デジタル社会において、サイバー攻撃のリスクは日々増加しており、避けては通れない脅威となっています。
攻撃がされると、個人情報が窃取されるほか、機密情報の漏えいやサービスの停止など、様々なリスクが発生します。
万が一、これらの被害が発生した場合、企業としての信用を失うだけでなく、収益損失や復旧までの業務停止が起きる可能性があります。
この記事では、実際に合ったサイバー攻撃の被害事例から予防策、発生するリスクについて解説しています。
目次
サイバー攻撃とは
サイバー攻撃とは、コンピューターやネットワークシステムに対して意図的に害を及ぼす行為です。個人情報の盗み出しやウェブサイトの機能停止、企業活動の妨害などが挙げられます。
会社の機密情報や営業秘密、顧客情報が盗まれると、ダークウェブ上で公開されたり、機密情報を競合他社に売買されることがあります。
サイバー攻撃は、技術の進化とともに日々巧妙化しており、個人から大企業、さらには国家レベルでのセキュリティ対策が求められています。
▶サイバー攻撃の手口とは?具体的な手口と被害に遭った時の効果的な対策方法
代表的なサイバー攻撃の種類
特に注目すべき、代表的なサイバー攻撃の種類について詳しく見ていきます。
- ランサムウェア
- フィッシング攻撃
- マルウェア
- Emotet
- ゼロデイ攻撃
- DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)
- SQLインジェクション
- クロスサイトスクリプティング(XSS)
- マンインザミドル攻撃(MITM)
ランサムウェア
ランサムウェアは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスに侵入し、ファイルやフォルダなどのデータを暗号化し、それらを元に戻すためには、「身代金」を支払うよう要求してきます。
攻撃者は身代金をビットコインなどの匿名性の高い方法を利用して要求してきます。焦って払ってしまうケースが多く見られますが、支払ってもデータが戻ってくる保証はありません。
予防策としては、重要なデータの定期的なバックアップや、セキュリティソフトの導入が挙げられ、身代金は支払わないことが重要です。
フィッシング攻撃
フィッシング攻撃は、実際に存在する組織や企業を装い、メールやウェブサイトから個人情報やログイン情報を詐取する詐欺行為の一種です。
本物そっくりのメールが来て、「パスワードを入力してください」やアカウント情報を確認してください」と言われますが、それらは全て偽物で、情報を盗むための罠です。
メールやウェブサイトを通じて実施されるため、リンクのURLが本物か慎重に確認し、不審なメールには応答しないことが重要です。
マルウェア
マルウェアは、「悪意のあるソフトウェア」の略で、悪意のあるソフトウェア全般を指します。ウイルスやワームなど、コンピューターに様々な害を及ぼすプログラムの総称です。
マルウェアに感染すると、パソコンの動きがおかしくなったり、重要な情報が盗まれる、システムが破壊されるなどの損害を引き起こします。
対策としては、常にソフトウェアを最新の状態に保ち、不審なメールの添付ファイルやリンクを開かないことが基本です。
Emotet
Emotetは、マルウェアの亜種です。2014年に初めて検出され、2019年には最も流行している脅威の1つになりました。
最初は銀行の情報を盗むために作られたEmotetですが、今では他のマルウェアを広めるための道具としても使われています。
日本国内では、被害が増加した後2020年以降は活動が無かったものの、2022年に活動再開が確認されており、手法も巧妙化しています。
Emotetは、ビジネスメールを装うことが多いため、企業は注意が必要です。感染した端末から情報が窃取されるだけでなく、さらなる感染拡大に悪用される可能性があります。
ゼロデイ攻撃
ソフトウェアやシステムに存在するセキュリティ上の欠陥を「脆弱性」と言います。ゼロデイ攻撃は、未知の脆弱性を悪用して攻撃を行います。
未知の脆弱性とは、セキュリティの欠陥が公に知られる前、つまりセキュリティ対策が施される「ゼロ日目」に攻撃が行われることから来ています。
ソフトウェアやシステム開発者自身がまだ認識していない脆弱性を突くため、専門知識が無い中での対策は困難です。攻撃者はこの脆弱性を利用して、マルウェアを仕込む、データを盗む、システムの改ざんなど様々な攻撃を行います。
DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)
DDoS攻撃は、多数のコンピュータを使って一つのターゲットに対し大量のデータを送りつけ、ウェブサイトやオンラインサービスを利用不能に追い込む攻撃です。この攻撃によって、正当なユーザーがサービスにアクセスできなくなります。
DoS攻撃とは、1台のコンピューターからサイバー攻撃をしてきますが、DDoS攻撃は、複数のコンピューターから一斉にサイバー攻撃をしてきます。 そのため、DDoS攻撃は膨大なデータが送られてくるため、攻撃対象はより過剰な負荷がかかるのです。
SQLインジェクション
SQLインジェクションは、不正な文字列を脆弱性のあるWebサイトに入力し、データを抽出する攻撃方法です。
この攻撃により、機密情報の漏洩やデータの改ざん、不正ログインなどが行われることがあります。
対策としては、入力値の検証とエスケープ、プリペアドステートメントの使用、データベースアクセス権の最小限化などが挙げられます。
▶SQLインジェクション攻撃の仕組み・事例・対策をわかりやすく解説
クロスサイトスクリプティング(XSS)
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者がWebアプリケーションに悪意のあるプログラムを注入し、Webサイトを経由してユーザーの情報を抜き出します。ショッピングサイトや掲示板などで発生しやすい攻撃です。
サイトを経由して(サイトをクロスして)攻撃することから「クロスサイト」と呼ばれています。ユーザーは、攻撃者が作成したWebサイトを閲覧しリンクをクリックすると、自動的に悪意のあるプログラムが実行されます。
2021年には、脆弱性を利用したサイバー攻撃で、クロスサイトスクリプティングの件数が最も多い結果となりました。
▶XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃とは?仕組みや対策について解説
マンインザミドル攻撃(MITM)
マンインザミドル攻撃(MITM)は、攻撃者が通信の中間に介入して、二者間のやり取りを盗聴したり、改ざんしたりする攻撃です。
この攻撃により、機密情報の漏洩や偽情報の送信が可能になります。MITM攻撃の対策には、SSLやTLSを利用した通信の暗号化技術の活用などがあります。
攻撃は企業や組織にとどまらず、個人ユーザーにとっても深刻な脅威であり、最新のサイバー攻撃に対応するには、専門的な技術と経験が必要です。フォレンジックの専門家は、これらの脅威を防止するだけでなく、感染した場合でも感染調査から、適切な対処を行うことができます。
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サイバー攻撃を受けると起こるリスク
サイバー攻撃は、組織や企業にとって重大なリスクをもたらします。攻撃の種類や規模に関わらず、深刻な結果を招くことがあります。
ここでは、サイバー攻撃を受けた際に生じるリスクについて解説します。
情報漏洩による信用失墜
情報漏洩は、サイバー攻撃により最も多く発生するリスクです。顧客の個人情報や企業の機密情報、財務情報などが外部に漏れた場合、信用失墜は避けられません。
情報漏洩は、顧客や取引先の信頼を損ない、企業のブランドイメージに長期にわたる損害を与えます。その結果、顧客離れを引き起こし、新規顧客の獲得が難しくなる原因となります。
業務やサービスの停止による経済的損失
サイバー攻撃の種類によっては、システムやネットワークを直接的に攻撃され、システムダウンを起こして企業の業務やサービスが停止することがあります。
この業務停止は一時的な収益損失だけでなく、長期的なビジネスチャンスの損失にも繋がります。また、復旧にかかるコストも経済的損失になるため、これらの費用は時に予想外の高額になることがあります。
損害賠償や罰金の負担
サイバー攻撃による情報漏洩が原因で、法的な責任を問われるケースがあります。特に、顧客の個人情報が漏えいした場合、個人情報保護委員会による損害賠償請求や罰金の対象となることがあります。
これらの法的責任は、企業にとって大きな負担となり、時には企業の存続を脅かすほどの影響を及ぼすこともあります。また、訴訟費用や対応にかかる時間も、企業にとって重大な経済的損失です。
サイバー攻撃がされた場合、調査会社に相談することで、感染した原因と被害データの流出範囲を調べることができ、正確な証拠を確保することによって、損害賠償や罰金を軽減できる可能性があります。
また、専門家の下で適切な対処と再発防止策を講じることで、会社のイメージや信用を回復できることも考えられます。自己対処で済まそうとせず、調査会社に相談するようにしましょう。
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実際にあったサイバー攻撃の被害事例
ここからは、実際にあったサイバー攻撃の被害事例を紹介します。
- クラウド環境の誤設定で顧客情報が215万件流出
- 製菓会社に不正アクセス被害、約165万人の個人情報が流出
- 鉄道会社の運営サイトで3700人のアカウントに不正ログイン
- ランサムウェア「wannacry」により、イギリス医療機関の業務に大きな支障
クラウド環境の誤設定で顧客情報が215万件流出
2023年に大手自動車メーカーが管理する顧客情報の約215万人のデータが、10年近くインターネット上で外部の人が閲覧できる状態になっていたと発覚しました。
発生した原因としては、クラウド環境の設定を誤っており、公開状態にしていたことが原因でした。
この件では、個人が特定される物ではありませんでしたが、再発防止策としてクラウドの設定を監査するシステムを導入しています。
製菓会社に不正アクセス被害、約165万人の個人情報が流出
とある製菓会社では、2022年に脆弱性を悪用した不正アクセスにより165万人の顧客情報が外部に流出した可能性があると発表しました。
氏名や住所、電話番号などが流出し、不正アクセスの影響で一部商品の製造がストップする事態になりました。
外部専門機関の下、原因や状況の調査や復旧に取り組み、個人情報保護委員会への報告を完了させ、専門窓口による対応を開始するなど、大掛かりな事件になりました。
鉄道会社の運営サイトで3700人のアカウントに不正ログイン
鉄道会社のインターネット予約サービスの会員3729人のアカウントが、不正ログインされ、そのうちの13人の個人情報が閲覧された可能性があると発表されました。
漏えいした内容は氏名や住所、クレジットカード情報の一部が挙げられました。情報流出による被害は確認されていませんが、不正ログインのあった3729人分のパスワードを強制的に変更して通知したほか、セキュリティー対策を強化しました。
ランサムウェア「wannacry」により、イギリス医療機関の業務に大きな支障
イギリスの国民保険サービスであるNHSは、2017年WannaCryに感染し、システムが大規模に影響を受け、病院やクリニックでの運営に支障をきたしました。
WannaCryは150カ国で20万台のコンピューターを感染させており、拡大スピードが速いことが特徴です。そのため、NHSでは安全確認ができるまでパソコンの使用が禁止されました。予約システムが停止し、緊急の医療処置が必要な患者の治療に遅れが生じるなど、重大な影響が出ました。
大規模な被害事例を紹介してきましたが、狙われるのは大手企業だけではありません。大手企業はセキュリティ対策を実施しているところも多く、サイバー攻撃を仕掛けるのが難しいからです。
そこで、攻撃者が目を向けるのは中小企業です。セキュリティ対策は大手と比べると甘いところも多いのが実情です。中小企業こそ、セキュリティ対策を見直し、攻撃された場合の対処法を講じておくことが必要です。
被害に遭った場合は調査会社に依頼する
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセスのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
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サイバー攻撃への基本的な事前対策
サイバー攻撃は日々進化し、多様化していますが、基本的な事前対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減することができます。
以下の項目は最低限抑えておくようにしましょう。
不審なメールに添付されたファイルやリンクはクリックしない
不審なメールにURLやファイルを添付し、ユーザーにクリックさせるフィッシング詐欺は、最も一般的な手法です。
不審なメールに添付されたファイルやリンクには、マルウェアが仕込まれている可能性があります。
メールの送信元が不明である場合や内容に不自然な点がある場合は、添付ファイルを開かず、リンクをクリックしないようにしましょう。また、疑わしいメールは、直ちに削除することが賢明です。
OSのアップデートを行う
OSや使用しているソフトウェアの定期的なアップデートは、セキュリティを保つ上で非常に重要です。
アップデートには、新たに発見された脆弱性を修正する内容が含まれているため、最新の状態を保つことで、攻撃者がこれらの脆弱性を悪用するリスクを減らすことができます。
多要素認証を取り入れる
多要素認証は、パスワードだけでなく、もう一つ以上の認証方法を加えることで、アカウントのセキュリティを強化する手段です。
例えば、SMSによるコード、指紋認証、顔認証などがあります。多要素認証を導入することで、たとえパスワードが漏洩しても、第三者による不正アクセスを防ぐことが可能になります。
セキュリティソフトを導入する
信頼できるセキュリティソフトウェアの導入は、マルウェアやランサムウェアなどからデバイスを守る基本的な方法です。
セキュリティソフトは、不正なプログラムを自動的に検出し、駆除する機能を持っていますが、感染経路や被害データの特定ができないほか、未知の脆弱性や最新の攻撃には対応できない場合があります。
専門家であれば、ノウハウを活用してこれらの攻撃にも対応できる可能性があります。安全かつ確実な対策、対処法を行いたい場合は、調査会社に相談するようにしましょう。
サイバー攻撃調査会社への相談方法
インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
取引先や行政に報告する際、自社での調査だけでは、正確な情報は得られません。むしろ意図的にデータ改ざん・削除されている場合は、情報の信頼性が問われることもあります。
インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
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