社内で給料の横領が発覚すると、対応を誤れば法的責任や企業の信用リスクに直結します。証拠が消失する恐れや、誤った懲戒処分による訴訟リスクも伴うため、初動対応と制度理解が欠かせません。本記事では、不正の定義や法的手続き、損害賠償請求などを解説し、実務的な判断の助けとなる情報を提供します。
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目次
横領とは?
横領とは、会社から預かった金銭や物品などの財産を、正当な権限なく自分のものにする行為です。法律上は「刑法252条(業務上横領罪)」が適用され、10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
会社内では、給与支給・経理・人事などの権限を持つ立場の社員が、その権限を悪用して給料を不正に受け取った場合も「横領」に該当します。たとえば、自分に残業手当を不正計上したり、架空の社員に給与を支払って着服するケースが該当します。
横領が発覚した場合の会社の対応
給料の横領が発覚した場合、企業は以下の3つの対応が検討されます。
1. 懲戒処分
就業規則に横領行為が「懲戒解雇」の対象である旨を明示していれば、退職金の一部不支給や即時解雇が可能です。ただし、本人への事前通知や弁明の機会を確保する必要があります。
懲戒解雇が適法であるには、「横領行為が重大かつ明白であること」「手続が公平であること」「処分の重さが妥当であること」等が要件として判例上重視されます。処分が重すぎたり、弁明機会を与えなかったりすると、不当解雇とされて賠償責任(未払い賃金、解雇無効の扱いなど)が生じ得ます。
2. 刑事告訴
被害額や悪質性が高い場合、刑事事件として警察に告訴することが可能です。告訴には証拠が必要となるため、メールや振込記録などの保全が重要です。
3. 損害賠償請求
会社は横領により生じた損害額を、民事訴訟などで回収することができます。判決や和解調書などの「債務名義」を得れば、給与の差押えなども可能になります。
給料・退職金・減給などの給与処理と労基法上の制約
横領発覚時の給料・退職金などの扱いについては、労働基準法による制約があります。
給料は必ず支払う必要がある
たとえ懲戒解雇となった場合でも、解雇日までの勤務実績に応じた賃金(未払い分)は支払う義務があります。請求があれば、退職日から7日以内の支払いが義務づけられています(労基法23条)。
損害額を給料から一方的に差し引くことは原則NG
原則として、賃金(給料)から一方的に損害額を差し引く(相殺・天引き)ことは、労働基準法第24条の賃金全額払いの原則に反するため違法とされるのが通説的見解です。
ただし、従業員が自由な意思に基づく明示的な同意をした場合には、相殺が認められ得る可能性があります(ただしその同意の有効性は慎重に判断されます)。
減給処分にも制限がある
減給制裁は、就業規則に懲戒の定めがなければ認められず、さらにその額には労働基準法第91条の制限(1回事案では平均賃金1日分の半額以内、1か月支払期における総額は賃金総額の10分の1以内)があります。
退職金の一部不支給は可能
退職金規程や契約内容において、懲戒事由があれば減額・不支給とする旨の定めがあれば、一部不支給が認められる場合もあります。ただし、全額不支給は過度な裁量権として争われやすいため、慎重に判断するべきです。
フォレンジック調査会社に相談すべきタイミング
横領の疑いがある場合、懲戒解雇や刑事告訴に必要な証拠は、給与システムの操作ログやメール履歴、振込指示のデータに残っている場合があります。これらのデータは、初期化や上書き、削除によって証拠が消失する恐れがあります。
たとえば以下のような兆候が見られた場合、不正の可能性が疑われます。
- 退職間際や直後に不審な送金が発生している
- 振込先口座が急に変更されている
- 経理システムのログイン記録に不自然な時間帯の操作がある
こうした状況では、PCの操作履歴やクラウド上のログデータをフォレンジック調査で回収することで、誰が何をしたかを客観的に明らかにできます。
フォレンジック調査(デジタル・フォレンジック調査)とは、PCやサーバー、クラウドシステムなどの電子機器に残る操作記録やデータの痕跡を科学的に解析し、証拠として保存・分析する手法です。
具体的には以下のようなデータを収集・解析します。
- パソコンやサーバーの操作履歴、ログイン情報、削除ファイルの復元
- メール送受信履歴やファイルの改ざん状況
- クラウドストレージ上のアクセスログ
- USBメモリなど外部ストレージの接続履歴
- 調査機器のクローン取得・保全
- ハッシュ値を用いたデータ同一性の確認
横領などの社内不正に関しては、主観的な証言だけでは懲戒処分や法的手続きを正当化するには訴訟リスクを生む恐れもあるため不十分です。
また、デジタル証拠が後から消されてしまうと、法的措置が困難になることもあります。
そのため、証拠の信頼性を確保し、訴訟・懲戒・告訴の場面で有効に活用するためにも、フォレンジック調査を専門業者に依頼することが検討されます。
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横領調査ならフォレンジック調査会社に相談

社内不正・横領・情報持ち出し・職務怠慢のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
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損害賠償請求の進め方
被害額の回収にあたっては、通常、民事手続きを通じて対応が図られます。実際の法的措置を講じる際には、弁護士などの専門家に相談することが望ましいですが、一般的な流れは以下のようなものです。
1. 任意の話し合いによる解決
まずは、当事者間で返済についての話し合いを行い、合意に至る場合もあります。この際には、返済計画や示談書の作成を検討することがありますが、契約文書の作成・精査については、弁護士への相談を通じて適切に対応することが重要です。
2. 民事裁判を通じた請求
話し合いによる解決が難しい場合には、訴訟の提起が検討されることがあります。裁判所による判決を得ることで、損害額が法的に確定し、給与や預金の差押えといった手続きが可能になる場合もあります。こうした手続きは、多くの場合弁護士を通じて進められることが多いです。
3. 公正証書の作成(示談時)
当事者間で返済の合意に達した場合でも、将来のトラブルに備えて、「強制執行認諾文言」を作成することで、強制執行が可能となるケースがあります。公正証書の作成については、公証人役場または弁護士に相談しながら進めると確実です。
ただし、相手方に資力がなければ、たとえ判決や合意書があっても、実際の回収は困難を伴います。また、訴訟が長期化したり、追加費用が発生する可能性もあるため、コスト・リスクの見極めが必要です。
損害賠償に関する手続きや戦略の選定は、法的リスクを避けるためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが望まれます。
よくある質問
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