社内不正・労働問題

経理担当者による横領の手口と企業が取るべき対応策

企業の不適切会計や不祥事はしばしばニュースで取り上げられますが、特に経理担当者による横領は深刻な問題です。

社内不正が発覚すると、金銭的な損失だけでなく、最悪の場合、企業の信頼失墜や事業の継続性に深刻な影響を及ぼすことがあります。社内不正の問題を防ぐためには、早期の発見と適切な対応が不可欠です。もし必要であれば、専門のフォレンジック調査会社に相談することも有効な手段となります。

本記事では、経理担当者による横領の手口と企業の対応方法を解説します。

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経理担当者の主な横領の手口

経理担当者の主な横領の手口は下記のとおりです。

現金の抜き取り

現金の抜き取りは、経理担当者や店舗スタッフが小口現金やレジ現金を不正に持ち出す行為です。現金管理が不十分な場合に発生しやすく、少額でも繰り返されることで大きな金額になることがあります。

特に、帳簿と照合されない小口現金や売上金を少なく申告するレジ現金では、不正が発覚しにくく、定期的な監査が重要です。

預金の不正引き出し

預金の不正引き出しは、経理担当者が会社の銀行口座から不正に資金を引き出し、自己名義の口座に送金する行為です。オンラインバンキングやデジタル決済の普及により、不正が発覚しにくくなっています。

主な手法として、経理担当者がオンラインバンキングを利用して自己名義の口座に資金を送金したり、振込先を不正に変更して資金を引き出す方法があります。送金先や金額を隠蔽することにより、不正が初めは発覚しにくくなることがあります。

架空経費の計上

架空経費の計上は、経理担当者が実際には存在しない費用を経費として報告し、不正に資金を流用する手法です。虚偽の領収書や請求書を作成して、実際に支出していない経費を計上し、差額を着服します。

内部監査が不十分な場合、発覚しにくくなるため、経費精算時の確認が重要です。

売上金の着服

売上金の着服は、経理担当者が売上金を不正に着服する手口です。最初は数百円から数千円程度の少額から着服を始め、徐々にその額を増やしていくことがあります。

着服した金額を帳尻合わせするために、会計帳簿や取引履歴を改ざんすることで不正行為を隠蔽します。売上金の記録が不十分だったり、帳簿管理が甘かったりすると発覚しにくくなります。

請求書の偽造

請求書の偽造は、送金や出金を決定するための書類を不正に偽造して行われる横領行為です。

具体的には、経理担当者が架空の請求書を作成し、実際には存在しない契約やサービスに対して支払いを行い、その金額を自分のものにすることがあります。

また、他の社員から提出された請求書に金額を上乗せして差額を着服する手法や、伝票や領収書を捏造して不正な支払いを正当なものとして見せかけることもあります。

経費の不正請求

経費の不正請求は、経理担当者が会社の資金を不正に流用する行為で、個人的な支出を業務経費として請求する手法です。主な手口としては、架空の領収書を作成して経費を請求したり、実際に発生していない費用を報告して差額を着服することがあります。

また、私的な支出を業務経費として請求し、不正に資金を得ることもあります。これを防ぐためには、経費申請の厳格な監査と確認体制が必要です。

在庫の不正操作

在庫の不正操作は、経理担当者や在庫管理者が商品や原材料を不正に持ち出したり、在庫数を改ざんする手口です。

不正操作により帳簿上の在庫と実際の在庫に不一致が生じ、長期間にわたり少しずつ行われることで発覚が遅れます。主な手法としては、在庫数の不正操作や商品を持ち出すことが挙げられます。

経理担当者の主な横領の手口について、もし「覚えのない出金履歴がある」「在庫数量に合わない」など、違和感を感じた場合、早急に専門の調査会社に相談することが非常に重要です。

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経理担当者の横領を防止のための対策

経理担当者による横領事件が発生する背景には、「一人にお金の管理を任せていた」「社長や役員が帳簿を確認しない」などが多くあります。

経理担当者の横領を防ぐためには、以下の対策を実施することが重要です。

チェック体制の強化

複数名による業務分担と定期的な内部チェックを行うことで、横領行為の早期発見が可能になります。業務の担当者を交代させることも不正行為を発見する有効な手段です。

また、経営陣や監査役が定期的に帳簿や取引履歴を確認することで、透明性の高い管理体制が確立され、横領のリスクを大幅に減らすことができます。チェック体制を強化することで、経理業務における不正を未然に防ぐことが可能です。

現金管理の厳格化

小口現金やレジ現金の管理は企業の財務管理で重要です。現金の出納を正確に記録し、定期的に残高を確認することで不正利用や誤差を早期に発見できます。現金管理を厳格化することで、不正やミスのリスクを最小限に抑えることが可能です。

また、現金の取り扱いには複数のスタッフが関与し、一人に全てを任せないことが大切です。複数名で管理し、監視の目を配ることで、不正行為のリスクを減らします。

定期的に監査

内部監査や外部監査を定期的に実施することで、不正行為を早期に発見できます。監査が不十分だと横領や不正取引が見逃されるリスクが高まります。また、経営陣や役員が定期的に帳簿や現金、口座の出入金を確認することで、企業の財務状況の透明性が保たれ、横領リスクを大幅に軽減できます。

デジタルツールの活用

オンラインバンキングや会計ソフトを使用することで、取引履歴をリアルタイムで確認し、不正行為の兆候を早期に発見できます。さらに、最新の経理ソフトウェアや経費精算システムを導入することで、チェック機能の自動化や経費精算プロセスの透明化が進み、不正のリスクを大幅に減少させることができます。

システムの導入により、業務の効率化とともに、より強固な監視体制が構築され、企業の財務の健全性が保たれます。

従業員教育とコンプライアンス

従業員教育を定期的に実施し、企業のルールや倫理規範を徹底することは、横領防止において非常に重要です。特に経理担当者をはじめとする全従業員に対して、コンプライアンス意識を高める教育を行い、正しい行動を促すことが必要です。

また、企業文化として倫理的な行動を推奨し、不正行為を許さない環境を作ることが効果的です。従業員が不正行為に対して敏感になり、問題を早期に報告できる体制を整えることで、横領リスクを減少させることができます。

権限管理の徹底

経理業務では、資金移動や支払いに関する権限を明確に分け、一人に全ての決定権を集中させないことが重要です。定期的に権限を見直し、適切な分配を行うことで、業務の透明性と監視体制が強化され、不正行為を防止できます。

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経理担当者が横領した際に企業がやるべきこと

経理担当者が横領した際は下記のように対処しましょう。

経理担当者が横領した際に企業がやるべきこと

証拠の収集

横領が発覚した場合、最初に行うべきは証拠の収集です。金銭の流れや取引履歴、監視カメラの映像、領収書、事情聴取の録音データなど、客観的な証拠を集めることが重要です。

証拠を裁判所に提出する際には、改ざんのない元データが必要です。スクリーンショットやコピーだけでは証拠として認められないことがあるため、証拠収集は慎重に行う必要があります。収集した証拠をもとに、横領金額や手口、関係人物などを確認できます。しかし、関係者が証拠を隠蔽するリスクがあるため、第三者の調査機関やフォレンジック調査会社と連携することをお勧めします。

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本人から事情聴取

十分な証拠が揃った段階で、横領を疑われる経理担当者から事情聴取を行います。聴取は公平でプライバシーを尊重した場所で行い、不正行為について説明を求めます。聴取内容はメモや録音で記録し、後で事実と異なる主張を防ぐため証拠として保管します。

また、高圧的な態度で接したり、自白を強要することは避けるべきです。強要が発覚すると、企業が名誉棄損やパワハラで訴えられるリスクが生じるため、慎重に対応することが求められます。

法的対応

懲戒処分とは、会社内で当該従業員が規則や規定に違反した場合に、違反行為に対して行われる処分のことです。具体的には、減給や一定期間の勤務停止、退職勧奨や解雇などが行われます。

ただし、懲戒処分をする際は、各種法令や就業規則に照らし合わせ、正当な手続きを踏む必要があります。

賠償金の請求

確実な証拠が集まった段階で、賠償金の請求を行うことが重要です。弁護士に法的アドバイスを求め、横領金額を適切に算定した後、本人との合意内容を文書で残して法的効力を持たせることが必要です。

万が一、横領した金額を使い込んで本人に支払い能力がない場合、民事訴訟や分割払いを検討することができます。また、身元保証書が有効であれば、身元保証人に対して請求を行うことも可能です。

懲戒処分

懲戒処分は、従業員が会社の規則や規定に違反した場合に科される処分です。具体的な処分には減給、勤務停止、退職勧奨、解雇などがあります。処分を行う際には、就業規則や法令に基づき、適正な手続きを踏むことが必要です。

特に横領などの重大な違反行為に対しては、懲戒解雇が適用されます。懲戒解雇の場合、労働基準監督署から解雇予告除外認定を受けると、解雇予告なしで即時解雇が可能となり、退職金の支払いもありません。

懲戒解雇には、以下の条件が求められます。

労契法15条(懲戒)、16条(解雇)
  1. 「使用者が労働者を懲戒することができる場合」であること、つまり、使用者の懲戒権の前提として具体的な懲戒事由と懲戒罰を定めた就業規則規定が必要とされる
  2. 懲戒理由とされた労働者の行為が、懲戒解雇事由に該当する「客観的に合理的な理由」の存在が問われる
  3. 当該行為を理由として懲戒権が発生したとしても、その懲戒権の行使が懲戒処分のうち最も重い懲戒解雇とすることが「社会通念上相当」でない場合は無効とされ、罪と罰の相当性、従業員間の平等取り扱い原則、就業規則上の手続き遵守と労働者の弁明の機会の保障などの適正手続原則の観点から相当性が判定されることとなる。 

引用:厚生労働省

解雇事由が不適切だと解雇が無効となる可能性があるため、証拠を確実に収集し、適切な手続きを行うことが重要です。

刑事告訴

横領罪には「単純横領罪」「遺失物横領罪」「業務上横領罪」の3種類があります。

横領罪
  • 単純横領罪
    他人の物を自己の占有で横領した場合や、公務所から保管を命ぜられた物を横領した場合(刑法252条)
  • 遺失物横領罪
    他人の物を遺失物として横領した場合(刑法254条)
  • 業務上横領罪
    業務上預かった他人の物を横領した場合(刑法253条)

経理担当者による会社の金品の横領は、上記の中でも最も重い「業務上横領罪」に該当します。

業務上横領罪になったの場合、業務で金品を預かる立場にある者がそれらを着服・売却した場合、「10年以下の懲役」が科されます。また、公訴時効は7年であり、業務上横領が発生してから7年以内であれば、退職した従業員に対しても刑事告訴が可能です。

刑事告訴は横領した従業員を追及する最終的な手段として用いられますが、警察に告訴状を提出する際には、証拠を提供する必要があります。証拠を収集する際は、裁判でも証拠能力が認められる形で調査できる専門の調査業者に相談することが重要です。

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社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。

特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。

>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説

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この記事を書いた人

デジタルデータフォレンジックエンジニア

デジタルデータフォレンジック
エンジニア

累計ご相談件数39,451件以上のフォレンジックサービス「デジタルデータフォレンジック」にて、サイバー攻撃や社内不正行為などインシデント調査・解析作業を行う専門チーム。その技術力は各方面でも高く評価されており、在京キー局による取材実績や、警察表彰実績も多数。

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