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メルセデス・ベンツ日本、設定不備で約1.5万件の顧客情報漏洩の可能性​

メルセデス・ベンツ日本、設定不備で約1.5万件の顧客情報漏洩の可能性

2025年8月1日、メルセデス・ベンツ日本は、自社が運営する自動車保証管理システムの設定不備により、保管されていた顧客情報の一部が外部から閲覧可能な状態になっていたと発表しました。

対象は車両保証プログラム加入者に関する情報で、約1万5200件の個人データが影響を受けた可能性があります。閲覧可能な状態はおよそ7日間続いていたとされています。

出典:日本経済新聞

本記事では、公式発表や報道内容をもとに、発生原因や背景、企業の対応、さらに情報漏えい時に求められる専門的な調査の重要性について解説します。

自動車保証管理システムの閲覧制限設定不備

メルセデス・ベンツ日本は、車両保証プログラム加入者の情報管理システムから、約1万5200件の顧客情報が漏えいした可能性があると発表しました。データの一部が約7日間、外部から閲覧可能な状態になっていたことが判明しました。

情報漏えいが確認されるまでの経緯

同社によると、2025年7月19日から25日までの間、社内で利用していた管理システムの一部データが外部から閲覧可能な状態になっていたことが7月25日に確認され、即時に修正対応が行われました。

その後の調査で、7月29日に一部の個人データについて外部流出の可能性が否定できないことが判明しました。現時点で不正利用は確認されていませんが、同社は対象者への連絡や再発防止策の強化を進めました。

流出の可能性がある個人情報と対象顧客

今回の事案において流出の可能性があるとされた個人情報は、以下の項目です。

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 車台番号
  • 自動車登録番号など

これらの情報は、保証プログラムの解約手続きに際して提出された情報に該当しました。

対象となったのは、保証プログラムの解約届を提出したことのある約15,200人(2025年7月31日時点)でした。なお、クレジットカード情報や銀行口座情報など、財産的被害に直結するような情報は含まれていなかったと説明されています。

顧客への対応と再発防止策

メルセデス・ベンツ日本は、顧客情報が外部から閲覧可能となっていた問題を受け、該当者に対して登録されたメールアドレス宛の電子メール、または住所宛の書面で順次個別に連絡すると発表しました。個別連絡が困難な対象者については、公表をもって通知に代えるとしています。

同社は、情報セキュリティ運用の改善や社内体制の強化を進め、高い安全性の確保と再発防止に取り組む方針を示しました。

出典:Mercedes-Benz

個人情報漏えいによる企業へのリスク

今回のメルセデス・ベンツ日本社のように、外部からの不正アクセスではなく、社内システムの設定不備によって情報が外部から閲覧可能になるケースでも、企業にとっては深刻な脅威となります。

一度情報が外部に露出すれば、その内容が第三者に保存・拡散される可能性があり、事態は元に戻せません。たとえ不正利用が確認されていなくても、「いつ」「誰に」利用されるか分からない状態が続くことになります。

さらに、情報漏えいは顧客や取引先の信頼を大きく損ない、損害賠償請求や法的制裁、社会的信用の失墜といった二次被害を招くおそれがあります。設定の不備は内部の管理体制や運用ルールの甘さに起因することが多く、放置すれば同様の事態が繰り返される危険も高まります。

影響範囲や漏えいした項目を正確に把握しなければ、適切な対応策や再発防止策を講じることはできません。そのため、情報漏えいが確認された場合には、速やかに外部の調査専門業者による分析が不可欠です。

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個人情報漏洩した場合の報告義務

2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。

情報漏えいが発生した際に、企業は個人情報保護委員会へ2回報告する必要があります。それぞれ報告内容と報告期限が定められているため、注意しましょう。

  1. 漏えい等の事実が発覚したら、3〜5日以内に個人情報保護委員会へ通報
  2. 発覚から30日以内に被害を調査して個人情報保護委員会へ報告

データ漏えいが発生した場合は、外部の調査専門業者に調査を依頼することが重要です。

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特にフォレンジック調査会社は、デジタル機器のデータ保全やアクセス調査に関する専門技術を保有しています。この技術により漏えいの原因や影響範囲を的確に把握し、再発防止策を十分に講じることができます。また、調査報告書も作成してもらえるため、個人情報保護委員会へそのまま報告することも可能です。

フォレンジック調査とは

フォレンジック調査とは、サイバー攻撃、情報漏えい、データ改ざんなどのセキュリティ関連インシデントが発生した際に、その原因を特定し、被害の範囲や影響を明らかにするための詳細な調査手法です。

もともとフォレンジック調査は、犯罪や事件が起きた時、その現場から犯行の手掛かりとなる「鑑識」を指していました。特にデジタルデータからの証拠収集・分析は「デジタル鑑識」あるいは「デジタル・フォレンジック」とも呼ばれます。

インシデントが発生した場合、内容によっては特定の機関への報告義務が生じることがあります。自社のみで調査を行った場合、報告書の内容が認められないケースもあり、第三者機関による調査が一般的です。

私たちデジタルデータフォレンジック(DDF)は、官公庁、上場企業、捜査機関など、多様な組織のインシデント対応を行ってきた実績があります。

相談や見積もりは無料で、24時間365日体制でご依頼を受け付けています。早期対応が被害拡大防止の鍵となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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DDFは累計ご相談件数3.9万件以上のフォレンジック調査サービスです

累計ご相談件数39,451件以上の豊富な実績

まとめ

今回は、メルセデス・ベンツ日本の車両保証プログラム加入者に関する情報管理システムから、約1万5200件の顧客情報が外部から閲覧可能な状態となり、漏洩した可能性がある事案について解説しました。

個人情報漏えいは企業の信頼や事業継続に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。発生時には迅速かつ正確な原因調査と再発防止策が不可欠です。

個人情報の漏洩や取り扱いに関する詳しい解説は、以下の関連記事をご参照ください。

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この記事を書いた人

デジタルデータフォレンジックエンジニア

デジタルデータフォレンジック
エンジニア

累計ご相談件数39,451件以上のフォレンジックサービス「デジタルデータフォレンジック」にて、サイバー攻撃や社内不正行為などインシデント調査・解析作業を行う専門チーム。その技術力は各方面でも高く評価されており、在京キー局による取材実績や、警察表彰実績も多数。

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