ECサイトの運営者にとって、顧客情報の安全を守ることは非常に重要です。近年、ECサイトからの情報漏洩事件が増加しており、プライバシーやセキュリティのリスクは日に日に高まっています。本記事では、ECサイトで起こりうる情報漏洩の原因、そしてそれに対する具体的な対策について詳しく解説します。これらの対策を理解し、適切に実施することで、顧客情報の保護に努めることが可能です。
目次
ECサイトにおける情報漏洩の主な原因
ECサイトで発生する情報漏洩の原因には、いくつかのパターンが存在します。これらのリスクを認識し、適切な対策を講じることで、セキュリティの向上が期待できます。
パスワードリスト攻撃
パスワードリスト攻撃とは、攻撃者が既に他のサービスから流出したIDやパスワードを利用し、ECサイトに不正アクセスする手法です。多くのユーザーが複数のサービスで同じパスワードを使い回しているため、攻撃者はそれを悪用します。
この攻撃による被害を防ぐには、ユーザー側にパスワードの強化を促すと同時に、ECサイト運営者が二要素認証(2FA)を導入することが推奨されます。また、パスワードのリストを用いた自動化された攻撃を検知するための不正ログイン監視システムを実装することも重要です。
サイトの改ざん
サイトの改ざんは、攻撃者がECサイトのシステムに侵入し、商品ページやログインページに不正なコードを埋め込むことで、ユーザーの入力情報を窃取する手口です。たとえば、決済ページに不正スクリプトを埋め込むことで、クレジットカード情報を盗むことが可能です。
サイト改ざんのリスクを軽減するためには、サイトのコードやサーバーの監視を徹底し、異常な変更が行われた場合に迅速に検知できる体制を整えることが必要です。また、開発者にはセキュリティ意識を高め、サーバーのファイル権限の管理やセキュリティパッチの適用を定期的に行うよう指導します。
システムの脆弱性
ECサイトは、常に最新のシステム状態を保つ必要があります。システムの脆弱性を悪用されると、攻撃者は管理者権限を奪取し、顧客情報にアクセスしたり、データを改ざんすることができます。特に古いバージョンのOSやウェブアプリケーションは、既知の脆弱性を持つことが多く、攻撃の標的となりやすいです。
脆弱性を防ぐためには、システムを常に最新の状態に保ち、セキュリティパッチを定期的に適用することが不可欠です。また、システム監査を定期的に実施し、脆弱性診断ツールを用いて潜在的なリスクを早期に発見することも有効です。
人為的ミス
従業員の誤操作や不正なメールリンクのクリックにより、情報漏洩が発生することがあります。特にフィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングを介した攻撃は、企業のセキュリティ教育が不足している場合、容易に成功してしまいます。
従業員に対しては、定期的なセキュリティ研修を実施し、最新の攻撃手法に関する知識を提供することが重要です。また、メールや外部リンクの取り扱いには十分な注意を払い、未知のメールからの添付ファイルやリンクはクリックしないよう徹底します。
サプライチェーンのリスク
サプライチェーン攻撃は、ECサイトが依存する外部サービスやベンダーが攻撃され、間接的にECサイトにも影響が及ぶケースです。たとえば、決済処理や配送管理を担当する業者が攻撃され、顧客情報が漏洩することがあります。
サプライチェーンリスクを最小化するためには、外部パートナーやベンダーに対してもセキュリティ基準を厳守するよう求め、契約時に適切なセキュリティ対策が講じられていることを確認することが大切です。また、セキュリティ監査を定期的に実施し、ベンダーのリスク管理状況をチェックします。
ECサイト情報漏洩の対策方法
ECサイトにおける情報漏洩を防ぐためには、いくつかの有効な対策を講じることが必要です。ここでは、具体的な対策方法を解説します。
システムの最新化
セキュリティリスクを低減するために、ECサイトのシステムやソフトウェアを常に最新の状態に保つことは基本です。最新のアップデートやセキュリティパッチを適用することで、既知の脆弱性を悪用されるリスクを最小限に抑えることができます。
- ECサイトのシステム管理パネルにログインします。
- システムのバージョン確認ページにアクセスし、最新バージョンが提供されているかをチェックします。
- 必要に応じて、セキュリティパッチやバージョンアップデートを適用し、システムを更新します。
二要素認証の導入
二要素認証(2FA)は、ユーザーがパスワードに加え、さらに別の認証手段(SMS認証やアプリ認証)を利用することで、不正ログインを防止する強力な手法です。これにより、パスワードリスト攻撃などを防ぎ、セキュリティを向上させることができます。
- ECサイトの管理画面にログインし、「セキュリティ設定」を選択します。
- 二要素認証の項目を選び、SMSやアプリを使った認証を有効にします。
- ユーザーにも二要素認証の使用を推奨する通知を送信し、設定のガイドを提供します。
セキュリティ教育の徹底
従業員に対して、定期的にセキュリティ教育を実施し、フィッシングやソーシャルエンジニアリングの脅威に対処する方法を学ばせることが重要です。また、メールの取り扱いやシステム操作において注意が必要な点についても指導します。
- セキュリティ研修を計画し、全従業員に対して参加を義務付けます。
- 実際に過去に発生したセキュリティインシデントや新しい脅威をもとに、ケーススタディを提供します。
- 定期的にセキュリティテストやフィッシングメール演習を行い、従業員の意識向上を図ります。
暗号化の活用
顧客データや決済情報を保存する際には、暗号化を使用してデータを保護することが重要です。暗号化されたデータは、第三者がアクセスしても解読できないため、情報漏洩のリスクを大幅に減少させることができます。
- ECサイトの管理パネルにログインし、暗号化設定のページを開きます。
- SSL証明書を取得し、サイト全体に適用します。
- データベースにも暗号化プロトコル(AESなど)を設定し、顧客情報や決済データを暗号化して保存します。
アクセス制限の強化
重要なデータや機密情報にアクセスできるユーザーを限定することで、情報漏洩のリスクを減らします。アクセス制限は、最小権限の原則に基づいて設定し、必要最低限の権限しか与えないようにすることが望ましいです。
- ECサイトの管理画面にアクセスし、「ユーザー管理」を開きます。
- 各ユーザーに対して適切な権限を設定し、重要なデータや機能へのアクセスを制限します。
- 定期的にユーザー権限の見直しを行い、不要なアカウントや権限を削除します。
定期的なセキュリティ監査
セキュリティ監査を定期的に実施し、ECサイトの脆弱性を早期に発見することが重要です。外部のセキュリティ専門家を招いて、詳細な脆弱性診断を行うことで、攻撃に対する耐性を高めることができます。
- 外部のセキュリティ専門家に監査を依頼し、ECサイトの脆弱性を診断します。
- 監査レポートをもとに、指摘された脆弱性やリスクを修正します。
- 監査結果に基づいて、今後のセキュリティポリシーの見直しを行い、必要な対策を講じます。
企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。
ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。
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情報漏えい調査はフォレンジック調査の専門家にご相談ください
情報漏えいインシデントが発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備での端末の調査・解析、調査報告書の提出ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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