近年、サイバー攻撃の手口は巧妙化し、企業や組織の規模に関係なく標的となるリスクが高まっています。ランサムウェア、標的型攻撃、内部不正など、外部・内部を問わず多様な「脅威」が存在します。
これらの脅威は、システム停止や情報漏えいなど適切な対応を行うための痕跡が消失する恐れがあるため、事前に対策を講じることが重要です。
本記事では、まず情報セキュリティの脅威の定義と基本的な考え方を紹介し、次に代表的な脅威、そして具体的な対策の考え方まで、順を追ってわかりやすく紹介します。
目次
情報セキュリティの脅威とは
「情報セキュリティの脅威」とは、情報やシステムに損害を与える可能性のある行為や現象を指します。必ずしも悪意ある攻撃だけではなく、人為的ミスや自然災害なども脅威に含まれます。
IPAなどが定める定義では、「脅威」とは「情報資産に損失を与える可能性のある要因」、そして「リスク」は「脅威が脆弱性を突いたときの被害の大きさや起こりやすさ」とされています。
情報セキュリティ脅威の種類と3つの要素
情報セキュリティの脅威は、発生の背景や性質によって大きく3つに分類されます。
意図的脅威
外部の攻撃者や内部不正を行う従業員などが、金銭や情報を目的に意図的に行う攻撃です。代表例には、マルウェア感染、ランサムウェア、情報持ち出しなどがあります。
偶発的脅威
悪意はないものの、操作ミスや設定不備、ソフトウェアの不具合などにより発生する脅威です。重要ファイルの誤削除、誤送信などもこれに含まれます。
環境的脅威
地震・台風・火災・停電など、自然災害や物理的環境の変化によって生じる脅威です。サーバールームの水漏れや落雷による機器破損などが該当します。
IPAが公表した情報セキュリティ10大脅威
IPA(情報処理推進機構)は毎年、「情報セキュリティ10大脅威」を公表しています。2025年版では、企業向けと個人向けに分類され、それぞれ挙げられた脅威が異なります。以下はIPAで公表した情報セキュリティ10大脅威のリストです。
情報セキュリティ10大脅威 2025 [組織]
| 順位 | 「組織」向け脅威 | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い(2016年以降) |
|---|---|---|---|
| 1 | ランサム攻撃による被害 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| 2 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 | 2019年 | 7年連続7回目 |
| 3 | システムの脆弱性を突いた攻撃 | 2016年 | 5年連続8回目 |
| 4 | 内部不正による情報漏えい等 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| 5 | 機密情報等を狙った標的型攻撃 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| 6 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 2021年 | 5年連続5回目 |
| 7 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃 | 2025年 | 初選出 |
| 8 | 分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃) | 2016年 | 5年ぶり6回目 |
| 9 | ビジネスメール詐欺 | 2018年 | 8年連続8回目 |
| 10 | 不注意による情報漏えい等 | 2016年 | 7年連続8回目 |
出典:IPA
情報セキュリティ10大脅威 2025 [個人]
| 「個人」向け脅威(五十音順) | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い(2016年以降) |
|---|---|---|
| インターネット上のサービスからの個人情報の窃取 | 2016年 | 6年連続9回目 |
| インターネット上のサービスへの不正ログイン | 2016年 | 10年連続10回目 |
| クレジットカード情報の不正利用 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| スマホ決済の不正利用 | 2020年 | 6年連続6回目 |
| 偽警告によるインターネット詐欺 | 2020年 | 6年連続6回目 |
| ネット上の誹謗・中傷・デマ | 2016年 | 10年連続10回目 |
| フィッシングによる個人情報等の窃取 | 2019年 | 7年連続7回目 |
| 不正アプリによるスマートフォン利用者への被害 | 2016年 | 10年連続10回目 |
| メールやSMS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求 | 2019年 | 7年連続7回目 |
| ワンクリック請求等の不当請求による金銭被害 | 2016年 | 3年連続5回目 |
出典:IPA
被害が拡大しているサイバー脅威の一例
サイバー脅威に直面すると、業務停止や重要データの消失、多額の金銭的損失や企業の信頼失墜などの被害を受ける可能性があります。
サイバー脅威の傾向を把握することは、脅威の理解だけでなく、企業・個人にとっての優先的な対策を考えることにもつながります。以下は被害が拡大している主なサイバー脅威の一例です。
ランサムウェア
ランサムウェアは、端末内のデータを暗号化し、復元と引き換えに金銭を要求するサイバー攻撃の一種です。近年では、ただ暗号化するだけでなく、データを窃取したうえで公開をちらつかせる「二重恐喝」型の手口が主流になっています。
「暗号化されたデータを復号したければ支払え」と要求するだけでなく、「支払わなければ盗んだデータを公開する」といった脅しが主流です。リークサイトに掲載する手口もあります。
暗号化されたファイルや身代金要求の表示が出ると、自分たちだけで原因や被害の全体像を把握するのは困難だと感じることがあります。操作や復元を先に進めてしまうと、重要なデータが上書きされる恐れがあり、感染経路や被害範囲の特定が難しくなる可能性があります。
ランサムウェアに感染し時のより詳しい被害・初動対応・事後対策については以下の記事で解説します。
当社では、ランサムウェア感染調査を通じて、侵入経路や権限昇格の痕跡、暗号化・窃取されたデータの範囲を明らかにし、必要に応じて第三者性を担保した報告書としてご提供可能です。初期診断は無料で、24時間365日体制で対応しています。官公庁・上場企業を含む47,431件以上(期間:2016年9月以降)の対応実績をもとに、最適な調査方針をご提案します。
内部不正による情報漏えい
内部の人間による不正行為、特に退職間際の社員や委託業者が、意図的に情報を社外へ持ち出す行為が深刻な問題となっています。外部からの攻撃と異なり、正規の権限を持っていた人物による行為のため、発覚が遅れることも多くあります。
- USBメモリによるファイルの不正コピー
- 私用クラウドへのアップロード
- 退職後のアカウントを使った不正ログイン
IPAの10大脅威でも「内部不正による情報漏えい等」は、組織向け脅威の上位に継続的にランクインしています。これは組織にとって構造的な課題であり、ログ監視や権限の見直しといった継続的な対策が求められます。
内部不正調査の詳細は以下の記事で紹介します。
テレワークを狙ったサイバー攻撃
テレワークの普及により、従業員が社外から社内システムへアクセスする環境が増加したことで、新たなセキュリティリスクが顕在化しています。特に、VPNやRDPの脆弱性、家庭内ネットワークの不備が攻撃の起点となりやすくなっています。
テレワークによる情報漏洩の原因と対処法については以下の記事で紹介します。
情報セキュリティの脅威を防ぐ基本対策
すべての脅威を完全に排除することは難しいですが、「被害内容の拡大を防ぎ、復旧や再発防止につなげる」ことは可能です。ここでは、技術・運用・人材の3つの視点から、基本的かつ有効な対策方法を紹介します。
技術面の対策
システムやネットワークの脆弱性を放置することは、外部からの攻撃手口に対して無防備であることを意味します。以下のような対策が基本です。
- OSやアプリに最新のセキュリティパッチを適用する
- ファイアウォール、EDR、WAFなど防御ツールを導入する
- アクセス権を最小限に設定し、重要な操作には多要素認証(MFA)を導入する
運用面の対策
技術的対策だけでは防ぎきれないリスクに備えるためには、日常の運用とルールの整備が不可欠です。
- 退職者や異動者のアカウントを即時に見直す
- バックアップを定期取得し、オフライン保管も行う
- インシデント対応計画(CSIRT体制・BCP)を整備しておく
人・教育面の対策
最終的には「人」が最大の防御にもなり得ます。操作ミスや判断ミスを減らすための教育は、継続的な取り組みが重要です。
- 全社員向けのセキュリティ教育・eラーニングを実施する
- 標的型メール訓練など、実践的な模擬演習を行う
- ヒューマンエラー対策として、誤送信防止や通報制度を周知する
セキュリティ専門業者に相談する
上記のような基本対策を講じても、すべてのリスクを自力で検知・対応するのは困難です。とくに、侵入や漏えいの痕跡は日数が経つほど確認が難しくなり、調査や証拠保全が遅れると原因究明のために必要な証拠が消失する恐れがあります。
セキュリティの専門業者であれば、ログの解析やアクセス履歴、端末内の痕跡を収集し、どのような脅威に晒されたかを事実に基づいて明らかにすることが可能です。また、報告書の形で関係者や外部機関への説明資料を作成することもできます。
セキュリティ対策の優先順位と組織全体での取り組み
限られた時間や予算のなかでセキュリティ対策を進めるには、優先順位を明確にすることが重要です。まずはMFA(多要素認証)の導入、パッチ管理の徹底、定期的なバックアップ取得といった基本対策を確実に実施することをおすすめします。そのうえで、インシデント対応計画(IRP)の策定やCSIRTの構築、サプライチェーン対策の整備を進めることも可能です。
あわせて、技術的な対策だけでなく、社内にセキュリティ意識を根付かせることも欠かせません。座学だけでなく模擬演習形式の研修を実施し、ポスターやクイズなど日常的な啓発活動を行うことが効果的です。IPAの「SECURITY ACTION」制度の活用や、経営層による継続的な発信も、組織としての姿勢を明確にするうえで有効です。
こうした優先順位に基づく対策と、文化としての意識向上を並行して進めることで、社員一人ひとりがリスクを自分ごととして捉えられるようになり、実効性のあるセキュリティ体制へとつながります。
サイバー脅威の疑いがある場合はフォレンジック調査会社へ相談を
サイバー攻撃、不正アクセス、マルウェア感染のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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(※1)集計期間:2016年9月1日~
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