デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンに保存されたデータ、SNSアカウント、電子メール、さらにはネット銀行口座などのデジタル金融資産を指します。

近年はネット口座での資産管理が一般化しましたが、セキュリティ対策のため、ログインIDとパスワードで保護されていることが多く、相続人がアクセスできないケースが少なくありません。

本解説では、デジタル遺品のパスワード解除方法について、具体的な事例を交えながら詳しく説明していきます

デジタル遺品のパスワード解除が重要な理由

初めに、デジタル遺品のパスワード解除が重要な理由について説明します。家族や親戚が亡くなった場合だけでなく、亡くなった社員の社用端末のパスワード解除の重要性についても解説しています。

遺産相続が難しくなる可能性がある

• ネット銀行口座のアカウント
• ネット証券口座のアカウント
• 暗号資産ウォレット
• 電子マネーのアカウント

以上のようなネットで管理する口座のアカウントにログインできないと、資産価値の確認、換金手続きができません。

特にFX取引などリスクが高い取引で発生した借金は、存在を知らずに相続してしまうことで借金の相続放棄ができなくなる可能性があります。

サブスクリプションの引き落としが継続される

故人が契約していたNetflixやSpotifyなどの動画・音楽ストリーミングサービス、AmazonプライムやApple One等の総合サブスクリプションサービスは、アカウントにアクセスできないと解約手続きができません。

その結果、毎月の料金引き落としが継続され、遺族に不要な金銭的負担がかかる可能性があります。特に年間契約のサービスは、解約タイミングを逃すと長期間の支払いが続くことになります。

故人の関係者に連絡できない

故人のメールアカウント（GmailやOutlookなど）やSNSアカウント（Facebook、Twitter、LinkedInなど）にアクセスできないと、故人の友人や仕事関係者に連絡を取ることが困難になります。特に、故人が海外に住む友人とやり取りしていた場合、訃報を伝えられず、重要な連絡が取れなくなる可能性があります。

また、故人の仕事上の連絡先や取引先情報が失われ、業務の引き継ぎや清算に支障をきたす恐れがあります

仕事で使うデータが取り出せない

故人がフリーランスや自営業者だった場合、仕事関連のデータがパスワードで保護されたパソコンやクラウドストレージ（Dropbox、Google Drive、OneDriveなど）に保存されていると、重要な業務データにアクセスできなくなります。

例えば、顧客情報、請求書、契約書、作業中のプロジェクトファイルなどが取り出せず、業務の継続や清算が困難になる可能性があります。

写真や動画データを取り出せなくなる

スマートフォンやクラウドストレージ（iCloud、Google フォトなど）に保存された写真や動画データは、パスワードが不明だと取り出せなくなります。特に、子どもの成長記録や家族旅行の思い出、趣味で撮影した写真や制作した動画作品などが消える恐れがあります。

個人情報が悪用される可能性がある

パスワードが解除できないまま放置されたアカウントは、ハッカーに不正アクセスされるリスクがあります。例えば、故人のSNSアカウントが乗っ取られ、スパムの発信源になったり、フィッシング詐欺に利用されたりする可能性があります。

また、メールアカウントが不正アクセスされると、そこに保存された個人情報（住所、電話番号、クレジットカード情報など）が悪用され、なりすまし犯罪や金銭的被害につながる恐れがあります。

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デジタル遺品のパスワード解除を行う場合の注意点

デジタル遺品のパスワード解除を行う場合、端末によっては入力に回数制限があるものがあります。

パスワードを推測して入力しない

デジタル遺品のパスワード解除を試みる際、安易に推測して入力することは避けるべきです。誕生日や車のナンバー、電話番号の下4桁など、よくありそうな組み合わせを試すのは危険です。

iPhoneなど、一定回数以上パスワードを間違えると強制的に初期化される仕様になっています。これにより、端末内の思い出の写真だけでなく、デバイス内の口座やアカウントのパスワードのメモなどが完全に失われる可能性があります。

金融資産に関する情報が消えてしまうと、相続手続きに支障をきたす恐れもあります。したがって、確信がない限り、自力でのパスワード入力は控えましょう。

端末を初期化しない

デジタル遺品の端末を初期化することは、最後の手段としても避けるべきです。初期化すると、端末内のすべてのデータが消去され、二度と復元できなくなります。

これには、故人の大切な思い出の写真や動画、連絡先情報、金融資産に関する重要な情報などが含まれます。特に相続の観点から見ると、初期化によって財産や債務に関する情報が失われると、後の遺産分割協議や税務手続きに大きな支障をきたす可能性があります。

また、故人の意思を反映した遺言や指示が端末内に保存されている可能性もあるため、初期化は慎重に検討すべきです。

キャリアショップでパスワード解除はできない

携帯電話会社のキャリアショップでは、プライバシー保護の観点から、顧客のデバイスのパスワード解除やデータの取り出しは行っていません。これは、故人の親類を騙った詐欺や不正アクセスを防ぐためでもあります。したがって、キャリアショップに持ち込んでもパスワードの解除やデータの取り出しはできません。

市販のパスワ―ド解析ソフトで解除できない場合もある

市販のパスワード解析ソフトを使用してデジタル遺品のパスワードを解除しようとする方もいますが、これには注意が必要です。無料のソフトウェアの中には、複雑な操作が必要なものや、日本語対応が不十分なものが多くあります。

また、有料のソフトでも、最新のセキュリティ機能を搭載したデバイスに対しては効果がない場合があります。さらに、解析ソフトの使用によってデバイスが損傷したり、データが失われたりするリスクもあります。

そのため、市販のソフトでパスワードが解除できない場合は、デジタル遺品に対応しているパスワード解除業者に相談して解除してもらいましょう。

デジタル遺品のパスワードを解除する方法

自力でデジタル遺品のパスワードを解除する方法は以下の通りです。

パスワードが書かれたメモを確認する

自力でデジタル遺品を解除する場合は、必ず故人が残したパスワードのメモを確認してから行ってください。なお、パスワードのメモは以下のような場所に記載されている場合があります。

• 手帳
• 財布
• スマホケース
• 預金通帳のケース
• デジタル遺品内のメモ・管理アプリ

闇雲にパスワードを入力してしまうと、端末にロックがかかり二度とデータを取り出せなくなる可能性があります。パスワードのメモが残っておらず、パスワードがわからない場合は絶対にパスワードを入力しないでください。

 

パスワード解析ソフトを使用する

パスワード解析ソフトは、自動的にパスワードの候補を生成し入力することで、デジタル遺品のパスワードを解読する可能性があります。しかし、多くのソフトは日本語対応が不十分な場合があり、最新のセキュリティ機能を搭載したデバイスでは効果がない可能性もあります。

さらに、ソフトの使用によってデバイスが損傷したり、重要なデータが失われるリスクもあります。また、パスワードの複雑さによっては解析に長時間かかる、または解析できない場合もあります。

デジタル遺品に対応している専門業者に相談する

デジタル遺品のパスワード解除が困難な場合、専門業者に依頼することが最も安全で確実な方法です。

デジタル遺品のパスワードの解析や解除、データの取り出しを専門知識と高度な技術を持つプロフェッショナルが対応するため、端末がロックされてデータが損失するリスクを最小限に抑えることができます。

DDFのデジタル遺品解除実績

こちらではDDFのデジタル遺品の解除実績を紹介します。

相談内容	亡くなった家族のスマホとパソコンのパスワ―ド解除
パスワード解除端末	AQUOS sense 4、dynabook B75/J
結果	2つの端末のパスワード解除に成功

 

相談内容	亡くなった家族のスマホロックを解除して、中の写真のデータを確認したい。
パスワード解除端末	Phone 8 Plus
結果	パスワード解除に成功