退職時に会社のデータを削除した場合、それがどのような罪や責任に繋がるのか、刑事・民事・行政の観点から詳しく解説します。
企業の情報資産は、金銭と同様に守るべき重要財産であり、その破壊や持ち出し行為には厳しい法的制裁が伴います。
目次
刑事責任
企業の業務遂行に支障を与える行為として、データの削除は明確に刑法上の罪に問われます。ここでは該当しうる刑事罰の種類と事例を紹介します。
電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法243条の2)
この罪は、コンピュータ上のプログラムやデータを破壊・改ざん・削除し、業務を妨害した場合に適用されます。たとえば、退職日当日に社内サーバーのフォルダを大量削除する、定期バックアップを意図的に消去するなどの行為はこの罪に該当する可能性があります。
法定刑は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」。また、未遂であっても処罰の対象となるため、削除が失敗していたとしても罪は成立し得ます。
実際に、某IT企業では、退職時に不正アクセスを仕掛けて業務用クラウドストレージから開発データを全削除され、約300万円の損害が発生しました。元社員はこの罪で告発され、懲役1年6か月・執行猶予付きの有罪判決が下されています。
営業秘密侵害罪(不正競争防止法違反)
企業の営業秘密が不正に削除・持ち出され、第三者へ提供された場合、この罪が適用されます。営業秘密とは、非公知性・有用性・秘密管理性の3要件を満たす情報であり、顧客リスト・技術仕様書・価格戦略資料などが典型例です。
この罪に問われた場合、10年以下の懲役または2,000万円以下の罰金(またはその両方)が科され、法人に対しては3億円以下の罰金も科されます。
偽計業務妨害罪(刑法233条)
社内システムに対して意図的な誤操作や虚偽の入力を行い、業務を混乱させた場合もこの罪に問われます。たとえば、削除済みと見せかける操作や、バックアップ機能の妨害も含まれます。
民事責任
データ削除により実害が出た場合、企業は加害者に対し損害賠償請求を行うことができます。ここでは代表的な民事上の責任について解説します。
損害賠償請求(不法行為・債務不履行)
削除行為により企業資産が失われた場合、加害者に対して民法第709条(不法行為)や第415条(債務不履行)に基づく損害賠償請求が可能です。
また、企業は削除行為により取引先との信頼を喪失し、契約破棄やプロジェクト中止に至った場合、その逸失利益も請求可能です。
行政責任
削除された情報に個人情報が含まれていた場合、企業は個人情報保護法の下で報告義務や制裁対象となります。
個人情報保護法違反
顧客名簿や社員情報などを削除されたうえで第三者に漏洩された場合、最大1億円の罰金、または是正命令・行政指導・公表措置の対象となります。
報告を怠った企業側も、組織としての管理責任を問われることになります。
責任追及の判断ポイント
企業が削除行為の責任を追及する際は、以下の観点を基に対応を判断します。
- 削除行為に故意があったか(過失か意図的か)
- 削除されたデータの重要性(営業・顧客・機密情報など)
- 復旧可能性の有無(バックアップの存在)
- 社内規定や誓約違反の有無
社内ルールに違反して削除が行われていた場合、懲戒解雇・損害賠償請求・刑事告訴が同時に検討されます。
デジタル証拠はフォレンジック企業に依頼する
企業が自社内で調査を行うと、証拠の破壊や法的効力の喪失リスクが高いため、専門のフォレンジック調査会社への依頼が不可欠です。
- 削除被害が発覚した端末は、ただちに使用を停止する。
- フォレンジック業者へ連絡し、証拠保全の準備を進める。
- 専門調査により、削除ログ・操作履歴・持ち出し経路を解析。
調査の結果は、裁判所で認められる「証拠能力の高い報告書」として提出できるため、企業の損害回収や刑事告発の根拠資料として非常に有効です。
社内対応だけで調査を完結させることは、証拠の毀損や法的敗訴のリスクを伴います。必ず専門業者に依頼しましょう。

適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
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(※3)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
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まとめ
会社のデータ削除は、一時的な感情や個人的な判断で行われたとしても、企業にとって甚大な被害を及ぼす行為です。
- 刑事責任:刑法違反による懲役・罰金などの処罰
- 民事責任:損害賠償や逸失利益請求の対象
- 行政責任:個人情報保護法に基づく企業側への制裁
よくある質問
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