情報漏洩

情報漏洩における損害賠償と従業員の責任について

情報漏洩は企業にとって深刻なリスクであり、企業や社員に対して法的な責任や損害賠償の義務が生じる可能性があります。本記事では、情報漏洩が発生した場合に企業や従業員が負うべき責任や損害賠償の内容について、具体的に解説します。

企業の責任

企業は情報漏洩が発生した場合、以下の責任を負う可能性があります。情報の取扱において適切な対策を講じなかった場合、法的責任が問われることになります。

民事上の責任

企業は、情報漏洩に対して以下のような民事上の責任を負う可能性があります。

債務不履行責任

情報の取り扱いに関する契約が存在していた場合、その契約に違反する形で情報が漏洩した場合には債務不履行の責任を負います。

不法行為責任

他人の権利や法的に保護される利益を侵害した場合、企業は不法行為として責任を負うことがあります。この場合、顧客や関係者に対して損害賠償を行う必要があります。

使用者責任

情報漏洩が社員の過失によるものである場合、企業はその社員を使用する者として責任を問われることがあります。

出典:独立行政法人国民生活センター

刑事上の責任

情報漏洩が悪意ある行為や重大な過失によるものであった場合、企業に対して刑事上の責任が問われることがあります。

個人情報保護法に基づく責任

個人情報保護委員会からの指導や命令に従わなかった場合、1億円以下の罰金が科される可能性があります。企業としては、社内の情報管理体制を強化し、法令を遵守することが求められます。

出典:個人情報保護委員会

不正競争防止法に基づく責任

不正競争防止法に基づき、企業の営業秘密が漏洩した場合、懲役や罰金刑が科されることがあります。特に、営業秘密を不正に取得または使用した場合には、重い刑事罰が課される可能性があります。

出典:経済産業省

行政上の責任

個人情報保護委員会は、情報漏洩が発生した場合に以下のような行政対応を行うことができます。

  • 報告の要求: 情報漏洩の発生状況についての報告を要求されます。
  • 立ち入り検査: 委員会は企業の内部に立ち入り、情報管理の実態を調査することがあります。
  • 指導・助言: 再発防止のために必要な指導や助言が行われます。
  • 勧告・命令: 必要に応じて企業に対して情報管理の改善を命令されることがあります。これに従わなかった場合、罰則の対象となります。

従業員の責任

情報漏洩が社員の過失によって発生した場合、その社員に対しても責任が問われることがあります。

「従業員の責任」の内容

懲戒処分

企業の情報管理ポリシーに違反し、重大な情報漏洩を引き起こした社員は、懲戒処分の対象となることがあります。具体的には、減給、降格、解雇などの処分が科される可能性があります。特に守秘義務に違反した場合、厳しい処分が検討されることがあります。

損害賠償責任

企業は、情報漏洩の原因を作った社員に対して損害賠償を請求することができます。ただし、一般的には従業員個人が企業の損害を全て賠償するのは困難であり、そのため一部の責任を負わせる形になることが多いです。

刑事責任

個人情報保護法に基づき、従業員が重大な過失を犯した場合には刑事責任が問われることがあります。具体的には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。これにより、社員自身も情報漏洩に対するリスクを認識し、慎重な対応が求められます。

出典:個人情報保護委員会

損害賠償額の事例

情報漏洩における損害賠償額は、漏洩した情報の内容や被害の影響度に応じて異なります。以下に実際の事例を紹介します。

1. Yahoo!BBの事例

Yahoo!BBでは、情報漏洩により顧客1名につき5,500円の損害賠償が行われました。この事例では、大規模な顧客情報の漏洩が発生し、顧客に対して精神的苦痛を与えたとして賠償が決定されました。

出典:ソフトバンク/日経クロステック

2. TBCの事例

TBCでは、原告13名に対して賠償金が支払われました。1名に3万5,000円、1名に2万2,000円と、損害の内容によって賠償額が異なりました。このケースでは、個人情報の漏洩がプライバシーの侵害として認定され、賠償が行われました。

出典:日経クロステック

3. ベネッセコーポレーションの事例

ベネッセコーポレーションでは、情報漏洩の被害者に対して500円相当の金券が提供され、その後の訴訟によって1人当たり3,300円、合計約1,300万円の支払いが確定しました。この事例は、多数の顧客情報が漏洩し、社会的に大きな影響を与えたケースです。

出典:ベネッセ/日本経済新聞

情報漏洩を防ぐための対策と予防措置

情報漏洩を防止するためには、企業および社員が協力して適切な対策を講じることが重要です。以下に情報漏洩を防ぐための具体的な対策を紹介します。

情報セキュリティポリシーの策定

企業は、情報管理に関する基本的なルールや方針を定めた情報セキュリティポリシーを策定する必要があります。ポリシーには、情報の取扱基準、漏洩防止策、違反時の対応などを明確に記載し、全社員が理解し遵守することが求められます。

社員教育とトレーニング

情報漏洩を防ぐためには、社員全員が情報セキュリティの重要性を理解し、適切な対応を取ることが重要です。定期的なトレーニングを実施し、情報セキュリティに関する知識や対策を社員に習得させることで、人的ミスによる漏洩リスクを減らすことができます。

アクセス管理の強化

情報に対するアクセス権限を必要最小限に制限することで、情報漏洩のリスクを低減することが可能です。例えば、重要な情報へのアクセスは、権限を持つ特定の社員のみに限定し、アクセスログを定期的に監査することが推奨されます。

インシデント対応計画の策定

万が一情報漏洩が発生した場合に備え、迅速に対応できるようなインシデント対応計画を策定しておくことが重要です。対応計画には、発生時の報告手順、原因調査、被害の最小化のための対応などが含まれます。迅速かつ適切な対応を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。

企業の情報漏えいインシデント対応が義務化されています

2022年4月から改正個人情報保護法が施行されました

個人情報保護法改正2022

2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」では、個人データの漏えい、あるいは漏えいが発生する可能性がある場合、報告と通知が法人に義務付けられました。違反した企業には最大1億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。

もし、マルウェア・ランサムウェア感染、不正アクセス、社内不正、情報持ち出しのような情報セキュリティ上の問題が発生した場合、まずは感染経路や漏えいしたデータの有無などを確認することが重要です。

ただ、調査を行うには、デジタルデータの収集・解析などの専門技術が必要です。これは自社のみで対応するのが困難なため、個人情報の漏えいが発生した、もしくは疑われる場合は、速やかにフォレンジック専門家に相談し、調査を実施することをおすすめします。

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情報漏えい調査はフォレンジック調査の専門家にご相談ください

DDF情報漏えいインシデントが発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。しかし、自力で調査を行うと、調査対象範囲が適切でなかったり、意図しない証拠データの消失が発生しやすく、不完全な結果になる恐れがあります。

このような事態を防ぎ、適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。フォレンジック調査では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備での端末の調査・解析、調査報告書の提出ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。

デジタルデータフォレンジックでは、お電話またはメールでお問合せいただくと、状況のヒアリングと対応方法、お見積りを無料でご案内いたします。法人様の場合、ご相談から最短30分で初動対応のWeb打合せも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。

官公庁・上場企業・捜査機関等まで幅広い調査対応経験を持つ専門の担当とエンジニアが対応させていただきます。

よくある質問

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この記事を書いた人

デジタルデータフォレンジックエンジニア

デジタルデータフォレンジック
エンジニア

累計ご相談件数32,377件以上のフォレンジックサービス「デジタルデータフォレンジック」にて、サイバー攻撃や社内不正行為などインシデント調査・解析作業を行う専門チーム。その技術力は各方面でも高く評価されており、在京キー局による取材実績や、警察表彰実績も多数。

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