SaaS(Software as a Service)を活用する企業が増える中、情報漏洩のリスクも急増しています。SaaSの利便性は高いですが、適切なセキュリティ対策が不足していると、企業の重要なデータが外部に流出する危険性があります。本記事では、SaaSにおける情報漏洩の原因と具体的な対策を解説し、情報漏洩を防ぐためのベストプラクティスを紹介します。
目次
SaaSにおける情報漏洩の原因
SaaS利用時に発生する情報漏洩には、いくつかの共通する原因があります。これらのリスクを理解し、対策を講じることが重要です。
設定ミスによる情報露出
SaaSサービスでは、誤った設定によってデータが外部に漏洩することが多く見られます。特に、クラウドストレージの設定ミスによる情報漏洩は代表的なケースです。たとえば、特定のディレクトリやファイルを外部アクセス可能に設定してしまうと、機密情報が誰でも閲覧できる状態になることがあります。
- SaaS管理画面にログインし、アクセス制御に関する設定を確認します。
- デフォルトの公開設定を確認し、必要に応じてアクセスを制限します。
- ファイルやフォルダのアクセス権を特定のユーザーやグループのみに限定します。
- 外部共有リンクの設定を定期的に見直し、不必要な共有は無効にします。
アクセス権限の管理不備
SaaSの利用において、アクセス権限の管理が不適切だと、内部の不正や外部からの不正アクセスによる情報漏洩が発生する可能性があります。多くの企業では、特定のユーザーに対して過剰な権限を与えてしまい、それが情報漏洩の原因となることがあります。
- 「ユーザー管理」ページにアクセスし、各ユーザーのアクセス権限を確認します。
- 役割ベースのアクセス管理(RBAC)を実施し、必要最小限の権限を設定します。
- 定期的にアクセス権限のレビューを行い、不要な権限を削除します。
ユーザーのセキュリティ知識不足
SaaS利用者がセキュリティの基本知識を欠いている場合、意図せず情報漏洩を引き起こすリスクが高まります。たとえば、誤ったパスワード管理やフィッシング攻撃への対処不足が原因となることがあります。
- 従業員に対して定期的にセキュリティ研修を実施します。
- 特に、パスワード管理や多要素認証(MFA)の重要性を強調します。
- フィッシングメールの特徴や対策についても教育します。
サービスの仕様変更による脆弱性
SaaSサービスは頻繁にアップデートや機能追加が行われますが、その際にセキュリティ設定が適切に維持されていないと、新たな脆弱性が生じることがあります。これにより、予期せぬ情報漏洩が発生する可能性があります。
- SaaSサービスのアップデートや変更情報を常にチェックします。
- 新機能や変更がセキュリティ設定に与える影響を確認します。
- 必要に応じて、セキュリティ設定を見直し、最新の設定を適用します。
外部攻撃による不正アクセス
SaaS環境における外部攻撃(ハッキング)により、不正にアクセスされ、データが盗まれるケースも増加しています。特に、多要素認証が導入されていない場合や、脆弱性のあるサードパーティツールが利用されている場合、攻撃者に狙われやすくなります。
- 多要素認証(MFA)を必ず導入します。
- 脆弱性スキャンを定期的に実施し、リスクのあるツールやプラグインを特定します。
- 侵入検知システム(IDS)やWebアプリケーションファイアウォール(WAF)を導入して、不審な動作を早期に検出します。
SaaSにおける情報漏洩の対策
SaaSにおける情報漏洩を防ぐためには、いくつかの具体的な対策を講じる必要があります。これらの対策を実行することで、データの安全性を確保し、漏洩リスクを最小限に抑えることが可能です。
アクセス権限の適切な設定
情報漏洩を防ぐための基本的な対策として、アクセス権限の設定が最も重要です。ユーザーやグループごとに、必要な範囲のみにアクセス権を付与し、過剰な権限を持たせないように管理します。
- 各ユーザーの業務内容を確認し、最低限必要なアクセス権限のみを付与します。
- 共有フォルダやプロジェクトでのアクセス権限を、必要最小限のメンバーに限定します。
- 定期的にアクセス権限を監査し、不要な権限を削除します。
多要素認証(MFA)の導入
多要素認証(MFA)は、パスワードに加えて、別の認証要素を要求することでセキュリティを強化します。これにより、パスワードが漏洩した場合でも、外部からの不正アクセスを防止できます。
- 管理者設定画面から、多要素認証のオプションを有効にします。
- 全ユーザーにMFAの使用を義務付けます。
- 定期的にMFA設定を確認し、正しく機能しているかを確認します。
定期的なセキュリティチェックと監査
セキュリティ設定が正しく維持されているかを確認するために、定期的な監査を行うことが必要です。特に、アクセス権限の見直しや、サードパーティツールの安全性確認を怠らないようにします。
- 四半期ごとにセキュリティ監査を計画します。
- サードパーティツールの利用状況や更新をチェックします。
- 監査結果をもとに、不適切な設定や脆弱なツールを修正します。
SSPMの導入
SaaS Security Posture Management(SSPM)は、SaaS環境全体のセキュリティ設定を自動でチェックし、設定ミスや脆弱性を発見して修正するためのツールです。これにより、セキュリティリスクを自動的に管理できます。
- SSPMツールを導入し、使用しているSaaSサービスのセキュリティ設定をスキャンします。
- 設定の不備や脆弱性をツールから通知された場合、速やかに修正します。
- 定期的にスキャンを実行し、新たな脆弱性がないか確認します。
ユーザー教育の強化
SaaS環境のセキュリティを保つためには、ユーザー自身のセキュリティ意識も重要です。パスワード管理やフィッシング対策に関する教育を定期的に行い、ユーザーのリテラシーを向上させます。
- セキュリティ研修を定期的に実施し、全従業員に参加を義務付けます。
- パスワード管理や多要素認証の利用方法を詳しく説明します。
- 最新のフィッシング詐欺手法とその対策についても、研修内容に含めます。
企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。
ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。
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情報漏えい調査はフォレンジック調査の専門家にご相談ください
情報漏えいインシデントが発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備での端末の調査・解析、調査報告書の提出ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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もちろん可能です。お客様の重要なデータをお取り扱いするにあたり、当社では機密保持誓約書ををお渡しし、機器やデータの取り扱いについても徹底管理を行っております。また当社では、プライバシーの保護を最優先に考えており、情報セキュリティの国際規格(ISO24001)およびPマークも取得しています。法人様、個人様に関わらず、匿名での相談も受け付けておりますので、安心してご相談ください。