企業における不正リスクの高まりやサイバー攻撃の高度化に伴い、フォレンジック調査と弁護士による法的対応の連携はますます重要性を増しています。
技術的な証拠の収集と解析、そしてそれに基づいた法的な判断は、企業が危機に直面した際の対応力を大きく左右する要素です。
本記事では、フォレンジック調査会社と弁護士がどのように連携し、調査と法的対応をどう連携させるか、ステップで解説します。
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弁護士とフォレンジック調査の連携が求められる主なケース
フォレンジック調査では、しばしば情報持ち出しや横領などの社内不正を調査することがあります。その過程で事実が判明し、損害賠償請求などを行うために弁護士が調査に関係することがあります。
社内不正調査
企業内部で発生する会計不正や資金の私的流用といった社内不正に対して、フォレンジックと弁護士の連携は特に重要です。会計不正や横領などは、その手口が巧妙化・複雑化しており、単に帳簿を確認するだけでは発見が困難な場合が多いです。
ここでフォレンジック調査会社が、経理システム、ERP、メールサーバー、ファイル共有システムなどからデジタル証拠を抽出・分析し、不審なトランザクションのパターンや帳簿の改ざん痕跡を特定します。
弁護士はその調査結果を踏まえ、経営陣への法的助言、役職員へのヒアリング、外部公表のリスク評価、さらには株主訴訟や刑事告発の準備など、法的観点からの対応を統括します。社内不正の発生直後から両者が協働できるよう、企業側は両社に必要な証拠などの情報共有を行うことが必要です。

サイバー攻撃
近年のサイバー攻撃の手法は、複雑かつ広範囲なものとなっています。サイバー攻撃時には、フォレンジックがログ解析・侵入経路の特定・マルウェア解析・通信の追跡などを通じ、被害の全容を技術的に解明します。フォレンジック調査でインシデント発生直後からの迅速なログ解析と侵害経路の特定、マルウェアの特性分析、ネットワークトラフィックの追跡などを通じて、被害の全体像を明らかにします。
その一方で、弁護士は個人情報保護法、サイバーセキュリティ基本法、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任制限法など、複雑に絡む法令への対応を担います。さらに、漏洩対象となった顧客や取引先への通知文書作成、監督官庁への報告義務、マスコミ対応における法的観点からの指導など、多岐にわたる対応が求められます。
特にプライバシー情報や知的財産が関与する場合には、漏洩の影響が企業のブランド価値に深刻な打撃を与えるため、弁護士とフォレンジックが協力して「誰が、いつ、どのように漏洩させたのか」という事実解明と、透明性のある説明責任の履行を果たすことが極めて重要です。
訴訟・紛争の証拠収集
訴訟や仲裁などの法的紛争においては、客観的証拠の提示が勝敗を左右する決定的な要因となる。ここでフォレンジックの専門性が活きる場面が多い。特に、労働問題、知的財産権侵害など、主張の裏付けとなるのが電子メール、ファイルのアクセス履歴、USBメディアの使用状況などのデジタル証拠が争点となる場合、証拠保全から解析までを正確に行うことが求められます。
弁護士は、収集されたデータを訴訟戦略に反映させる役割を担い、「どの証拠を、どのように主張・立証に用いるか」という判断を行います。
近年では、ディスカバリ対応やeディスカバリ制度(電子的な証拠情報開示制度)において、デジタル証拠の整備が重要視されており、フォレンジック調査の中立性・正確性がそのまま裁判所の判断に影響を及ぼすこともあります。このように、訴訟問題に発展したインシデントが発生した場合、弁護士とフォレンジック調査会社との密な連携が不可欠となります。
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フォレンジック調査会社と弁護士のステップ別連携フロー
ここでは企業向けにフォレンジック調査会社と弁護士のステップ別連携フローを解説します。具体的な連携フローは以下の通りです。
ステップ①専門家や弁護士へ相談する
問題が発覚した時点で、最初に行うべきは迅速な初期判断と外部専門家への相談である。内部通報やIT部門からの異常検知、監査での指摘などを契機に、企業の法務部門やコンプライアンス部門は、信頼できる弁護士およびフォレンジック調査会社と連絡を取り、インシデントの概要把握とリスク評価を行います。
この段階では、まだ全容が見えていないため、関係者数、影響範囲、法的リスクのレベルなどを仮定しながら、調査体制や優先順位を定めるプロセスが中心となる。
弁護士は、刑事事件に発展する可能性や、報告義務の有無(個人情報保護法・金融商品取引法など)を分析し、初動対応の助言を行います。一方フォレンジック調査会社は、現時点で保全すべき機器やデータについて技術的助言を提供し、データ消失や改ざんリスクを防ぐ対策を提案します。
この初期フェーズの判断次第で、以後の対応スピードと精度が大きく左右されるため、早期連携と役割分担の明確化が鍵を握ります。
ステップ②関係者の特定と証拠保全
初期判断の結果、調査が必要と認められた場合には、次に対象関係者や調査対象範囲の特定を行い、同時に証拠保全作業を実施します。これは、将来的な法的対応を見据えて証拠の真正性を担保するための極めて重要な工程です。
フォレンジック調査会社は、調査対象者のPC、サーバー、クラウドストレージ、スマートフォンなどのデータを完全複製し、タイムスタンプやファイルの改ざんが行われないよう専門機器を用いて保全します。
弁護士は、保全範囲に法的妥当性があるかを確認し、個人情報保護法やプライバシーの問題、職務権限との関係性などを考慮して、適切な調査対象を指示します。
また、従業員へのヒアリング実施の可否やタイミング、社内通報制度の活用、調査が外部に漏れないような情報統制の徹底も弁護士の助言の下で管理されます。
ステップ③データ分析と法的評価
証拠保全が完了すると、保全されたデータの技術的解析フェーズに入ります。フォレンジック調査会社は、ログファイルの分析、削除データの復元、USBの利用履歴確認、メール・チャットログの解析、アクセス履歴の抽出などを行い、問題行為の有無を科学的根拠に基づいて明らかにしていきます。
弁護士は、調査結果を随時受け取りながら、どのような法令に違反するか、あるいは社内規程違反に該当するかを精査します。また、不正行為の加害者・被害者、被害金額、刑事告訴の必要性、損害賠償の可能性といった法的評価と対策シナリオの構築を進めます。
このステップでは、「事実の把握」と「法的意味づけ」を同時に進めるため、両者の継続的な情報共有と協議が不可欠です。誤った法的評価に基づいた対応は、二次被害や訴訟リスクを引き起こすため、法的・技術的両面での正確な判断が求められます。
ステップ④調査結果の報告と戦略立案
調査が一通り完了すると、フォレンジック調査会社は詳細なレポートを作成する。この報告書には、調査の範囲、調査方法、ログ分析結果、ファイル改ざんの有無、関係者の操作履歴などの調査結果が詳細に記載される。さらに、必要に応じて専門家の見解も添付されます。
弁護士はこの報告書をもとに、法的戦略(懲戒処分の実施、刑事告訴の是非、監督官庁への報告、取締役会への説明責任など)を策定する。企業が社会的信頼を失わないためには、調査結果の透明性と、それに基づく適切な法的措置の実施が重要です。
また、企業側で調査の結果に基づき、再発防止策の提案、社内規定の見直し、従業員教育の実施といった対応も必要です。
ステップ⑤訴訟・行政対応の支援
最後に調査結果次第では訴訟対応や行政手続き対応が必要となる場合があります。たとえば、損害賠償請求訴訟の提起・防御、刑事告訴、消費者庁や金融庁などへの報告、あるいはeディスカバリ対応などが該当する。
弁護士は、法的文書の作成・提出、訴訟手続の進行、当局との折衝を担い、フォレンジックは法廷での証拠として耐えうる報告書の整備、専門家証人としての証言準備などを行います。特に近年では、デジタル証拠の信頼性が争点となるケースも増えており、その作成プロセスや解析手法の妥当性を証明する能力が問われます。

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>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
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