近年、企業や個人を狙ったウイルスメール(マルウェア付きメール)が急増しており、誤って開いてしまうと深刻な情報漏洩や金銭的被害につながるケースもあります。
万が一ウイルスメールを開いてしまった場合でも、初動対応を間違えなければ被害を最小限に抑えることが可能です。
特に業務用端末や重要な情報にアクセスできる環境であれば、証拠保全のためにフォレンジック調査(デジタル証拠の解析)を専門機関に依頼することも検討しましょう。
本記事では、初心者でも簡単にできる「ウイルスメールの見分け方」と、実際に届いた際の「具体的な対処法8選」を解説します。
目次
ウイルスメールとは
ウイルスメールとは、悪意のあるファイルやリンクを含むメールで、開封・クリックすることでパソコンやスマートフォンにウイルス(マルウェア)が感染する危険なメールです。感染すると、次のような被害が発生する可能性があります。
- 個人情報・パスワードの漏洩
 - 端末の乗っ取り・遠隔操作
 - 企業システムへの侵入
 - ランサムウェアによるデータ暗号化と金銭要求
 
ウイルスメールの特徴
ウイルスメールにはいくつかの共通した特徴があります。以下に典型的な特徴を紹介します。
- 大手企業や宅配業者を装っている(Amazon、佐川急便など)
 - 件名や本文で「至急対応」「アカウント停止」などの緊急性を強調
 - 添付ファイル(zip, exe, docmなど)やリンクが含まれている
 - 不自然な日本語、誤字・脱字が多い
 - メールの署名や会社情報が不明確
 
ウイルスメールは見た目では判断しづらく、たった一度のクリックで大きなリスクを招くこともあります。メールを開いてしまった、または判断に迷ってしまった場合、自分だけで対応しようとするのは危険です。
安全を確保するためには、冷静に状況を把握し、必要に応じて専門機関へ相談することが重要です。判断に不安がある方は、フォレンジック調査を活用して客観的に状況を確認しましょう。
ウイルスメールの種類
2025年現在では、「ばらまき型」「標的型」「スレッドハイジャック型」が被害報告の中心であり、さらにマルウェアの種類や巧妙な偽装手法(AI活用など)によって細分化されています。
1.ばらまき型ウイルスメール
ばらまき型ウイルスメールとは、不特定多数に一斉送信されるウイルスメールです。攻撃者は大量のメールアドレスを使い、「宅配便の不在通知」「請求書」などありふれた件名で送信し、添付ファイルやリンクを開かせようとします。
個人を狙うのではなく、「数撃ちゃ当たる」方式で、反応した人にマルウェアを実行させるのが狙いです。ファイルを開くと、情報漏えいやファイルの暗号化といった深刻な被害に繋がる恐れがあります。日頃から怪しいメールを見分ける力をつけることが最大の防御策です。
2.標的型ウイルスメール(標的型攻撃メール)
標的型ウイルスメールは、特定の個人や組織を狙って送られる不正なメールです。実在の関係者を装い、業務に関係するような内容で添付ファイルやリンクを開かせることで、ウイルスに感染させます。主な目的は、情報の窃取やネットワークへの侵入などです。一見すると通常の業務メールに見えるため、注意が必要です。
3.スレッドハイジャック型ウイルスメール
スレッドハイジャック型ウイルスメールは、過去のメールのやり取りに割り込む形で送られる巧妙なウイルスメールです。攻撃者が乗っ取ったアカウントを使い、あたかも正規の会話の続きを装って不正なメールを送ってきます。
例えば「資料の最新版を添付しました」といった自然な文面でマルウェアを送り、受信者に疑いなく開かせようとします。実際のやり取りに紛れて届くため、経験者でも見抜きにくいのが特徴です。本文が自然でも、添付ファイルやリンクの確認を怠らない習慣が重要です。
ウイルスメールの見分け方5選
ウイルスメールは見た目では判断しづらく、実在の企業や知人を装って届くため、うっかり信じてしまいがちです。しかし、いくつかの共通した「サイン」を押さえておくことで、高い確率で見分けることができます。
以下に、確認できる「ウイルスメールの見分け方」のポイントを5つに絞って紹介します。
1.メールアドレスのドメイン名の確認
送信者名に惑わされず、実際のメールアドレスを必ず確認しましょう。
- 本物:support@amazon.co.jp
 - 偽物:support@amaz0n-alert.com(見かけだけ似ている)
 
2.メール内容が不自然
海外の攻撃者が送っていることが多いため、日本語が不自然であったり、言い回しに違和感があります。
- 例:「あなたのパスワードが損傷されています」
 - 例:「至急にお支払い失敗について連絡ください」
 
3.添付ファイルの拡張子を確認する
添付ファイルの拡張子(ファイル名の末尾にある「.exe」や「.zip」など)を確認することで、ウイルスメールを見分けやすくなります。以下のような拡張子が付いたファイルはマルウェアが仕込まれている可能性が高く、非常に危険です。
- .exe(実行ファイル)
→クリックすると自動でプログラムが動作。ウイルス本体が入っている場合が多い
 - .js、.vbs(スクリプトファイル)
→ファイルを開くとPC上で自動的にコードが実行され、感染につながる
 - .zip(圧縮ファイル)
→見た目は無害だが、中に .exe や .js などが含まれていることがあり注意が必要 
4.メールアドレスやURLを確認
本文に記載されているリンクにマウスを乗せて、表示されるURLが正規のものかをチェックしましょう。
- 公式:https://www.sagawa-exp.co.jp/
 - 偽装:https://sagawa-secure-delivery.jp/verify
 
5.セキュリティソフトの警告を確認
セキュリティソフトがインストールされている場合、不審なメールや添付ファイルを自動的に検知・警告してくれることがあります。
- リアルタイム保護が有効になっているか確認
 - 手動スキャンを実行し、端末をチェック
 
ウイルスメールは巧妙に作られており、見た目だけで正確に見分けるのは困難です。万が一に備えて、セキュリティソフトの設定やリアルタイム保護の状態を定期的に確認し、早期にリスクを察知できる環境を整えることが大切です。
見分けに不安がある場合は、専門機関やフォレンジック調査の活用も視野に入れ、被害を未然に防ぎましょう。
ウイルスメールを受け取ったときとクリック後・感染の疑いがある場合の対処法
ウイルスメールを受け取ったからといって、すぐに被害が発生するわけではありません。重要なのは、その後の対応です。落ち着いて正しい手順を踏めば、多くのリスクは回避できます。
ここでは、ウイルスメールに気づいたとき、または誤って開いてしまったときに取るべき具体的な対処法を8つ、以下にまとめました。状況ごとに適切な行動を選ぶことで、被害の発生や拡大を防ぐことができます。
1.メールを削除し、ゴミ箱も空にする
開封前に削除すれば、リスクはほぼゼロにできます。不審なメールは開かず削除し、ゴミ箱も完全に空にすることで、うっかり開封のリスクを防げます。
2.メールを報告・通報する(どちらのケースでも対応)
不審なメールを受け取った場合は、組織内の他のユーザーや外部機関と情報を共有し、被害を広げないようにすることが重要です。会社の場合は速やかに情報システム部門に連絡し、必要に応じて外部機関への通報も行いましょう。
個人利用であっても、マルウェア感染やフィッシングの可能性があるメールは、適切な機関に報告することで、他の利用者への注意喚起や対策に役立ちます。
- JPCERT/CC インシデント報告フォーム
→ウイルスメールや不審な添付ファイル付きメールはこちらに報告 - IPA(情報処理推進機構) 安全相談窓口
→セキュリティ被害や不安がある個人・企業向けの相談窓口 - 警察庁 サイバー犯罪対策
→被害が発生している場合や犯罪性が高いと判断されるケースは、こちらに通報 - フィッシング対策協議会(※フィッシングメール専用)
→ クレジットカードやネットバンクを装ったフィッシング詐欺メールはこちらに通報可能(※マルウェア付きウイルスメールの通報先ではありません) 
3.セキュリティソフトを最新の状態に保つ
最新状態を保つことで、未知のウイルスにも素早く対応できます。ウイルス定義ファイルの自動更新を有効にし、脅威に備えた常時監視体制を整えましょう。
4.今後の対策を講じる
一度の対処で終わらせず、再発防止の取り組みが重要です。迷惑メールフィルターの設定や、社内教育の見直しなどを通じて、同様の被害を未然に防ぎます。
5.ネットワークから切断する
被害の拡大を防ぐための初動対応として非常に有効です。社内ネットワークやWi-Fiから即座に切断し、情報漏えいやマルウェアの拡散を防ぎます。
6.ウイルススキャンを実行する
感染の有無を確認し、検出された場合は速やかに駆除します。信頼性の高いセキュリティソフトでフルスキャンを行い、端末の状態をチェックしてください。
7.パスワードを変更する
万が一リンクを開いてしまった、フォームに情報を入力したなどの行為をした場合は、重要なアカウントのパスワードを速やかに変更してください。
8.フォレンジック調査を依頼する
ウイルスメールを開いてしまった、または添付ファイルを実行してしまい、マルウェア感染の可能性がある場合には、自己判断で対応するのは非常に危険です。少しでも不安がある場合は、専門機関によるフォレンジック調査(感染状況や被害範囲を客観的に解析する調査)を検討しましょう。
フォレンジック調査を行うことで、感染経路やマルウェアの動作、情報流出の有無などを技術的に分析でき、誤った初動対応による被害拡大を防ぐことができます。また、システム全体の安全確保や、再発防止策の立案にもつながります。
特に法人の場合は、正確な調査結果が、法的対応や関係機関への報告、社内の再発防止策を検討する際の重要な根拠資料となります。インシデントの影響を最小限に抑えるためにも、早期の専門対応が重要です。
詳しく調べる際はフォレンジック調査会社に相談を
サイバー攻撃、不正アクセス、マルウェア感染のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
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まとめ
ウイルスメールは誰にでも届く可能性があるサイバー脅威です。しかし、日ごろからメールの見分け方を身につけておけば、被害を未然に防ぐことができます。万が一、ウイルスメールを開いてしまった場合でも、正しい対処を迅速に行えば感染拡大を防げます。
重要なのは「慌てず、冷静に、手順通りに」対処することです。そして企業・組織では、技術的対策と人的対策(教育)を両立させることが、サイバー攻撃への最大の防御となります。
よくある質問
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