水増し請求とは、実際に払う必要のない費用を請求することです。
虚偽の請求書を発行するため、背任罪と詐欺罪が該当し、内容によってはその両方が処せられる場合があります。
従業員に損害賠償を請求するなど法的手段を取りたい場合、被害を受けた企業側は、客観性と正確性が担保された証拠を確保する必要があります。
この記事では、水増し請求の内容とよくあるケース、水増し請求が行われた場合に証拠を確保する方法について解説しています。
\累計ご相談件数39,000件以上/
目次
下請けを発注した際に起こりやすい水増し請求の内容
料金や経費など、実際の支出額よりも多く請求して、差額分を横領する行為を「水増し請求」と言います。
精神的プレッシャーを与え承認を迫るケースや、下請け会社と元請け会社の従業員が協力して、水増し請求するケースも増加しています。
建設業で実際に行われた水増し請求のケースを挙げると、下請け会社の従業員が元請け会社の従業員と、事前に相談・結託した上で、実際にかかった工事金額よりも多額の金額を請求、支払いをさせます。
この場合、帳簿に虚偽の記載なども併せて行われ、本来支払わなくていい金額を元請け会社に支払わせているので、結託した従業員同士は刑法246条である「詐欺罪」が成立します。
また、詐欺罪の他に「背任罪」が成立する可能性があります。
背任罪は刑法247条に定められており、他人のために事務を処理する物が、自己または第三者の利益を図り、任務に背く行為をし、損害を加えた場合に発生します。

業務上横領罪にはならない
「業務上横領にあたるのでは」と、考える人がいるかもしれませんが、業務上横領は自分が管理しているお金を着服した場合のことを言います。しかし水増し請求では他人の財産を着服するため該当しません。
背任罪と詐欺罪、どちらに該当するかは具体的な事案によって判断されますが、水増し請求をすると、着服した本人と取引先の協力者に詐欺罪の共同正犯が成立し、両方が科せられる可能性もあります。
水増し請求でよくある事例
水増し請求が発生しやすいケースとして、以下のような事例があります。
出来高査定や外注費に上乗せされている
建設業・製造業・メーカーなどの業界では、下請け会社を利用することが多い分、水増し請求の被害も相次いでいます。
例えば建設業では、毎月の工事の進捗や出来高に応じて支払われる「出来高査定」が採用されていることが多いです。
これは建設工事中の中間払いを行うための査定ですが、システム上、工事原価の計上や出来高の架空計上など、不正が発生しやすくなることは否定できません。
キックバックの手法を使用している
キックバックとは、売上額や取引額の一定基準を超えた業者に対して、支払いの一部を支払い人に戻すことを言います。
似たような言葉に「リベート」がありますが、キックバックはやや否定的な印象があるため、リベートの方が一般的に使用されます。
違法なキックバックの内容として、以下のようなケースがあります。
- メーカーの担当者Aが取引先のBと結託し、本来なら1,000万円で発注するところ、水増しした1,200万円の見積もりを作り100万円ずつAとBが私的に受け取った
違法なキックバックは建設業関係なく、どの企業であっても発生する可能性があり、水増ししたキックバックがされた場合は会社に損害が発生します。
本来は払うべきではない金額が含まれた請求は、損害を与えたとして詐欺罪や背任罪に当たる可能性があります。社内外の複数人が関わっている場合もあるため、スマホやパソコンのメールのやり取りなどが証拠となる場合もあります。
ただし、電子端末上のデータは改ざんが容易なため、外付け機器にコピーしたり、印刷しただけでは証拠として認められない場合もあります。
このような電子端末上のデータを法的証拠として取得するには、専門家に相談することをおすすめします。
フォレンジック調査会社のデジタルデータフォレンジックでは、電子端末内の水増し請求の証拠を調査しています。証拠隠滅されていた場合も対応できる場合があるため、まずはお気軽にご相談ください。匿名の相談も受け付けております。
水増し請求が発覚した場合の流れ
水増し請求がされていたことが発覚し、法的手段を取る場合は、証拠の確保が必要になります。
以下の方法で証拠を確保するようにしましょう。
社内調査を行い証拠を確保する
証拠を確保するためには社内調査が必要になり、確認するものとしては以下の物が挙げられます。
- 請求書や領収書などの帳簿類
- 会議録や稟議書などの書類
- 目撃者や関係者による証言
- メールやチャットなどの通信履歴
- パソコンに保存された請求書のデータ
水増し請求については、証拠を隠蔽される場合もあるため慎重に調査を進める必要があります。中には請求書を改ざんしている場合もあるため、詳細な調査をするために調査会社に依頼するなど、第三者を交えることが望ましいです。
また、とくにメールや情報などのデータに関する証拠は、自社のみでの証拠収集は難しく、専門知識が無い中での調査はほとんど不可能です。そのため、データに関する情報を確保したい場合は調査会社に依頼しましょう。
調査会社に証拠収集を相談する
最近は請求書などがパソコン上で作成されることもあり、金額が水増しされた請求書などのデータも法的証拠として認められています。
しかし、請求書などのデータは簡単に金額を改ざんできてしまうため、単にデータを保存しただけでは証拠隠滅やねつ造の可能性がないことを証明できません。
そこで、電子データを法的証拠とするには「フォレンジック調査」を行います。
「フォレンジック調査」とは、デジタル機器から法的証拠に関わる情報を抽出する技術を用いた調査です。主に端末を解析することで、不正行為の証拠や内容を掴むことができます。
削除されたファイル履歴の内容や、パソコン内の不正なファイル、社内で許可されていないUSBの接続履歴、メール履歴調査など、これら以外にも調査項目は複数存在し、水増し請求を訴えたい場合に使用できる証拠を電子端末上から確保できる場合があります。
そしてフォレンジック調査を行う過程で証拠保全作業を行い、データ改ざんがないことを証明します。証拠を確保する上では、客観性と正確性が最も重要になります。自社でフォレンジック調査を行うと、客観性が担保されないとして不十分な証拠になる可能性があります。
第三者の立場であるフォレンジック調査会社では、フォレンジック調査から警察や裁判所に証拠として提出できる調査報告書の作成まで行うことができます。
フォレンジック調査を専門に行うデジタルデータフォレンジックでは、24時間365日相談を受け付けております。社員の水増し請求が発覚したらぜひご相談ください。
水増し請求の証拠を確保したい場合は調査会社に依頼する

社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
デジタルデータフォレンジックの強み
デジタルデータフォレンジックは、迅速な対応と確実な証拠収集で、お客様の安全と安心を支える専門業者です。デジタルデータフォレンジックの強みをご紹介します。
累計相談件数39,451件以上のご相談実績
官公庁・上場企業・大手保険会社・法律事務所・監査法人等から個人様まで幅広い支持をいただいており、累積39,451件以上(※1)のご相談実績があります。また、警察・捜査機関から累計395件以上(※2)のご相談実績があり、多数の感謝状をいただいています。
(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
国内最大規模の最新設備・技術
自社内に40名以上の専門エンジニアが在籍し、14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術(※3)とフォレンジック技術でお客様の問題解決をサポートできます。多種多様な調査依頼にお応えするため、世界各国から最新鋭の調査・解析ツールや復旧設備を導入しています。
(※3)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
24時間365日スピード対応
緊急性の高いインシデントにもいち早く対応できるよう24時間365日受付しております。
ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せを開催・即日現地駆けつけの対応も可能です。(法人様限定)自社内に調査ラボを持つからこそ提供できる迅速な対応を多数のお客様にご評価いただいています。
デジタルデータフォレンジックでは、相談から初期診断・お見積りまで24時間365日体制で無料でご案内しています。今すぐ専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
DDFの調査事例
こちらではDDFにご相談されたお客様の調査事例を紹介します。
相談内容
取引先と結託して水増請求を行っている社員がいるので、実態解明の調査をしてほしい
調査内容
- メール履歴調査
- 通話履歴調査
- アプリケーション調査
以上の調査を行った結果、メールやアプリケーションに水増し請求に関連しているとされる人物との不審なやりとりが確認されました。
下請けの水増し請求を防止する方法
水増し請求を予防するためにも、事前に対策を行うようにしましょう。
最も有効な方法としては、経理担当を複数名で行う、また営業担当と経理担当を別人とし、お互いにチェックする体制を整えることです。
これらは元請け業者として支払いを行う場合も同様で、下請け会社から渡された請求書が正しい内容であるか、複数人で確認する体制を作っておくことが重要です。
また、経理や営業担当ではない人物が、不定期に抜き打ちで経理関係を調べる仕組みができていれば、水増し請求の抑止や早期発見が期待できます。
予防していても完全に防ぐことはできません。水増し請求がされていた場合は、調査会社で十分な証拠を確保し、損害賠償または法的手段を取るようにしましょう。
よくある質問
対応内容・期間などにより変動いたします。
詳細なお見積もりについてはお気軽にお問い合わせください。
専門のアドバイザーがお客様の状況を伺い、概算の見積りと納期をお伝えいたします。
可能です。当社は特定の休業日はございません。緊急度の高い場合も迅速に対応できるように、365日年中無休で対応いたしますので、土日祝日でもご相談下さい。
もちろん可能です。お客様の重要なデータをお取り扱いするにあたり、当社では機密保持誓約書ををお渡しし、機器やデータの取り扱いについても徹底管理を行っております。また当社では、プライバシーの保護を最優先に考えており、情報セキュリティの国際規格(ISO24001)およびPマークも取得しています。法人様、個人様に関わらず、匿名での相談も受け付けておりますので、安心してご相談ください。