企業のLinuxサーバーがサイバー攻撃や内部不正の被害を受けた場合、「何が起きたのか」「どの情報が漏えいしたのか」を正確に把握するには、フォレンジック調査が不可欠です。しかし、Linux特有の構成や設定の複雑さから、社内だけでの対応に限界を感じている方も多いのではないでしょうか。
当社では、Linuxを含む各種システムのフォレンジック調査に豊富な実績を持つ専門チームが、初動対応のご相談から調査、報告書作成まで一貫して対応します。システムを操作する前に、まずはご相談ください。状況に応じた最適な対応を迅速にご提案いたします。
この記事では、Linuxフォレンジック調査における課題、調査の流れ、注意点を専門家の視点で詳しく解説します。
Linuxにおけるフォレンジック調査の難しさ
このセクションでは、Linux環境におけるフォレンジック調査がなぜ難しいのか、主な課題とその解決策を体系的に解説します。
証拠データの改変リスクが高い
Linux環境におけるフォレンジック調査で最も注意すべき点が、この「証拠データの改変」です。サーバにアクセスしただけでもタイムスタンプが変更される可能性があり、証拠性を損なう恐れがあります。特に、攻撃を受けた直後にやみくもにログインしてしまうと、被害の証拠が自らの手で上書きされてしまう危険性すらあるのです。
そのため、調査を開始する前には必ず読み取り専用モードでのアクセスを徹底し、可能であれば専用ツールを使用したディスクのイメージ取得を最優先で実施する必要があります。また、取得時にはハッシュ値(SHA256など)を生成しておくことで、データ改ざんの有無を後から検証可能にしておくのが基本です。
メモリ解析の複雑さ
Linuxでは、メモリ上に残る情報の解析が非常に重要ですが、これがまた厄介なの。なぜなら、Linuxカーネルのバージョンや構成によって必要なプロファイルが異なり、汎用的なメモリ解析が困難だからです。
Volatilityのようなメモリ解析ツールでは、OSに合わせたプロファイルを作成・指定する必要があり、それにはカーネルシンボルやシステムヘッダなどの取得・ビルドが不可欠です。カスタムカーネルを使用していた場合は、それ専用のプロファイルが必要になることもあり、迅速な対応を阻害する要因となります。
このため、Linux環境におけるメモリフォレンジックでは、事前に標準環境でのプロファイルを準備しておくか、対象サーバに合わせたカスタム対応ができるスキルを持つ人材が必要となります。
ディストリビューションごとの構成の違い
LinuxはWindowsと違って、複数のディストリビューション(Ubuntu、CentOS、Debianなど)が存在し、さらにユーザーがカスタマイズ可能な点が特徴です。これがフォレンジック調査では大きなハードルになります。
たとえば、ログファイルの保存場所一つとっても、「/var/log/」に標準的に配置されているとは限りません。独自の場所に設定されていたり、rsyslogではなくjournaldを使っていたり、さらにはクラウド環境にログを送信していたりするケースもあります。つまり、「どこを調べれば良いか」が一律で定義できないのがLinux環境なのです。
このため、調査対象の環境がどのような構成で運用されているかを、まず正確に把握する力が求められます。これは単なるOSの知識ではなく、運用・設定に関する深い理解が必要になるということです。
専門知識の不足
Linuxフォレンジックの最大の障壁は、必要とされる知識の多さと、その習得難易度にあります。ファイルシステム(ext4やXFSなど)、パーミッション設定、systemdログ、iptablesによる通信制御、sshログの解、どれも専門的で、未経験者が触れてすぐに理解できる領域ではありません。
さらに、攻撃者が何らかの「アンチフォレンジック手法(証拠隠滅のための技術)」を使っている場合には、通常の調査では痕跡が見つからないこともあります。そうした高度な対応が求められる場面では、現場経験を積んだセキュリティ専門家の力が必要不可欠になります。
誤った手順での調査や自己判断によるログ操作は、証拠能力を損なうリスクが非常に高いため、必ず専門知識を持つ第三者機関に相談することが望ましいです。特に、警察や法的機関が関与する事件では、自社での対応は絶対に避けるべきです。
当社では、Linuxを含む高度なサーバ環境におけるフォレンジック調査に多数の実績があります。初動対応から証拠保全、報告書作成、警察や裁判所への証拠提出サポートまで、一貫して対応可能です。
Linuxフォレンジック調査の具体的手順
Linux環境でサイバーインシデントが発生した際、誤った初動対応は証拠の改変や損失につながる可能性があります。そのため、まず最初に重要なのは、適切な手順を理解し、専門家に助言を仰ぐことです。
当社では、初動対応やイメージ取得、解析手順に関する無料相談も承っています。システムを触る前に、まずはご連絡いただければ、状況に応じた最適なアドバイスを差し上げることが可能です。
以下では、Linuxフォレンジック調査の標準的な流れと、それぞれの工程で注意すべきポイントについて詳しく解説します。自身での対応を検討している方も、調査委託を考えている方も、ぜひ参考にしてください。
現場の保全
証拠を損なわないためには、調査対象システムの状態をそのまま維持することが大前提です。ネットワークの遮断や読み取り専用環境でのアクセスなど、改変リスクを最小限に抑えるための措置が求められます。
ディスクとメモリのイメージ取得
保全後は、ディスク全体やメモリの内容を丸ごとコピー(ビット単位)し、後の解析に備えます。Linux環境では適切なツールと手法の選定が不可欠で、証拠性を確保するためにはハッシュ値の取得も重要です。
フォレンジック環境での解析
取得したデータは、SIFTやTsurugi Linuxなどのフォレンジック専用環境に移し、安全に解析を行います。読み取り専用モードでの作業により、元データを一切変更することなく調査が可能になります。
ログ・ファイル・メモリの詳細解析
攻撃の痕跡や内部不正の証拠を明らかにするため、ログ、ファイル構造、メモリ情報、ネットワーク履歴などを多角的に分析します。使用するツールや解析技術には高度な専門知識が求められます。
報告書の作成と証拠保存
調査結果は法的な証拠として提出できるよう、時系列や技術的根拠を明確に整理した報告書としてまとめます。同時に、証拠データの保全と厳格な管理も必要です。
専門家への相談
調査過程で少しでも判断に迷う場面があるなら、すぐに専門家へ相談するべきです。特に刑事事件や訴訟を伴うケースでは、証拠性の確保が極めて重要であり、誤った対応は致命的な結果を招く可能性があります。
繰り返しになりますが、フォレンジック調査は絶対に個人や社内だけで完結させてはいけません。特に、ランサムウェア、社内不正、横領、個人情報漏えいといった重大インシデントにおいては、調査内容がそのまま法的証拠になる可能性があるからです。
このような調査には、証拠保全・解析の方法が法的要件に適合しているか、調査員に適切な訓練と中立性があるかが問われます。対応を誤ると、裁判で証拠が無効になるリスクすらあるのです。
したがって、状況を把握するためにも、初動の段階からフォレンジック調査会社に相談するのが最も安全で確実な方法と言えます。

適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
デジタルデータフォレンジックの強み
デジタルデータフォレンジックは、迅速な対応と確実な証拠収集で、お客様の安全と安心を支える専門業者です。デジタルデータフォレンジックの強みをご紹介します。
累計相談件数39,451件以上のご相談実績
官公庁・上場企業・大手保険会社・法律事務所・監査法人等から個人様まで幅広い支持をいただいており、累積39,451件以上(※1)のご相談実績があります。また、警察・捜査機関から累計395件以上(※2)のご相談実績があり、多数の感謝状をいただいています。
(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
国内最大規模の最新設備・技術
自社内に40名以上の専門エンジニアが在籍し、14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術(※3)とフォレンジック技術でお客様の問題解決をサポートできます。多種多様な調査依頼にお応えするため、世界各国から最新鋭の調査・解析ツールや復旧設備を導入しています。
(※3)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
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よくある質問
対応内容・期間などにより変動いたします。
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