ランサムウェアの感染手口として、安全にデータ通信を行うVPN機器の脆弱性をついて社内ネットワークに侵入する手口が主流でした。しかし、2024年に国内で流行している8Baseランサムウェアなどは、なりすましメールやフィッシングメールなどを感染の手口に使用する場合があります。
本記事ではメールを感染源とするランサムウェアの手口について解説します。最新の手口を知り、適切に対処しましょう。
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目次
ランサムウェアとは
ランサムウェアとは、PCやサーバー内の暗号化したデータや盗んだ個人情報を人質にとり、身代金を要求する手口のソフトウェアです。攻撃者はランサムノートと呼ばれる脅迫文を送り、身代金を要求します。
ネットワーク構成やセキュリティによってはネットワーク内の全てのコンピューターがランサムウェアに感染する場合もあり、長期間に及ぶ業務停止に追い込まれる場合もあります。
ランサムウェアとは何か?感染経路から被害事例、調査方法まで解説
ランサムウェアに感染するとどうなるのか
ランサムウェアに感染すると、最初にシステム内のファイルが暗号化されます。これにより、ユーザーは自身のデータにアクセスできなくなります。
その後、攻撃者は身代金を要求する「ランサムノート」と呼ばれるメッセージを送信したり、会社などに身代金を要求する旨の電話をかける手口もみられます。
また、身代金の支払いを断ると個人情報などをダークウェブに流出させるなどといった脅迫が行われる場合があります。ダークウェブとは一般的な検索エンジンでは検索できないインターネットの領域であり、匿名性が高いことから、個人情報や機密情報の違法取引に利用されることもあります。
攻撃者に身代金を支払っても攻撃者が情報を流出させない保証はなく、暗号化されたデータを復号できるとは限りません。
また攻撃者に支払った身代金は犯罪資金として使われる場合があるため、解決後に社会的責任を問われる場合もあります。ランサムウェアに感染したら、身代金は払わず、すぐに専門家に相談することをおすすめします。
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メールを感染源とするランサムウェアの感染経路
攻撃者は、何らかの方法で攻撃対象の内部ネットワークへ侵入し、サーバや端末をランサムウェアに感染させます。その侵入方法のひとつが電子メールです。
電子メールにランサムウェアを仕込んだファイルを添付して攻撃対象者へ送付し、そのファイルを相手が開くことによって感染させたり、本文にURLを掲載し、それをクリックして感染させるなどの方法が電子メールを使用した有名な感染経路です。
警察庁発表の「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、ランサムウェアの感染経路は「不審メールやその添付ファイル」は全体の5%を占めており、「VPN機器からの侵入」「リモートデスクトップからの侵入」につぐ多さです。
ランサムウェアの感染に使われる電子メールの攻撃手法は以下の通りです。
フィッシングメール
フィッシングメールとは、信頼できる企業の名前などを騙り、添付されているURLなどをクリックさせ、個人情報やログインパスワードなどを入力させるメールです。
フィッシングメールを使用したフィッシング詐欺では、大手の通販サイトや銀行を装い、クレジットカード情報などを入力させる手口が多いですが、ランサムウェアの場合は、添付されたメールやファイルを開かせて、端末を感染させます。
フィッシングメールには「アカウントの停止」や「料金の未払い」なの緊急性の高い内容が書かれていることが多いため、心理的な隙をついてクリックさせて中に仕込まれていたランサムウェアに感染させる可能性があります。
標的型メール攻撃
標的型メール攻撃では、フィッシングメールと異なり、働いている企業の社長や取引先の企業の社員などに成りすまして、ターゲットにメールが送られます。一見すると普通の業務用メールのため、気づかずにメールや添付ファイルを開いてしまう場合があります。
標的型メール攻撃を対策するには、メールやファイルを開く前に差出人やメールアドレス、添付ファイルの拡張子などを確認し、必要であれば、送り主本人に確認を取ることが重要です。
メールにおいてランサムウェアに感染しないための対策方法
メールによるランサムウェア感染をしないために以下のような対策を行ってください。
不審な宛先のメールやウェブサイトを開かない
不審な宛先からきたメールの添付ファイルや、本文に記載されているURLをクリックしたりすることによってランサムウェアに感染する恐れがあります。
中には実在する人物や企業、サービス等を装ったメールが来るかもしれません。メールは送信者のメールアドレスや本文添付ファイルのファイル名など必ず確認してから必要でなければ、ファイルを開いたり、URLをクリックしたりしないようにしましょう。
OSやソフトウェアを最新の状態にする
OSやソフトウェアは最新バージョンにアップデートをできるよう定期的に更新のチェックを行うようにしましょう。
アップデートを怠っていると脆弱性が発見されてしまい、それを狙った攻撃の標的にされてしまう可能性があります。
定期的にデータのバックアップをとる
ランサムウェアに感染してしまうとデータファイルが暗号化されたり、開けないようにされたりしてしまう可能性が大いにあります。そうなった場合、データファイルふを見ることが出来なくなります。
そのため、バックアップを定期的に取ることでもしもの時にバックアップからデータを復旧できるように備えておくとよいでしょう。
ウイルス対策ソフトを導入する
ウイルス対策ソフトを導入し、コンピュータやデータファイルを保護できるようにしましょう。ランサムウェア等のマルウェアを検知した場合に、感染を防ぐことが出来ます。
こちらのウイルス対策ソフトも常に最新バージョンにしましょう。
ファイル転送サービスを導入する
ファイル転送サービスは、セキュリティを強化し、ファイルを安全に送受信できるようになります。中には、下記の機能を持つもあります。導入も検討してもいいでしょう。
- SSL/TLSプロトコルを使用して通信を暗号化
- ファイルへのアクセス権限を管理
メールの送受信でランサムウェア感染してしまった場合には
ランサムウェアに感染し、適切な対処ができる企業はほとんどありません。むしろ自社だけで対応を判断するのが一番のリスクです。ランサムウェアに感染した場合、情報漏えいや更なるサイバー攻撃被害が疑われるため、まずはサイバーセキュリティの専門家と提携して感染原因の究明や被害範囲の特定を行うことが重要です。
この際、有効なのが「フォレンジック調査」です。
フォレンジック調査とは、コンピュータやネットワークに保存されたデータやログを分析し、インシデントの原因や経緯、影響範囲を解明する調査手法です。ランサムウェアの感染調査では駆除・隔離に加えて、侵入経路や情報漏えいの有無を確認することができます。
私たちデジタルデータフォレンジックは、官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験があり、攻撃に使用された侵入経路や漏えいデータを迅速に特定します。ご相談や詳細な情報については、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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フォレンジック調査の詳細については下記の記事で詳しく解説しています。
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企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
「ランサムウェア・マルウェアに感染した」、「内部の人間による情報漏えいが疑われる」このような場合、被害範囲や不正行為の経路を調べることが大切です。
特に2022年4月施行の「改正個人情報保護法」では、財産的被害が生じるおそれのある個人データの漏えい等が発覚した場合、法人に以下の義務が課せられました。したがって、被害調査を行うことは再発防止のためだけでなく、個人情報取扱事業者の義務でもあります。
- 個人情報保護委員会への報告:当該企業は、個人情報保護委員会に漏えいの報告を行う。
- 当該個人に対する通知:当該企業は、個人情報漏えいの被害を受けた個人に通知を行う。
仮に措置命令違反や個人情報の不正流用が発生した場合、最高で1億円の罰金が科せられる可能性もあります。したがって、情報漏えい時、どの情報が、どのように漏えいしたのかを調査し、今後の対応や予防策を考える必要があります。
ただし、被害の調査を行う場合、法的知識や専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難であるため、フォレンジック専門家と提携して調査することをおすすめします。
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ランサムウェア感染時の対応
メールを感染源とするランサムウェアに感染した場合、以下の方法で速やかに対応しましょう。
ネットワークから切断する
ランサムウェアに感染した場合、速やかに機器をネットワークから切断し、感染の拡大を防ぎましょう。これにより、攻撃者がランサムウェアを遠隔操作することを防ぎ、他のデバイスやネットワークへの感染を最小限に抑えることができます。
感染端末の証拠を保全する
ランサムウェアに感染した端末をシャットダウンすると、メモリ上の揮発性データが消去されてしまうため、メモリの調査が困難となってしまいます。
メモリのデータにはコンピューター動作に関するデータが一時的に保存されており、ランサムウェアの痕跡が含まれている可能性もあります。
よって、ランサムウェアに感染した端末はスリープモードにして証拠を保全しておきましょう。
バックアップからデータを復旧する
データのバックアップが残されていれば、バックアップを用いてランサムウェアに感染したシステムの復旧を行いましょう。
ファイルの回復を実現するには、独自に作成したバックアップファイルを試すことをお勧めします。
独自に作成したバックアップファイルがある場合は、暗号化された端末を初期化後、その端末にバックアップデータを反映させることで、感染前の状態まで戻すことが出来ます。
ただし「ネットワーク上の仮想的なバックアップが暗号化されていた」「古いバックアップで、データが消えてしまう」という場合、データが完全に失われる恐れがあるため、この解決方法は推奨できません。
パスワードなどを変更する
ランサムウェアはネットワークに侵入した際に、認証情報や個人情報などを外部に漏えいさせ、脅迫に用いる場合も少なくありません。
ランサムウェアに感染していない他のデバイスから速やかにパスワードを変更しましょう。必要であれば多要素認証を追加するなど、セキュリティも強化しておくことをおすすめします。
VPN機器やOSなどを最新版にアップデートする
セキュリティホールを悪用するランサムウェアから身を守るために、VPN機器やOS、アプリケーションを常に最新の状態に保つことが重要です。
定期的にアップデートを行い、セキュリティパッチを適用することで、攻撃のリスクを減少させることができます。
ランサムウェアに感染した端末を調査する
ランサムウェアに感染した端末に適切なセキュリティ対策を行うには、端末を調査し、感染経路や被害状況を正確に把握することが必要になります。
この時、デジタルデータを証拠として収集・解析する「フォレンジック調査」を感染端末に対して行うことが有効です。
フォレンジック調査は警察の捜査にも採用されている調査の手法ですが、近年のサイバー攻撃の巧妙化により、フォレンジック調査には、より専門的な技術や知識が必要になりつつあります。
企業の場合は個人情報保護法に基づく報告義務もあるため、調査技術を持つフォレンジック調査会社に相談することをおすすめします。
ランサムウェア感染時、感染経路調査を行うメリット
ランサムウェアに感染した場合、感染経路を調査することで、攻撃者の侵入方法を特定し、将来の攻撃から身を守るために対策を講じることができます。
ランサムウェア感染の調査を行う方法として「フォレンジック調査」を挙げることができます。フォレンジック調査とは、電子機器から証拠を収集・分析して、インシデントの詳細を解明する手法で、たとえば攻撃者がどのようにランサムウェアを侵入させたか、どのような手法や脆弱性が悪用されたかなど、感染経路や情報漏えいの特定に役立ちます。
ランサムウェア感染時の対処におけるフォレンジック調査のメリットは次のとおりです。
- 被害範囲を特定できる
- 感染経路や攻撃手法の解析・証拠が確保できる
- 専門エンジニアの詳細な調査結果が得られる
- セキュリティの脆弱性を発見し、再発を防止できる
①被害範囲を特定できる
フォレンジック調査は、感染したシステムやネットワーク内での攻撃の拡散範囲を特定するのに役立ちます。これにより、被害を受けたシステムやデータ、ネットワークの一部を迅速に特定し、対処を開始することができます。
②感染経路や攻撃手法の解析・証拠が確保できる
フォレンジック調査では、ランサムウェアの攻撃手法や感染経路を解析し、証拠を確保できます。また、証拠の確保は、法的な措置や法執行機関との連携に役立つだけでなく、被害の評価や保険請求のためにも重要な要素となります。
③専門エンジニアの詳細な調査結果が得られる
フォレンジック調査の専門会社には、正確にハッキング被害の実態を確認するために必要な高度な技術を持つ専門エンジニアがいます。
自社調査だけでは不適切な場合がありますが、フォレンジックの専門業者と提携することで、調査結果をまとめた報告書が作成でき、公的機関や法廷に提出することができます。
④セキュリティの脆弱性を発見し、再発を防止できる
フォレンジック調査では、マルウェアによる被害の程度や感染経路を特定することで、今後のリスクマネジメントに貢献することが出来ます。弊社では、解析調査と報告書作成の他に、お客様のセキュリティを強化するためのサポートも提供しています。
私たちデジタルデータフォレンジックは官公庁、上場企業、捜査機関等を含む幅広いインシデントに対応経験があります。お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
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ランサムウェアによる被害の調査を行う場合、専門業者に相談する
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセスのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
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ランサムウェア調査会社への相談方法
インシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うか決定していない段階でも、今後のプロセス整理のために、まずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。
取引先や行政に報告する際、自社での調査だけでは、正確な情報は得られません。むしろ意図的にデータ改ざん・削除されている場合は、情報の信頼性が問われることもあります。
インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
DDF(デジタルデータフォレンジック)では、フォレンジックの技術を駆使して、法人/個人を問わず、お客様の問題解決をいたします。
当社では作業内容のご提案とお見積りのご提示まで無料でご案内しております。
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