調査の中から、代表的な社内不正の調査事例をいくつかご紹介します。証拠の取得方法や調査の進め方、どのように不正の全体像が明らかになったのかをご確認ください。
業務上横領における調査事例
社員が会社資金を不正に引き出している疑いがある場合、まずはPC内の帳簿ファイルや送金履歴、USB接続ログなどをもとに調査を進めます。どのタイミングで、どの手口で資金が動かされたのか、またどの程度の金額が不正に処理されたのかを明らかにすることが重要です。
送金先の傾向や不正実行のタイミング、対象者の業務範囲などを総合的に分析し、横領の全体像を可視化します。
業務上横領に該当する行為や刑事・民事上の責任について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
機密データの無断持ち出し・情報漏えい調査事例
退職予定の従業員による顧客データの持ち出しが疑われる場合、PCの操作ログやクラウドストレージのアクセス履歴をもとに、不正なアップロードやファイル共有の痕跡を調査します。
あわせて、端末の使用状況やメール送信履歴、外部ストレージの接続ログなどを突き合わせることで、持ち出しが行われたタイミングや手段を特定します。調査では、データ量や対象ファイルの中身、アクセス元IPアドレスなども重要な確認ポイントとなります。
こうしたケースでよく見られる持ち出し手口や傾向、具体的な調査方法については、以下の記事でも詳しく解説されています。
出退勤データのタイムシート改ざん調査事例
勤怠システムに虚偽の打刻が行われていた疑いがある場合、PCのログイン履歴やネットワーク接続の記録と照らし合わせて、実際の出勤・退勤時間を検証します。
システムへの打刻時間とPCの利用履歴にズレがあるか、定時前のログインや退勤後の操作が確認されるかなどを調査し、記録の改ざんがあったかどうかを明らかにします。
こうした勤怠不正の調査では、PCログを活用することで、客観的な行動証拠を得ることが可能です。調査方法や典型的な改ざんパターンについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
社内不正を調査・相談・依頼をするなら、フォレンジック調査が有効
社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
デジタルデータフォレンジックの強み
デジタルデータフォレンジックは、迅速な対応と確実な証拠収集で、お客様の安全と安心を支える専門業者です。デジタルデータフォレンジックの強みをご紹介します。
累計相談件数39,451件以上のご相談実績
官公庁・上場企業・大手保険会社・法律事務所・監査法人等から個人様まで幅広い支持をいただいており、累積39,451件以上(※1)のご相談実績があります。また、警察・捜査機関から累計395件以上(※2)のご相談実績があり、多数の感謝状をいただいています。
(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
国内最大規模の最新設備・技術
自社内に40名以上の専門エンジニアが在籍し、14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術(※3)とフォレンジック技術でお客様の問題解決をサポートできます。多種多様な調査依頼にお応えするため、世界各国から最新鋭の調査・解析ツールや復旧設備を導入しています。
(※3)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
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よくある質問
対応内容・期間などにより変動いたします。
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まとめ
社内不正が発覚した際の対応には、スピード・正確性・法的観点のすべてが求められます。初動の判断ミスや証拠の取り扱いの誤りが、企業の信用失墜や法的リスクに直結する恐れもあります。
本記事で紹介したように、社内不正調査には明確な手順と専門的な対応が不可欠です。調査方針の策定からデジタル証拠の保全、外部専門家との連携まで、的確な対応を取ることで、問題の早期解決と再発防止が可能となります。
不正の兆候を見逃さず、適切なアクションを迅速に講じる体制を整えることが、企業の信頼を守る第一歩となるでしょう。



