2025年11月25日、国立国会図書館は開発中の館内サービスシステムが不正アクセスを受けたことを公表し、利用者IDや申込情報が漏えいした可能性があると発表しました。影響件数は最大で4万件超にのぼるとされ、個人情報の含まれる詳細な申込履歴も対象に含まれます。
出典:YAHOO!JAPAN
現時点では二次被害は確認されていないものの、今後のリスクに備え、関係者への注意喚起とフォレンジック対応の重要性が改めて問われる事案となりました。
本記事では、国立国会図書館の情報漏えい事案の内容を分かりやすく整理します。
不正アクセスの概要と発表の経緯
2025年11月11日の第1報に続き、国立国会図書館は11月25日に第2報を公表しました。今回は、開発中の館内サービスシステムが不正アクセスを受けたことに伴い、漏えいの可能性がある個人情報の範囲について、可能な限りの調査が完了したとして、詳細が明らかにされています。
今回対象となったのは、以下の2種類の利用者情報です。
- 2025年3月15日〜3月27日に関西館を利用した方の「利用者ID(943件)」
- 2025年9月24日〜10月22日に3館でプリントアウトを申し込んだ方の申込情報(40,373件・4,360人)
プリントアウト申込情報には、利用者ID、氏名、資料名、資料掲載URL、資料ID(永続的識別子)、印刷枚数、カラー/モノクロ別、金額、利用目的、申し込みを行った施設名、端末管理番号・設置部屋名、申込日時および精算日時など、多岐にわたる情報が含まれています。
11月25日時点では、これらの個人情報がインターネット上に公開されたり、悪用されたりしたという二次被害は確認されていません。ただし、図書館側は利用者に対し、不審な電話やメールに応じないよう注意を呼びかけています。
影響が疑われる利用者には原則として個別に通知が行われますが、連絡先の登録がない方には通知できないため、該当する可能性がある場合は、国立国会図書館電子情報部への問い合わせが案内されています。
今後の対策
今回の事案は、開発中システムという本番前環境が攻撃対象となったケースであり、セキュリティが十分でない段階を狙われた可能性があります。そのため、システムの公開前であっても、アクセス制限、脆弱性対策、ログ監視などの基本的なセキュリティ対策を徹底することが不可欠です。
また、情報漏えいが疑われる場合に備えて、ログの保全や調査資料の確保など、証拠保全とフォレンジック体制を整えておくことが、早期の原因特定と再発防止に向けて重要な取り組みとなります。
出典:国立国会図書館
不正アクセスを受けた場合はフォレンジック調査が有効
万が一、社内システム或いは委託先を経由した不正アクセスが発覚した場合、最優先で行うべきは、客観的かつ正確な原因の特定と被害範囲の把握です。そのため、専門的な解析技術を用いるフォレンジック調査の実施が有効です。
フォレンジック調査とは、サイバー攻撃、情報漏えい、データ改ざんなどのセキュリティ関連インシデントが発生した際に、その原因を特定し、被害の範囲や影響を明らかにするための詳細な調査手法です。
もともとフォレンジック調査は、犯罪や事件が起きた時、その現場から犯行の手掛かりとなる「鑑識」を指していました。特にデジタルデータからの証拠収集・分析は「デジタル鑑識」あるいは「デジタル・フォレンジック」とも呼ばれます。
特に法人の場合、影響が自社内にとどまらず、取引先や委託先、顧客、監督機関への説明責任が発生するケースも少なくありません。
個人情報が関係する場合には、個人情報保護委員会などへの報告義務が法律で定められており、内容不備や対応の遅れが再提出・行政指導・取引停止・信用毀損といったリスクに直結するおそれがあります。
フォレンジック調査は、その根拠となる事実や証拠を第三者性をもって構築する手段であり、社外説明・法的対応・監督官庁への報告にも活用可能です。
被害発生時にフォレンジック調査が有効な理由は次の通りです。
- 侵入経路の特定:攻撃者がどこから侵入したかを明確にする
- 被害範囲の可視化:影響を受けたデータやシステムを把握する
- 証拠となるデータ保全:法的対応や保険請求に備えて証拠データを安全に保存する
- 再発防止策の策定:調査結果を基にセキュリティ体制を強化する
このような調査を中立的な第三者が実施することで、調査の客観性が担保され、社内の是正措置と社外への信頼確保の両立が可能になります。
弊社デジタルデータフォレンジック(DDF)では、情報漏えい調査(ダークウェブ調査)、ランサムウェア、サイバー攻撃や不正アクセスの原因特定、被害範囲調査などを実施しています。官公庁、上場企業、捜査機関など、多様な組織のインシデント対応実績があり、相談や見積もりは無料、24時間365日体制でご依頼を受け付けています。
早期対応が被害拡大防止の鍵となりますので、まずはご相談ください。
当社は累計約3.9万件ものサイバーインシデント対応実績があり、情報漏えいを引き起こさないための対策方法など豊富な知見を有しています。当社のサイバーセキュリティ専門家が、事前の予防から万が一の対応まで徹底サポートいたします。
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※2 データ復旧専門業者とは、自社及び関連会社の製品以外の製品のみを対象に保守及び修理等サービスのうちデータ復旧サービスを専門としてサービス提供している企業のこと
第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(集計期間:2007年~2020年)
まとめ
今回の国立国会図書館における不正アクセス事案は、開発中のシステムが攻撃対象となり、利用者情報が漏えいする可能性が生じたという点で、近年増加している「システム開発段階」を狙ったサイバー攻撃のリスクを浮き彫りにしました。
行政機関や公共サービスであっても、委託先システムや開発環境の脆弱性が利用者の信頼を揺るがす時代において、発覚後の迅速な事実確認と、透明性をもった情報開示が極めて重要です。
万一の際は、事実に基づいて被害範囲を正確に把握し、関係者や利用者、監督機関への適切な説明と報告を行うためにも、第三者性を備えたフォレンジック調査の活用が有効です。確かな根拠にもとづく調査と再発防止策の構築が、公的機関としての信頼回復につながります。
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