ニッセイ・ウェルス生命保険は2025年11月18日、銀行出向者が出向先の内部情報を不正に取得し、社内で共有していた事実を明らかにしました。確認された件数は943件で、出向先は三井住友銀行およびみずほ銀行です。
さらに、日本生命本体でも三菱UFJ銀行への出向者による600件の不正取得が判明しており、グループ全体での情報持ち出し件数は1543件に上りました。
出典:YAHOO!ニュース
判明した不正内容と対象情報
不正に取得された943件の情報は2019年4月〜2025年4月の期間に発生し、スマートフォンでの撮影や紙媒体での持ち出しを通じて、社内の金融機関担当者に共有されていました。以下のような情報が含まれていました。
- 他社の保険商品情報、利率表、設計書、研修資料
- 金融機関の販売方針、評価基準、販売実績
- 従業員情報(個人情報)および一部の顧客情報(※即時廃棄確認済)
これらは営業推進や販売支援施策の立案に活用されていたとされます。
組織的問題とグループ全体への波及
本件に先立ち、親会社である日本生命本体でも、三菱UFJ銀行への出向者による600件の不正取得が報告されており、グループ全体での情報持ち出し件数は合計1543件に達しています。
このように複数の関連会社で同様の不正が確認されたことから、一部出向者の過失にとどまらず、グループ全体に共通する構造的・組織的な問題が背景にあるとの見方が強まっています。
実際に日本生命の内部資料には、「出向者が収集した情報を社内で活用することが期待されていた」との記述もあり、営業成果を優先する企業風土が不正を助長していた可能性が指摘されています。
発生原因
ニッセイ・ウェルス生命は今回の不正取得事案の背景について、社内調査の結果、以下の4点を主要な原因として挙げました。
- 経営機密情報への認識不足:出向者および社内担当者の双方において、情報の重要性や機密性への意識が希薄で、リスク判断が甘かった。
- コンプライアンス意識の欠如:出向先からの許可が得られていないことを認識していながら、資料を安易に取得・共有する行動が常態化していた。
- 教育・研修の不備:出向者に対する情報管理・外部機密の取り扱いに関する研修や社内ルールの周知が不十分であった。
- 前例踏襲的な組織風土:営業成果を優先し、過去の慣行をそのまま踏襲する姿勢が是正されないまま残っていた。
今後の再発防止策
このような問題の再発を防ぐため、同社は以下の対策を講じると発表しました。
- 出向方針の見直し:募集代理店への出向制度を見直し、新たな内規を整備。現行の出向者については、2026年3月末までに全員帰任させる予定。
- 情報取扱ルールの明文化と徹底:出向先や取引先の機密情報に関する取得・取扱ルールを明文化し、出向者向け研修で徹底周知する。
- 「第1.5線」ディフェンス体制の導入:営業部門内にリスク管理やコンプライアンスを担う機能を新設し、第1線と第2線の間で牽制力を強化する。
- 内部通報制度の拡充:イントラネットでの定期的な周知やアンケートを通じて通報体制の利用促進を図り、潜在的な問題を早期発見できる仕組みを強化。
社内不正や情報持ち出しにはフォレンジック調査が有効
今回のように、出向者や社内関係者による情報の不正持ち出しが発覚した場合、最優先で行うべきは、客観的かつ正確な経緯の特定と被害範囲の把握です。そのため、専門的な解析技術を用いるフォレンジック調査の実施が非常に有効です。
フォレンジック調査とは、情報漏えい、内部不正、データ改ざんなどのインシデント発生時に、操作ログや通信記録、デバイス内のデータなどを専門技術で解析し、関与者・経路・影響範囲を明らかにする調査手法です。
もともとフォレンジック調査は、犯罪や事件が起きた時、その現場から犯行の手掛かりとなる「鑑識」を指していました。特にデジタルデータからの証拠収集・分析は「デジタル鑑識」あるいは「デジタル・フォレンジック」とも呼ばれます。
第三者調査が必要とされる理由
特に法人の場合、影響が自社内にとどまらず、取引先や委託先、顧客、監督機関への説明責任が発生するケースも少なくありません。
個人情報を含む場合は、個人情報保護委員会への報告が法的に求められ、報告の遅延や内容不備は、行政指導・取引停止・信用毀損のリスクに直結する可能性もあります。
フォレンジック調査は、こうした状況で必要となる根拠資料や説明材料を中立的かつ客観的に構築できる手段であり、法的対応や社外説明にも活用できる調査資料を提供されます。
情報持ち出しや社内不正のインシデントにおいて、フォレンジック調査が有効とされる理由は次の通りです。
- 持ち出し経路の特定:資料がどのように流出したかを操作記録から解明
- 影響範囲の可視化:どの資料が誰に共有されたのかを特定
- 証拠データの保全:報告書や再発防止策の根拠として活用
- 再発防止策の立案:事実に基づいた対応で、同様の事案を未然に防止
これらを中立的な第三者機関が実施することで、調査の客観性が担保され、社内是正と社外説明の両面で信頼性を確保することができます。
弊社デジタルデータフォレンジック(DDF)では、情報漏えい調査(ダークウェブ調査)、内部不正・機密情報の持ち出し、ランサムウェア、サイバー攻撃や不正アクセスの原因特定、被害範囲調査などを実施しています。官公庁、上場企業、捜査機関など、多様な組織のインシデント対応実績があり、相談や見積もりは無料、24時間365日体制でご依頼を受け付けています。
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まとめ
今回のニッセイ・ウェルス生命における情報持ち出し事案は、個人の不正というより、組織構造や企業風土に根差した管理不備が背景にあると指摘されています。
943件という件数の大きさに加え、日本生命本体でも同様の問題が発覚したことで、グループ全体としての情報統制体制の脆弱さが露呈しました。
こうした状況下では、出向先や委託元といった外部関係者との信頼関係が大きく揺らぐため、初動の透明性ある調査対応と、説明責任の履行が極めて重要です。
社内での是正措置と外部への信頼回復を両立させるためにも、フォレンジック調査など第三者性を伴う調査の導入を早期に検討することが、企業防衛の観点からも有効です。
事実を正確に把握し、再発防止につなげるための第一歩として、専門機関へのご相談をおすすめします。
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