社内の金銭や資産の管理に関わる業務で、不審な伝票や帳簿ミス、あるいは在庫数の不一致に気づいた場合、「横領」や「着服」といった重大な社内不正の可能性を疑う必要があります。
この記事では、横領・着服の定義や他の犯罪との違い、証拠の集め方について、法人向けに詳しく解説します。調査や証拠保全を誤ると、法的手続きや社内処分に支障が出るため、ぜひ参考にしてください。
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横領と着服の違い
「横領」とは、法律上は他人の財物を自己のものとして不法に処分する行為で、刑法252条に定められています。着服は法律上の厳密な用語ではありませんが、実務上は横領行為を指して用いられることが一般的です。
また、会社内部での処分や就業規則上では「着服」という表現が使われることもあります。
横領・着服・窃盗・背任の比較
以下のように、似た概念が混同されがちですが、行為態様や法的構成が異なります。
- 横領:預かっていた財物を不正に使用・取得(刑法第252条)
- 業務上横領:業務として委託された職務に基づき、他人の財物を預かっていた者が不正に取得した場合に適用(刑法第253条)
- 窃盗:他人の財物を無断で持ち去る(刑法第235条)
- 背任:任務に背いて財産的損害を与える(刑法第247条)
それぞれの法定刑は以下の通りです。
- 単純横領罪:5年以下の懲役
- 業務上横領罪:10年以下の懲役
- 窃盗罪:10年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 背任罪:5年以下の懲役または50万円以下の罰金
「着服」で刑事責任を問われる場合、その行為の性質に応じて、横領罪または業務上横領罪が適用されます。特に企業内で職務上管理していた財産に関する不正は、業務上横領として重く処罰される傾向にあります。

横領・着服が疑われる兆候
社内での横領・着服の兆候は、表面的な業務上のミスや異変の裏に隠れていることがあります。ここでは、横領・着服の兆候について解説します。
不審な帳簿や伝票、在庫管理ミス
以下のような兆候が見られた場合、横領や着服を疑う必要があります。
- 帳簿上の金額と現金・在庫の数量が一致しない
- 伝票や領収書に不自然な改ざん・二重記載がある
- 頻繁な在庫不足や返品処理の多発
これらの異常は、表面的には単なる事務ミスに見えるかもしれませんが、繰り返し発生する場合は組織的な不正行為の隠れ蓑になっている可能性があります。担当者の説明が曖昧だったり、帳簿の修正履歴が不自然に多い場合には、内部不正の初期兆候として慎重な対応が求められます。
内部通報・監査による発覚
内部通報制度が整っている企業では、社員や関係者からの告発によって発覚するケースもあります。また、定期監査や外部監査での指摘から調査に至ることも少なくありません。
このような横領・着服の兆候が見られたらすぐに調査を実施しましょう。特にIT機器や帳簿は証拠改ざんのリスクが高いため、疑いが生じた時点で対象機器の使用を停止し、ネットワークからの遮断や複製保存など、初動対応を徹底することが重要です。
その後、IT機器の証拠保全・解析を行っているフォレンジック調査会社に調査を依頼することで、本格的な調査結果をレポートにまとめてもらうことも可能です。
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横領・着服調査・証拠収集の基本的な手順
横領・着服が疑われる場合、証拠を確実に押さえるための調査が不可欠です。調査を円滑かつ適切に進めるための基本的な手順を順に見ていきましょう。
帳簿・伝票・在庫などの確認
まずは基本的な資料として以下を精査します。
- 出納帳・総勘定元帳・帳簿台帳
- 領収書・支払伝票・仕入書
- 在庫台帳・入出庫記録
整合性の取れない箇所がないか確認し、不正の手口を特定していきます。
監視カメラや物理的な証拠を確認する
金庫や保管場所、入退室管理記録なども合わせて確認することで、実行時刻や関係者の動線を特定できます。特に現金や物品の横領では、映像記録が決定的な証拠となるケースが多くあります。
関係者へのヒアリング
社内関係者への聞き取り調査も必要です。ただし誘導的な質問や、証言者の立場を脅かすような手法は避け、公正かつ慎重に進める必要があります。
デジタルデータを解析する
メールのやり取りやUSB接続履歴、ログオン記録などのデジタル証拠も重要です。
従業員が不正に関与していた場合、その操作痕跡やデータのやり取りがパソコンや外部メディアに残されていることがあります。
このような調査では、フォレンジック調査の活用が非常に効果的です。フォレンジックとは、電子データを改ざんの影響なく保全・解析する専門的手法であり、以下のような対応が可能です。
- 削除されたファイルやメールの復元
- 不審な操作履歴やアクセスログの抽出
- 外部デバイスへのデータ持ち出しの有無の確認
- 時系列の整合性やログ改ざんの痕跡調査
ただし、これらの調査結果は端末の状態や保存状況に左右されるため、全ての情報が回収できるわけではありません。
特に社内不正や刑事告発を視野に入れた調査では、証拠能力を保つためにもフォレンジックの専門業者と連携し、調査対象となる端末は、可能な限り速やかにネットワークから隔離し、記録の上書きや改変が行われないようにする措置が必要です。
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社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
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