WinZipは、基本的には信頼性のあるソフトウェアですが、使用方法や扱うファイルの種類によっては、マルウェア感染のリスクが発生する場合もあります。
WinZipで不審なファイルを実行した覚えがある、または不自然な動作の記録がある場合は、マルウェア感染や情報漏えいが進行している可能性があります。放置すれば、顧客情報や社内データが外部に送信され続け、最終的に信用失墜や法的リスクなど深刻な被害につながるおそれがあります。
そのような場合は、専門家によるマルウェア感染調査を実施することで、感染の有無や被害範囲を正確に把握し、二次被害の拡大を防ぐための確実な対応につなげることが可能です。
本記事では、WinZipの安全性や過去の脆弱性、類似ソフトとの違い、マルウェアリスクとその対策について、わかりやすく解説します。
目次
WinZipを使うことでマルウェア感染のリスクはある?
WinZipは、基本的には信頼性のあるソフトウェアですが、使用方法や扱うファイルの種類によっては、マルウェア感染のリスクが生じることもあります。
多くの企業や個人が利用している一方で、名前が似た類似ソフトの存在や、過去に報告された脆弱性の影響から「危険ではないか」「マルウェアのような動きをするのでは」といった不安を感じる人も少なくありません。
特に注意が必要なのは以下のようなファイル形式です。
- パスワード付きZIPファイル
- 自己解凍形式(.exe)のファイル
これらは、マルウェアの拡散手段として悪用されることが多く、WinZipで解凍したファイル内に不正な実行ファイルが含まれていた場合、端末が感染するリスクがあります。
送信元が不明なファイルを開く場合は、事前にウイルススキャンを行い、安全性を確認することが重要です。
パスワード付きZIPファイルの危険性や、安全に取り扱うための対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

WinZipの重大な脆弱性とその影響(2024〜2025年)
WinZipでは2024年から2025年にかけて、複数の重大な脆弱性が報告されています。以下は代表的な脆弱性とその影響、現在の対応状況です。
CVE-2024-8811:MoTWバイパスの脆弱性
WinZipにおいて、インターネットからダウンロードしたファイルに付与されるセキュリティ情報「Mark-of-the-Web(MoTW)」が、特定のZIPファイル解凍時に消失する問題が報告されました。これにより、マクロやスクリプトが警告なしで実行されるリスクがあります。影響を受けるのはWinZip 76.8未満で、最新版で修正済みです。
参考資料:Security NEXT
CVE-2025-1240:リモートコード実行のリスク
WinZipの7Zファイル解析に存在する脆弱性により、細工されたファイルを開くと攻撃者が任意のコードを実行できる可能性があります。悪用されるとシステム全体が侵害されるおそれがあるため、WinZip 29.0未満を使用している場合は、早急なアップデートが推奨されます。
参考資料:GBHackers
CVE-2025-33028:MoTWバイパスの再発脆弱性
前述のCVE-2024-8811の修正が不完全だったことにより、再びMoTWが適用されずにファイルが展開される不具合が確認されています。対象はWinZip 29.0およびサブスクリプション版76.9までで、2025年4月時点で修正パッチは未提供です。
参考資料:Security NEXT
WinZipを使ったことでマルウェア感染した場合の対処法
WinZipで不審なZIPファイルや7Zファイルを解凍・実行した後に、パソコンの動作が極端に遅くなる、勝手にファイルが生成・削除される、不審なプロセス(例:powershell.exeなど)が動作しているといった異常が見られる場合は、マルウェアに感染している可能性があります。
このような異常が確認された場合は、WinZipに関連する脆弱性を通じてマルウェアが実行された可能性を想定し、以下の対応を速やかに行ってください。
- ネットワークからの切断
- 社内のIT管理者・セキュリティ担当への連絡
- ウイルス対策ソフトによるフルスキャンの実施
- 使用したサービスやアカウントのパスワード変更
- 専門の調査会社への相談
ただし、最近のマルウェアには「ファイルレス型」や「メモリ常駐型」と呼ばれる、パソコン内にファイルとして痕跡を残さず、裏で静かに動作するタイプも増えていて、一般的なウイルススキャンでは検出されないことも多く、検出されなかったからといって安全とは限りません。
感染の原因や被害の全体像を正確に把握したい場合は、感染経路の特定・影響範囲の分析・情報漏えいの有無まで対応可能な「フォレンジック調査」の活用が効果的です。
フォレンジック調査とは
警察の捜査や裁判の証拠提出にも使われる高度な手法です。感染の原因、被害の範囲、改ざんや情報漏えいの有無など、一般的なツールでは確認できない情報を専門技術で解析することができます。
特に以下のような項目を対応することができます。
- 証拠となるデータ保全
- 感染経路の特定と被害範囲の把握
- 情報漏えいの有無や外部送信先の解析
- 調査報告書作成(インシデント対応や社内報告に活用)
- 今後の再発防止策の策定支援

感染の有無を正確に把握したい、あるいは「何かあったかもしれない」と不安が残る場合は、自力で判断する前に、専門機関への相談を検討することがもっとも安全かつ確実な対応です。
自力で対応できない場合はフォレンジック調査の専門業者に依頼する

ハッキングや不正アクセス、ウイルス感染、情報漏えいなどの問題が起きた際、自分だけでの対応が難しいと感じたら、迷わずフォレンジック調査の専門業者に相談しましょう。
どこから侵入され、どんな情報が漏れたのかを正しく把握することが重要です。特に、被害が大きい場合や情報が悪用された疑いがある場合は、専門家によるフォレンジック調査を実施することで、被害の拡大を未然に防ぐ有効な対策につながります。
信頼できる業者を選び、早めに動くことが、トラブルを最小限に抑えるポイントです。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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悪質とされるWinZip関連ソフトに注意
「WinZip Driver Updater」や「WinZip Malware Protector」などは、WinZipの名称が付けられた正規のユーティリティソフトです。圧縮ソフトとは役割が異なり、動作や表示内容については利用者の間で意見が分かれています。
これらのソフトには、エラーメッセージやセキュリティ警告によって不安を感じさせ、有料版の購入へと誘導するような設計が含まれる場合があります。「動作が遅くなる」「広告が頻繁に表示される」といった声もあり、一部のセキュリティ製品では「PUP(望ましくない可能性のあるプログラム)」に分類されています。
ウイルスではありませんが、インストールや継続利用を検討する際には慎重な判断が求められます。アンインストールに関する場合は、パソコンのメーカーや家電量販店などのサポート窓口に相談する方法が安心です。
参考資料:2-spyware
参考資料:マイクロソフト
WinZipのマルウェア感染リスクを軽減するための6つの対策
感染リスクを効果的に軽減するには、日常的な操作と設定を見直すことが欠かせません。以下の6つの具体的な対策を実践することで、マルウェア感染リスクを大幅に軽減できます。
常に最新バージョンにアップデートする
WinZipを導入する際は、必ずWinZipの公式サイトから最新版をダウンロードしてください。非公式なサイトからダウンロードすると、マルウェアが含まれた改ざんファイルが配布されているおそれがあります。また、旧バージョンには修正されていない脆弱性が残っている可能性もあるため、定期的なアップデートが不可欠です。
不審なファイルや差出人からのZIPを開かない
送信元が不明なZIPファイルや、心当たりのないメールに添付されたファイルは開かずに削除することが基本です。特に、パスワード付きZIPは中身のスキャンが困難なため、より慎重な対応が求められます。
Windows/Mac標準の解凍ツールを使う
WinZipに特定の脆弱性が存在する場合でも、OS標準の解凍ツールを使えば影響を回避できる場合があります。不明なZIPファイルは、信頼性の高い標準ツールで解凍することが推奨されます。
解凍後のファイルはウイルススキャンを実施する
ァイルを展開したあとにウイルススキャンを行うことで、不正な実行ファイルやマクロの検出が可能になります。以下の手順でスキャンを実施しましょう。
- ZIPファイルを右クリックし、ウイルススキャンを選択。
- 「ウイルススキャン」またはセキュリティソフトのメニューからスキャンを実行。
- 解凍後のフォルダーも再度スキャンを行う
自己解凍ファイルやパスワード付きZIPには慎重になる
自己解凍形式(.exe)のファイルや、パスワードで保護されたZIPにはマルウェアが仕込まれている可能性があります。ファイル形式や送信者に不安がある場合は、開かずにスキャンを実行してください。
脆弱性情報やセキュリティニュースを定期チェックする
利用中のソフトウェアに脆弱性が発見されるケースは珍しくありません。公式の更新履歴やセキュリティ関連の情報サイトを定期的に確認し、必要に応じてアップデートや一時利用停止の判断を行うことが、リスク回避につながります。
WinZipを安全に使い続けるためには、上記のような日々の対策を欠かさず行うことが重要です。基本的なセキュリティ対策を徹底することで、マルウェア感染のリスクは大きく軽減できます。
まとめ
WinZipは基本的に信頼性の高い圧縮ソフトですが、古いバージョンの使用や不審なファイルの展開によって、マルウェア感染のリスクが生じることがあります。公式サイトから最新版を導入し、解凍前後のウイルススキャンや日常的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。異常が見られる場合には、専門家によるフォレンジック調査の活用が安心につながります。