インターネットを安全に使うためには、さまざまな脅威に注意する必要がありますが、特に警戒すべきはXSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃です。
今回は、XSS攻撃の被害や仕組み、対策方法について解説します。
目次
XSS(クロスサイトスクリプティング)とは
XSS(クロスサイトスクリプティング)とは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用して、悪意のあるスクリプトをWebブラウザに実行させる攻撃です。
悪意あるスクリプトは、ウェブページを閲覧する際に実行され、閲覧したユーザーのブラウザで情報漏えい、ウェブページの改ざん、マルウェア感染などさまざまな被害が発生する可能性があります。これにより、個人情報が漏えいする等の深刻なリスクが生じる可能性があります。被害を最小限に防ぐためにも、攻撃の経緯や被害全容を把握することが重要です。
XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の被害
XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の被害は以下のとおりです。
- 不正ログイン
- Webサイトの改ざん
- マルウェアの感染
- 個人情報の漏えい
不正ログイン
XSS攻撃を受けると、攻撃者がユーザーの「セッション情報」(Webサイトのユーザーがサイトにアクセスしたときからログアウトまたはタイムアウトするまでの間にサーバーに保存される情報)を盗み、アカウントが不正利用されるリスクがあります。
例えば、ログイン中のユーザーが悪意のあるスクリプトのページを表示すると、セッションIDが攻撃者に送信される可能性があります。これを利用して攻撃者はユーザーを偽装し、メッセージを閲覧したり、設定を変更したりすることができます。
Webサイトの改ざん
攻撃者はXSSを利用して、ウェブサイトの見た目や内容を変更することが可能です。たとえば、攻撃者がニュースサイトに不正なスクリプトを埋め込むことで、記事の内容を改ざんしたり、偽のニュースを表示させたりすることができます。これにより、Webサイトの訪問者は誤った情報を信じてしまう危険性があります。
マルウェアの感染
XSS攻撃を通じて、マルウェアやウイルスが仕込まれることもあります。例えば、攻撃者がウェブサイトに不正なスクリプトを埋め込まれると、訪問者のコンピュータに自動的にマルウェアがダウンロードされるケースがあります。マルウェアに感染すると、コンピュータの制御を奪われたり、個人情報が盗まれたりする恐れがあります。
個人情報の漏えい
企業におけるXSS攻撃の最大のリスクの一つは、顧客や従業員の個人情報の漏えいです。例えば、企業の顧客サポートフォーラムに悪意のあるスクリプトが埋め込まれると、顧客が入力した情報が攻撃者に送信されることがあります。
法律では、企業が顧客情報を漏らした際には、「情報の種類」「侵入経路」「漏洩件数」を調査し、保護委員会に報告することが求められます。これを怠ると、信頼喪失、罰金、ブランドイメージ損傷など、経済的・評判的損失が発生します。特にプライバシーに関する法規制が厳格化している現代では、重大な問題となり得ます。
個人情報の漏えいが発覚した際は、フォレンジック調査が役立ちます。フォレンジック調査とは、コンピューターやネットワーク、その他デジタル機器内のデータを科学的に調査・分析し、サイバー攻撃による被害の全容を明らかにする手法です。これを用いることで、SQLインジェクション攻撃による被害を正確に把握することができます。
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企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています
2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました
2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。
ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。
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XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の仕組み
Webアプリケーションは、ユーザーからの入力を受け取り、それを処理してレスポンス(応答)を返します。このプロセスの中で、不正なスクリプトを無害化する処理が行われない場合、XSS攻撃が起こる可能性が高まります。
具体的には、次の処理が行われていないと、XSS攻撃のリスクが高まります。
- ユーザーからの入力をHTMLエスケープする処理
- ユーザーからの入力をホワイトリスト化する処理
XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の流れは以下のとおりです。
- 不正なスクリプトの挿入
- スクリプトの実行
- 情報の窃取・Webページの改ざん
たとえば攻撃者は、ユーザーからの入力を受け付けるWebアプリケーションの入力フォーム、コメント欄、URLパラメータなどに悪意のあるスクリプトを仕掛けます。主に掲示板やメールなどでユーザーがこのスクリプトを意図せずに送信すると、それをWebアプリケーションが処理し、ユーザーのブラウザ上で不正なスクリプトが実行されます。これにより、攻撃者はユーザーの情報を盗んだり、他の悪意ある行動を起こすことができます。
XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の対策
XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の対策は次の通りです。
- サニタイズ(無害化)
- エスケープ処理
- バリデーションの強化
サニタイズ(無害化)
ウェブサイトやアプリケーションでユーザーからの入力を受け取るとき、サニタイズはとても大切です。なぜなら、サニタイズによって、入力されたデータから危険なスクリプトやコードを取り除くことができるからです。例えば、コメント欄にユーザーが「<script>悪いコード</script>」と入力した場合、サニタイズをすることでこのスクリプト部分を安全な形に変えられます。
エスケープ処理
エスケープ処理もXSS攻撃対策において最適な手段の一つです。この方法は、ユーザーからの入力に含まれる特別な文字を安全な形式に変えることで、その入力が意図しない方法でコードとして解釈されるのを防ぎます。
バリデーションの強化
バリデーションを強化することも、XSS攻撃から身を守るためには大事です。バリデーションとは、ユーザーからの入力が適切かどうかをチェックすることです。例えば、メールアドレスの入力欄があるとき、そこに本当にメールアドレスの形式に合ったデータが入力されているかを確認します。これによって、不正なデータや意図しない形式のデータがシステムに入ることを防げます。
XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃の疑いがある場合は専門業者に相談する
マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。
このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
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インシデント時は、第三者機関に調査を依頼し、情報収集を行うことを検討しましょう。
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