あなたのPCが、気づかないうちに誰かに“見られている”かもしれません。遠隔操作ウイルス(RAT:Remote Access Trojan)は、パソコンやスマートフォンをインターネット経由で遠隔操作するマルウェアです。
個人でも企業でも、一度感染すれば内部情報・金融データ・マイクやカメラの映像まで外部から盗まれる可能性があります。もし感染している可能性がある場合はすぐにフォレンジック調査会社に相談しましょう。
本記事では、RATの正体、感染経路、被害事例、そして今すぐできる対策までわかりやすく解説します。
目次
遠隔操作ウイルス(RAT)とは
遠隔操作ウイルス(RAT)は、動物のねずみ(RAT)のようにユーザーに気づかれないようPCの内部へ侵入し、活動することからRATと呼ばれます。
攻撃者は、RATを利用することで遠隔でユーザーの個人情報を盗み見たり、端末内のソフトを停止させたり、別の攻撃を仕掛けるための踏み台に使う等を行います。
遠隔操作ウイルス(RAT)とは別名「リモートアクセス型のトロイの木馬」
遠隔操作ウイルス(RAT)は、有益なソフトウェアやファイルなどに偽造して、ユーザーにインストールしてもらい、気づかれないうちにシステム内へ侵入することが一般的な手口です。
似たような特徴を持つ有名なマルウェアとして「トロイの木馬」というものがあります。そのため、遠隔操作ウイルス(RAT)は「リモートアクセス型トロイの木馬」とも呼ばれています。
主な特徴と機能
RATは他のマルウェアと異なり、ユーザーの操作なしにPCを完全に乗っ取ることが可能です。特に以下の点が特徴的です。
- ステルス性: バックグラウンドで静かに動作し、ユーザーに気づかれにくい
- 多機能性: キーログ・スクリーンショット・カメラ映像・ファイル操作などを遠隔で実行
- トロイの木馬型: 正常なアプリに偽装してユーザーに実行させる
遠隔操作ウイルス(RAT)の感染経路
RAT(リモートアクセス型トロイの木馬)は、感染端末に“裏口(バックドア)”を開き、攻撃者が自由に操作できる状態を作り出します。感染しても気づきにくく、情報窃取やシステム操作など深刻な被害を引き起こします。
では、こうしたRATはどのような経路で端末に侵入するのでしょうか?主な感染手段を以下にまとめました。
不審なメールや添付ファイル
企業や行政機関を装ったフィッシングメールの添付ファイルから感染します。感染すると、端末がボット化し、本人が気づかないまま他者への攻撃にも加担させられます。
不正なアプリのインストール
便利そうなアプリを装ってRATを仕込んだソフトがインストールされるケースも。画面に表示されず、気づかないうちに常駐するものもあります。
ID・パスワードの流出
遠隔操作アプリのログイン情報が流出すると、攻撃者が本来のユーザーになりすましてアクセスしてくることがあります。安易な使い回しは厳禁です。
遠隔操作アプリの悪用
正規アプリ(UltraViewerなど)を悪用し、セキュリティソフトを装ってインストールさせ、リモート操作を行う手口が増えています。ID・パスワードを他人に伝えるのは極めて危険です。
USBメモリなどの外部デバイス
見知らぬUSBなどにRATが仕込まれていることがあります。内容を確認せずに接続するのは非常にリスクが高いため注意が必要です。
これらの行動に心当たりがあり、「何かおかしい」と感じた方は、感染の可能性があるため、早急に対処が必要です。
▶ 遠隔操作ウイルス(RAT)に感染した場合の対処法はこちら
遠隔操作ウイルス(RAT)の攻撃手順
RAT(Remote Access Trojan)は、標的の端末に感染し、攻撃者が遠隔から完全に操作できるように設計されたマルウェアです。感染から実際の操作に至るまでの流れは非常に巧妙かつ段階的です。
感染メールや不正サイトから侵入
公的機関や取引先を装ったメールにRATを仕込んだ添付ファイルやリンクを含め、標的に送信します。
添付ファイルの開封やリンククリック
一見無害なExcelやPDF、アップデート通知を装い、開かせた瞬間にRATをインストールします。
RATのインストールとバックドア設置
RATが端末内に「バックドア」を設置し、攻撃者が自由に操作できる環境を構築します。
攻撃者と通信チャネル(C2)を確立
RATは外部の攻撃者と通信を開始し、命令の受信やデータの送信を行います。
遠隔操作と情報窃取・拡散
キーログ取得、スクリーンキャプチャ、ファイル盗難、カメラ・マイク操作、さらには他端末への感染拡大まで実行されます。
攻撃フローまとめ
手順 | 概要 |
---|---|
1 | 感染メールや不正サイトで標的を誘導 |
2 | 添付ファイル開封・リンククリックで感染 |
3 | RATがバックドアを設置し常駐 |
4 | 攻撃者がC2通信で操作開始 |
5 | 情報窃取・端末制御・追加攻撃を実行 |
このように、RATは見えないところで段階的に侵入・定着し、気づかないうちに個人や企業の情報を奪っていきます。
遠隔操作ウイルス(RAT)の被害事例
遠隔操作ウイルス(RAT)を利用して実際に行われた攻撃の被害内容について紹介します。
2016年6月 JTBで最大793万人分の個人情報流出
旅行大手会社のJTBが2016年6月14日に、RATのKorplug(PlugX)を利用した標的型攻撃による被害を受けて、最大793万人分の個人情報が流出した可能性がありました。
流出した可能性のある個人情報は、氏名や住所、約4,300人分のパスポート情報など。
また、提携先企業の顧客個人情報も流出したとされています。
出典:日本経済新聞
2022年頃 ウクライナのインフラ施設や個人を狙った攻撃
2022年2月頃から、サイバー犯罪者による時事ネタを絡めた偽の電子メールを不特定多数の人に対して、大量送信していました。その中にRATが仕込まれており、被害額は5,500ドル(現在約80万円)を抜き取られた等の被害が報告されています。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻時に、ロシアのサイバー攻撃集団がRAT(Dark Crystal RAT)を利用して電力会社や金融機関等のインフラ施設を狙った攻撃を行っている。
出典:CISCO/Blackberry
自力で対応できない場合はフォレンジック調査の専門業者に依頼する

ハッキングや不正アクセス、ウイルス感染、情報漏えいなどの問題が起きた際、自分だけでの対応が難しいと感じたら、迷わずフォレンジック調査の専門業者に相談しましょう。
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
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