警告画面と共に「サポートセンター」への連絡を促す電話番号が表示され、案内に従って遠隔操作ソフトをインストールしてしまう手口は、典型的な「サポート詐欺」です。
遠隔操作が行われた場合、パソコン内部の環境に不正にアクセスされている可能性が高く、情報漏えいや金銭被害など深刻なリスクも高いため、速やかにフォレンジック調査会社に相談し、不正アクセスや情報漏えいの有無を調査など被害状況を正確に把握することが重要です。
本記事では、被害を最小限に抑え、二次被害を防ぐための具体的な対応手順を解説します。
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サポート詐欺で遠隔操作される仕組み
サポート詐欺は、「ウイルス感染」などの偽警告を表示し、電話をかけさせて遠隔操作ソフトのインストールを誘導する手口です。相手は正規のサポートを装い、操作の許可を取り付けます。
遠隔操作により、ログイン情報やクレジットカードの盗取、不正送金、仮想通貨の引き出しなどの被害が発生します。冷静さを失うと判断が鈍り、深刻な被害につながるおそれがあります。
サポート詐欺で端末の遠隔操作をされてしまう仕組みは以下の通りです。

①偽の警告画面で不安を煽る
インターネット閲覧中に突然、「ウイルスに感染しました」「PCがブロックされました」などの偽の警告画面や警告音声が表示されます。画面にはマイクロソフトや有名セキュリティ会社のロゴが使われ、信頼できそうに見えるのが特徴です。
こうした画面は繰り返し表示され、通常の操作では閉じられないことも多く、ユーザーに焦りと不安を与え、冷静な判断力を奪い、次の行動へ誘導します。
②電話をかけさせて「サポート業者」を装う
偽の警告画面には「サポートセンター」や「カスタマーサポート」などの電話番号が表示されます。ユーザーが電話すると、詐欺グループの「サポート担当者」につながり、「ウイルス感染」や「緊急の修復が必要」といった説明で不安を煽ります。ユーザーが自ら詐欺グループに接触するよう仕向ける巧妙な誘導です。
実際に電話してしまった際の正しい対処法は以下の記事で詳しく解説しています。
>マイクロソフト サポート詐欺に電話してしまったときの正しい対処法
>サポート詐欺に電話してしまったらどうなるのか?対処法も解説
③遠隔操作ソフトのインストールを指示
詐欺師は「状態確認が必要です」などと案内し、AnyDeskやTeamViewerといった遠隔操作ソフトのインストールを促します。指示通りに接続IDやパスワードを伝えてしまうと、PCの画面やファイルが完全に操作され、内部データに自由にアクセスされる危険な状態になります。
ソフトを放置しておくと、再びPCを乗っ取られる恐れもあります。すでにインストールしてしまった場合は、以下の手順を参考に、速やかに削除してください。
>サポートにインストールされた遠隔操作ソフトのアンインストール方法を解説
④実際に起こる被害例(なりすまし・不正送金など)
遠隔操作を許可してしまうと、PC内部の情報や機能が完全に掌握され、深刻な金銭被害・情報流出・犯罪利用といった実害につながる恐れがあります。
- 金銭被害: ウイルス駆除費やサポート契約の名目で、クレジットカードや電子マネーでの支払いを求められる
- 個人情報・業務データの流出: 写真・ファイル・顧客情報などが無断で抜き取られる
- アカウント乗っ取り: メール、SNS、ネットバンキングへの不正アクセスが発生
- PCロックや操作不能: ツールでパソコンをロックされ、業務や作業が継続できなくなる
- 犯罪の踏み台化: 自身のPCが、他者へのサイバー攻撃に悪用される
サポート詐欺は、「偽の警告」→「電話」→「遠隔操作」→「被害発生」という流れで進行します。
一度でもリモート操作を許可してしまうと、情報の抜き取りや犯罪利用のリスクが一気に高まります。警告画面に表示された番号には、決して連絡しないようご注意ください。
万が一、遠隔操作を許可してしまった場合は、自力での対応には限界があります。被害範囲の特定や、証拠となるデータの保全には専門のフォレンジック調査が有効です。
>フォレンジック調査とは何か?対象範囲・調査の流れ・費用感まで解説
「情報が抜き取られていないか不安」「パソコンが勝手に動く」といった兆候がある場合は、早めの相談が被害拡大を防ぐ鍵です。
サポート詐欺で遠隔操作されたときの対処法8選
もしサポート詐欺によって遠隔操作を許可してしまった場合、速やかな初期対応が被害拡大を防ぐ鍵となります。下記の手順を上から順に実行し、情報流出・金銭被害・不正利用を防ぎましょう。
①インターネット接続を遮断する
まず真っ先に行うべきことは、加害者との通信手段を断ち切ることです。
- Wi-Fi接続を切る、またはLANケーブルを抜く。
- スマートフォンなら「機内モード」に切り替える。
- モバイルルーターなどを使用している場合は、電源を切る。
②遠隔操作ソフトをアンインストールする
続いて、攻撃者が使用した遠隔操作ソフトを完全に削除しましょう。
- Windowsなら「コントロールパネル」→「プログラムのアンインストール」に進む。
- 一覧から「TeamViewer」「AnyDesk」など、見覚えのないソフトを探してアンインストール。
- Macでは「Finder」→「アプリケーション」フォルダ内から該当ソフトをゴミ箱へ。
③ウイルススキャンを実行する
遠隔操作ソフトだけでなく、マルウェアが潜んでいる可能性もあります。必ずセキュリティスキャンを実行してください。
- Windowsの場合、「Windowsセキュリティ」を開く。
- 「ウイルスと脅威の防止」→「スキャンのオプション」→「フルスキャン」を選択。
- Macの場合、「App Store」からセキュリティソフトをダウンロードしスキャンを実施。
④すべてのパスワードを変更する
遠隔操作を通じてIDやパスワードが漏洩している恐れがあります。
- ネットバンキング、Gmail、Yahoo!メールなどから優先的に変更。
- SNS(Twitter、Instagram、Facebook)も忘れずに対応。
- 可能であれば「2段階認証」を有効に設定。
⑤金融機関やクレジットカード会社に連絡
パスワードやカード情報を入力してしまった場合は、不正利用の可能性があるため、すぐに金融機関に連絡して確認を行いましょう。
- クレジットカード会社に連絡し、利用履歴を確認。
- オンラインバンキングの履歴をチェック。
- 不正が疑われる場合は、カードの利用停止や再発行、口座の一時凍結を依頼。
⑥警察、IPA、消費生活センターへの相談
サポート詐欺の被害は、明確なサイバー犯罪に該当します。放置せず、速やかに法的機関や公的窓口へ相談してください。
- 最寄りの警察署の「生活安全課」または「サイバー犯罪相談窓口」に連絡
- 警察相談専用ダイヤル「#9110」を利用
- 地域の消費生活センターへの相談も有効
- 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)への情報提供も推奨
また、証拠の保全や被害範囲の調査には専門的な対応が求められるケースもあります。
個人や社内だけで対応しようとすると、証拠となるデータが失われるリスクがあるため、専門のフォレンジック調査会社への相談も、並行して検討することをおすすめします。
⑦証拠をすべて保存する
将来的に損害賠償請求や刑事告訴を行う際、証拠の有無が非常に重要になります。早い段階で証拠を確保しておくことで、被害内容を客観的に立証することが可能です。
- 偽の警告画面や詐欺チャットのスクリーンショットを保存。
- 遠隔操作ソフトのインストール履歴やプログラム名を控える。
- 支払い明細、通話履歴、詐欺相手とのメッセージ履歴も保全。
⑧専門のフォレンジック調査会社へ相談
遠隔操作による被害範囲や漏えい情報を正確に把握するには、専門的な技術による「フォレンジック調査」が必要です。
フォレンジック調査(デジタルフォレンジック調査)とは、PCやスマホの内部ログを解析し、不正アクセスやマルウェア感染の有無を調べる技術です。警察の捜査でも活用される高度な手法で、個人情報漏えいの可能性や被害範囲の特定に役立ちます。
専門の調査会社では、以下のような内容を総合的に解析します。
- 不正アクセスがどの経路から行われたか(例:リモート操作ソフト、IPアドレスなど)
- どのファイル・データが外部へ送信された可能性があるか
- マルウェアやスパイウェアの感染履歴・痕跡の有無
- 氏名・住所・パスワード・クレジットカード情報など、個人情報漏えいのリスク判定
サポート詐欺のような遠隔操作被害では、操作ログや通信履歴、削除ファイルの復元などを通じて証拠となるデータを保全し、後に警察や関係機関へ提出するための準備にもつながります。
当社では、デジタルフォレンジックの技術を用いて、遠隔操作による二次被害リスクや情報漏えいの有無を調べるサービスをご用意しています。24時間365日ご相談を受付けており、専門アドバイザーによる相談から見積りまで無料でご案内していますので、自己判断では不安な場合はお気軽にご相談ください。
自力で対応できない場合はフォレンジック調査の専門業者に依頼する

ハッキングや不正アクセス、ウイルス感染、情報漏えいなどの問題が起きた際、自分だけでの対応が難しいと感じたら、迷わずフォレンジック調査の専門業者に相談しましょう。
どこから侵入され、どんな情報が漏れたのかを正しく把握することが重要です。特に、被害が大きい場合や情報が悪用された疑いがある場合は、専門家によるフォレンジック調査を実施することで、被害の拡大を未然に防ぐ有効な対策につながります。
信頼できる業者を選び、早めに動くことが、トラブルを最小限に抑えるポイントです。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
デジタルデータフォレンジックの強み
デジタルデータフォレンジックは、迅速な対応と確実な証拠収集で、お客様の安全と安心を支える専門業者です。デジタルデータフォレンジックの強みをご紹介します。
累計相談件数39,451件以上のご相談実績
官公庁・上場企業・大手保険会社・法律事務所・監査法人等から個人様まで幅広い支持をいただいており、累積39,451件以上(※1)のご相談実績があります。また、警察・捜査機関から累計395件以上(※2)のご相談実績があり、多数の感謝状をいただいています。
(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
国内最大規模の最新設備・技術
自社内に40名以上の専門エンジニアが在籍し、14年連続国内売上No.1のデータ復旧技術(※3)とフォレンジック技術でお客様の問題解決をサポートできます。多種多様な調査依頼にお応えするため、世界各国から最新鋭の調査・解析ツールや復旧設備を導入しています。
(※3)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
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デジタルデータフォレンジックでは、相談から初期診断・お見積りまで24時間365日体制で無料でご案内しています。今すぐ専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
まとめ
サポート詐欺による遠隔操作は、放置すると情報漏えいや金銭被害、さらなる不正利用に発展する恐れがあります。被害を最小限に抑えるためには、冷静に初期対応を行い、必要に応じて専門機関やフォレンジック調査会社への相談を検討することが重要です。
よくある質問
対応内容・期間などにより変動いたします。
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可能です。当社は特定の休業日はございません。緊急度の高い場合も迅速に対応できるように、365日年中無休で対応いたしますので、土日祝日でもご相談下さい。
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