社内不正・労働問題

不正会計の事例と手口とは?企業で起きる背景と対策法をわかりやすく解説

会計 横領

企業で発生する「不正会計」は、業績の粉飾や資産の流用といった経営に直結するリスクを含む問題です。多くのケースで経営層が関与していたり、長年にわたり発覚を免れていた事例も存在します。

こうした不正を見逃すと、いざ発覚した際には企業の信用が失われる恐れがあり、上場廃止や倒産につながる深刻な事態も起こり得ます。

そこで本記事では、不正会計の代表的な事例や背景、典型的な手口、実際に発生した際のリスク、企業がとるべき予防策までを、わかりやすく整理して解説します。

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不正会計とは

不正会計とは、企業が財務諸表や経理帳簿に意図的な虚偽の記録を行い、実際の経営状況を偽る行為を指します。粉飾決算とも呼ばれ、売上・利益の水増し、費用の先送り、資産の過大計上などが代表例です。

このような不正は、投資家や取引先、金融機関を欺く結果となり、資金調達・信用維持・上場維持などに影響を及ぼします。近年では、上場企業や大手企業においても不正が発覚する事例が相次いでおり、社会的関心も高まっています。

不正の隠ぺいに内部関係者や経営層が関与していた場合、外部からの発見は困難であり、第三者による独立した調査や内部統制の整備が求められる状況です。

不正会計を行う人によくある動機

不正会計が起きる背景には、単なる経理担当者のミスではなく、組織的なプレッシャーや経営判断、企業文化の問題が関係していることが多くあります。

業績不振を隠すための粉飾

赤字や債務超過などの経営悪化を表に出せない場合、経営陣が不正会計を指示することがあります。資金繰り維持や株主への印象操作などを目的に、売上の水増しや費用の繰り延べが行われることがあります。

目標達成のプレッシャー

部門ごとの売上目標や利益計画に対する強いプレッシャーが、不正のきっかけとなる場合があります。「一時的な調整」のつもりが組織ぐるみの粉飾へと発展するケースも少なくありません。

不正の黙認・慣習化

長年にわたり、押し込み販売や費用付け替えなどの慣習的な処理が続き、次第に不正が組織内で正当化されていくこともあります。特にチェック体制が甘い企業では、不正が「常識」になってしまうこともあります。

内部統制やチェック体制の欠如

会計データの作成や承認に対して複数の目が入らない場合、不正の発見は困難になります。少人数の経理部門や、経営者が経理業務を兼任している場合などもリスクが高まります。

倫理意識・コンプライアンスの低さ

不正会計は、制度だけでなく企業の風土や価値観にも影響されます。経営層や管理職にコンプライアンスの意識が乏しいと、部下が不正を「やらざるを得ない」と感じる環境が生まれてしまいます。

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代表的な不正会計の手口

不正会計にはいくつかの典型的なパターンがあり、特に繰り返し問題となっているのが「売上の水増し」「費用の付け替え」「資産の過大計上」などです。これらは財務数値を一時的によく見せる目的で行われますが、発覚すれば信頼失墜など深刻な被害につながります。

架空売上計上・循環取引

実態のない取引を帳簿上だけで作り上げ、売上として計上する典型的な不正です。架空の取引先を使ったり、グループ会社間で商品を回す循環取引が行われることもあります。実際、上場企業の粉飾決算で最も多く見られる手口です。

費用・負債の隠ぺい

本来計上すべき経費や負債を意図的に先送りしたり、簿外に飛ばして帳簿上から隠す手法です。いわゆる「オフバランス化」によって、利益が実態以上に良く見えるようになります。

不適切な資産評価

棚卸資産や売掛金の過大計上など、実態を無視して資産を膨らませる手口です。回収不能な債権をあたかも正常であるかのように処理するなど、損失を先延ばしにする目的で使われます。

資産の私的流用・横領

現金や経費を不正に抜き取り、私的に流用する直接的な不正です。会社の口座から個人への送金や、不正な領収書の提出による費用精算などが該当します。粉飾とは異なり、個人の金銭目的で行われることが多いです。

開示義務違反(情報の非開示)

関連当事者取引や保証債務など、本来開示すべき情報を意図的に隠していたケースもあります。法令・会計基準に基づく適切な開示を怠ることで、投資家や取引先を誤認させるリスクが生じます。

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不正会計の事例

企業の信頼性を大きく揺るがす「不正会計」は、その件数が増えています。近年発生している不正会計の事例を紹介します。

2024年度:上場企業の不正会計が最多に

2024年度(〜2025年4月16日時点)に不正会計を公表した上場企業は56社にのぼり、前年比24%増と過去10年で最多となりました。日本公認会計士協会の調査によれば、粉飾決算や資産流用が中心であり、特に内部統制や監査体制の不備が背景にあると指摘されています。

注目すべき事実は、海外子会社における不正の増加です。グローバル展開する企業ほど統制の難しさが浮き彫りになる可能性があるので注意が必要です。

出典:日本経済新聞

ファインシンター(トヨタ系)のインドネシア子会社で在庫水増し事例

トヨタ系部品メーカーであるファインシンターでは、インドネシア子会社で数年間にわたって在庫を過大に計上していたことが発覚しました。調査の結果、資産を約3億2400万円過大に計上していたことが判明し、過去の決算修正により4期連続の最終赤字となりました。

日本国内の京都工場でも、販売予定のない部品を廃棄せず在庫として扱うという事例も報道されています。

出典:日本経済新聞

堀正工業の粉飾決算と詐欺罪で起訴事例

東京都に本社を置く堀正工業では、元社長を含む経営陣が粉飾決算書を用いて三菱UFJ銀行やみずほ銀行から合計11億円を不正に融資で得ていたとして、2025年に詐欺罪で起訴されました。

この事件では、20年以上にわたる粉飾が組織的に続いていたことが特徴で、粉飾の手順をまとめたマニュアルまで作成されていたことが捜査機関により明らかになっています。破産時の債務は約50行・250億円に達し、企業規模に対して極めて深刻な財務不正であったことが報道されています。

出典:日本経済新聞

不正会計によるリスクと企業へのリスク

不正会計が発覚すると、その影響は数字の訂正にとどまらず、経営全体に波及します。ステークホルダーからの信頼失墜、金融機関からの資金調達困難、社員の離職など、目に見えないリスクも膨らみます。

上場廃止・破産・株価暴落

粉飾決算などの不正が発覚すれば、上場企業であれば上場廃止になる可能性が高く、資金調達の道が断たれます。債務超過が露呈した場合には、実質的な経営破綻にもつながりかねません。

金融機関からの信用失墜と融資停止

不正が表面化すれば、金融機関からの信用は大きく損なわれ、融資の停止や契約解除につながることがあります。一時的な資金繰りのための不正が、結果として財務悪化を招くのはよくあるケースです。

法的措置・行政処分

証券取引等監視委員会(SESC)などによる調査の結果、課徴金納付命令や刑事告発、行政処分が下されることもあります。取締役個人にも責任が問われる可能性があります。

人材流出・社内士気の低下

不正会計が起きる職場環境では、社員がモラルに疑問を抱き、離職が相次ぐ傾向があります。内部通報者が冷遇されるような体制では、優秀な人材ほど早期に離れていきます。

ブランド・企業イメージの毀損

不正の内容はマスコミやSNSを通じて急速に広まり、企業の信用は一気に失われます。商品やサービスへの信頼も損なわれ、顧客離れが加速する可能性があります。

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不正会計を未然に防ぐための対策法

不正会計は発生してからでは手遅れになることが多く、平時からの予防策が極めて重要です。内部統制の整備だけでなく、企業風土や従業員の倫理観の醸成もあわせて進める必要があります。

内部統制の強化と職務分掌

一人の担当者が会計データの作成から承認・送信まで行える状況は、重大なリスクを孕みます。職務分掌により複数名で責任を分けることで、不正の抑止力が働きます。

複数人によるチェック体制の導入

帳簿や伝票に対してダブルチェック体制を整えることにより、意図的・無意識のミスや不正に気づく確率が高まります。特に振込処理や高額の支払いは要注意です。

内部通報制度の整備と活性化

不正の芽を早期に摘むには、現場の気づきを拾い上げる体制が不可欠です。匿名で通報できるホットラインや、通報者の保護制度の整備が求められます。

コンプライアンス教育の定期実施

経営層・管理職を含めた全社員に対して、不正のリスクと倫理的判断の重要性を繰り返し伝えることで、風土の改善と抑止力の維持につながります。

外部専門家による監査の活用

第三者による定期的な外部監査は、不正の抑止だけでなく、取引先や株主への信頼性確保にも有効です。外部視点による指摘は、社内の盲点にも気づくきっかけとなります。

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不正が疑われたときの第三者による調査を実施する重要性

不正会計の兆候に気づいた場合、焦って社内で処理しようとすると証拠が消失する恐れがあります。記録の改ざんやログの上書きが起きる前に、冷静かつ迅速な対応が必要です。

そのためには、初動の段階で外部のフォレンジック専門会社へ相談し、事実確認と証拠保全を第三者の立場から進めることが有効です。自社での調査では限界がある場合や、経営層が関与している可能性がある場合には、特に中立的な視点が重要になります。

フォレンジック調査では、操作履歴やデジタルログ、メール・ファイルの変更履歴などから事実関係を科学的に特定できます。証拠性の高い報告書をもとに、懲戒・社内措置・株主説明・警察対応にも活用可能です。

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社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。

特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。

>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説

当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。

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この記事を書いた人

デジタルデータフォレンジックエンジニア

デジタルデータフォレンジック
エンジニア

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