BYOD(Bring Your Own Device)は、従業員が個人所有のデバイスを業務に使用する制度です。業務効率の向上やコスト削減といったメリットがある一方で、情報漏洩やセキュリティリスクが伴います。本記事では、BYODにおける主な情報漏洩の原因とその対策について、具体的な手順を交えながら詳しく解説します。適切な設定や対策を行うことで、これらのリスクを最小限に抑えることが可能です。
目次
BYODにおける情報漏洩の主な原因
BYODの利用には便利さと柔軟性が伴う反面、セキュリティリスクが増大します。特に端末の紛失や盗難、シャドーIT、ウイルス感染などが情報漏洩の大きな原因となっています。以下に、それぞれの原因について詳しく説明します。
端末の紛失・盗難
BYODで利用される個人のデバイスは、持ち歩く機会が多いため、端末の紛失や盗難が大きな情報漏洩リスクとなります。これにより、端末内の企業データや顧客情報が外部に流出する恐れがあります。また、端末紛失後の遠隔ロックやデータ消去が適切に行われていない場合、第三者が端末にアクセスできてしまいます。
シャドーITの使用
シャドーITとは、企業が管理していない個人デバイスやアプリケーションを業務で使用することを指します。従業員がプライベートなデバイスやアプリを使用する場合、企業のセキュリティ対策が適用されないため、マルウェアやフィッシング詐欺などの攻撃に対して脆弱となります。また、情報の誤送信やファイルの無断共有も大きなリスクとなります。
ウイルス感染
BYOD環境では、従業員が利用する個人デバイスのセキュリティレベルが低いことがしばしば見受けられます。特にウイルス対策ソフトの導入や定期的なアップデートが行われていない場合、ウイルス感染が発生する可能性が高くなります。ウイルスに感染したデバイスが社内ネットワークに接続されると、企業全体に被害が拡大する恐れがあります。
デバイスの共有
個人のデバイスが家庭内で他の家族と共有されるケースも考えられます。このような状況では、業務用のデータが無関係な第三者にアクセスされるリスクが高まり、情報漏洩につながります。特に、デバイスにアクセス制限やパスワード保護が設定されていない場合、非常に危険です。
未管理のアプリケーション
BYODでは、従業員が個人で選んだアプリケーションを自由にインストールできるため、企業側が把握しきれないソフトウェアの使用が増えます。これにより、業務に不必要なアプリケーションがデバイス上で実行されることになり、情報漏洩やマルウェア感染のリスクが高まります。
不適切なパスワード管理
BYOD環境では、個人のデバイスで使用されるパスワードが弱い場合、第三者による不正アクセスのリスクが高まります。特に、同じパスワードを複数のサービスで使い回すことや、短い簡単なパスワードの使用は、攻撃者に容易に突破される可能性があります。
BYODにおける情報漏洩の対策
BYODを導入する際には、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。以下に、情報漏洩を防ぐための具体的な対策をいくつか挙げます。
MDM (Mobile Device Management)の導入
MDMは、企業が従業員のデバイスを一元的に管理できる仕組みです。これにより、企業のポリシーに基づいてデバイスの使用を制限したり、遠隔で設定を変更したりすることが可能になります。また、特定のアプリのインストールを制限することで、業務に不要なアプリの使用を防ぐことができます。
- MDMソリューションを導入し、企業のデバイス管理ポリシーを設定します。
- 従業員のBYODデバイスをMDMに登録し、ポリシーに基づいて管理します。
- 定期的にデバイスのコンプライアンス状況を確認し、必要に応じて修正します。
遠隔ロックやデータ消去の設定
デバイスの紛失や盗難に備え、遠隔ロックやデータ消去機能を設定することが重要です。この機能により、デバイスが紛失した場合でも第三者にデータをアクセスさせないようにすることができます。
- MDMまたはモバイルセキュリティソフトにログインします。
- 遠隔ロックやデータ消去のオプションを有効に設定します。
- 端末が紛失した際には、MDMを使用して遠隔操作を実行し、データを保護します。
シャドーITの制限
企業が把握していないデバイスやアプリケーションの使用を制限することで、シャドーITのリスクを軽減できます。MDMやMAM(Mobile Application Management)を利用し、業務に必要なアプリのみを許可することが重要です。
- 業務に必要なアプリケーションをリスト化します。
- MDMまたはMAMを使用して、許可されたアプリのみインストールできるよう制限をかけます。
- 定期的にデバイスをチェックし、未承認のアプリがインストールされていないか確認します。
セキュリティアップデートの強制
BYODデバイスが常に最新のセキュリティアップデートを適用しているかを確認し、定期的に強制的にアップデートを実行させることが必要です。これにより、最新の脅威に対抗できるセキュリティ対策が継続されます。
- デバイス管理ソフトウェアで、定期的なセキュリティアップデートを強制的に実行するように設定します。
- 重要なアップデートがリリースされた場合には通知を設定し、速やかに適用を促します。
- アップデート未実施のデバイスに対しては、企業ネットワークへの接続を制限します。
パスワードポリシーの設定
BYOD環境において、強力なパスワードの使用を徹底するためのポリシーを設定します。これにより、不正アクセスのリスクを低減できます。特に、複数要素認証(MFA)を併用することが推奨されます。
- デバイス管理ツールで、パスワードポリシーを設定します。
- 強力なパスワード(大文字・小文字・数字・記号を含む10文字以上)を使用するよう従業員に通知します。
- 二段階認証を有効にして、さらにセキュリティを強化します。
従業員へのセキュリティ教育
BYOD環境においては、従業員が適切なセキュリティ対策を理解し、実践することが重要です。定期的にセキュリティ教育を実施し、デバイス管理や情報漏洩防止についての知識を共有しましょう。
- 定期的なセキュリティトレーニングをスケジュールします。
- BYODに関連するセキュリティガイドラインを配布し、遵守を徹底します。
- 新しい脅威やセキュリティアップデートに関する情報を適宜共有します。
企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。
ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。
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情報漏えい調査はフォレンジック調査の専門家にご相談ください
情報漏えいインシデントが発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備での端末の調査・解析、調査報告書の提出ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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