セキュリティ対策

サプライチェーンセキュリティ評価制度にどう対応するか|★3取得を見据えた実務ロードマップ

刑事デジタル法

企業のセキュリティ対策は、もはや自社内だけでは完結しません。製造業やIT企業をはじめ、委託先・関連会社なども含めた「サプライチェーン全体のセキュリティ水準」が問われる時代に入っています。

こうした背景のもと、国主導で導入が進む「サプライチェーンセキュリティ評価制度」は、企業の体制整備や対応力を客観的に評価する仕組みとして注目されています。評価の取得有無が、公共調達や取引継続の判断材料になる可能性もあり、未対応のままではビジネス上の不利を招くおそれもあります。

本記事では制度の全体概要に触れつつ、★3取得に向けた実務的な対応ステップに焦点を当てて、具体的な準備と進め方をわかりやすく解説します。

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サプライチェーンセキュリティ評価制度とは

サプライチェーンセキュリティ評価制度とは、経済産業省・内閣官房が中心となって導入を進めている、企業の情報セキュリティ対策水準を段階的に可視化する制度です。

評価対象は自社システムだけでなく、委託先・取引先・グループ会社なども含むサプライチェーン全体におよびます。

評価制度の全体像と仕組み

本制度では、企業のセキュリティ体制を次のような観点から評価します。

  • 可視化: セキュリティ対策の水準を★1〜★5で統一表示
  • 第三者確認: 自己評価に加えて、専門家や評価機関による確認を組み合わせ、信頼性を確保
  • 更新制: 一度取得すれば終わりではなく、2〜3年単位での再評価・体制維持が前提

つまり、単なる書類上の認証ではなく、継続的かつ実効性のあるセキュリティ体制が整っているかが評価される仕組みです。

出典:経済産業省

Webサイトのセキュリティ診断を行っている調査員の手元
セキュリティ対策評価制度とは?★1〜5の評価基準とISMSとの違いセキュリティ対策評価制度とは、企業のサイバーセキュリティ対策の成熟度を★1〜★5で可視化し、取引やサプライチェーン全体で活用する国主導の新制度です。本記事では、制度の概要や評価基準、★ランクの考え方、ISMSとの違い、対象企業や導入の背景までをわかりやすく解説します。...

制度の開始時期と対象企業の範囲

セキュリティ対策評価制度は、2026年10月〜2027年3月ごろ(令和8年度下期)に、★3・★4の本格運用開始が予定されています。これに先立ち、2025年度中はプレ運用期間として、制度整備や試行的な導入が進められます。

制度が始まってから対応を始めるのでは遅いため、今からの準備が重要です。

制度の導入スケジュール

  • 2025年度: 制度案の公表、評価基準の策定、プレ運用開始
  • 2026年4月〜9月: 制度詳細の確定、評価機関や支援体制の整備
  • 2026年10月以降: ★3・★4の制度が正式スタート

※★5の運用時期は未定で、今後検討される見込みです。

対象となる企業の範囲

サプライチェーンに関わるすべての企業が対象で、業種・規模は問いません。

  • 発注側: 官公庁・自治体・大手企業(製造、IT、インフラなど)
  • 受注側: サプライヤー、中小ITベンダー、物流・製造業など

経済産業省は、「全企業が最低★3を目指すべき」と明言しており、調達条件として活用される可能性が高まっています。

企業が意識すべき準備のタイミング

  • 〜2026年3月: 自社の立ち位置を整理し、SECURITY ACTION(二つ星)相当の基本対策を実施
  • 2026年4月〜9月: 公表される評価基準を確認し、ギャップ分析を実施
  • 2026年10月〜: 実際に取引先から★評価を求められるフェーズに移行

中小企業も「取引継続のために★3が必要」になる可能性があるため、早めの備えが重要です。

評価取得に向けた実務ステップと対応フェーズ

評価制度に対応するには、「何から始めて、どの順で取り組むべきか」をあらかじめ整理しておくことが重要です。以下の3フェーズは、★3取得を想定した現実的なステップ構成です。

フェーズ1:今〜制度開始前|土台づくりとギャップの見える化

制度開始前に、自社の立ち位置と現状を棚卸しし、「何が足りないか」を明確にしておくフェーズです。

  1. 制度理解と目標設定: 経産省やベンダー解説で制度概要を把握し、自社の業務・取引に必要な★レベル(まずは★3)を決める
  2. 現状棚卸し(ライトな自己診断): セキュリティ方針、資産管理、契約、バックアップ、教育の有無など、現状の対策をチェック
  3. ギャップ分析: ★3の評価基準と比べて、不足している対策や証跡項目を整理(例:文書化・ログ管理など)

フェーズ2:制度開始前後|不足対策と★3取得プロセス

制度正式運用に向けて、対策の実装と評価取得に必要なプロセスを段階的に進めていくフェーズです。

  1. 不足対策の実装: セキュリティ方針、ソフト更新、MFA、ログ管理、社内教育など、優先事項から取り組む
  2. 自己評価と専門家確認: チェックリストに沿って自己評価を実施し、専門家のレビュー・助言を受ける
  3. 経営者宣言と登録申請: 経営者の宣誓と必要書類を整えて申請、登録が完了すれば★3取得(有効期間1年)

フェーズ3:取得後|継続的な見直しと運用強化

取得後も評価を維持・更新するため、定期的な見直しと、取引要件への対応を進めていくフェーズです。

  1. 年次レビュー: チェックリストで年1回の点検、インシデントや制度変更があればルール更新
  2. サプライチェーンとの連動: 主要取引先と★レベルのすり合わせを行い、自社契約や方針に反映
  3. 必要に応じたレベルアップ: 海外取引・重要業務があれば、★4やISMSの取得も視野に

中小企業がまず着手すべき4つの優先項目

専任担当が少ない中小企業でも、次の4点に絞って対応を始めると効果的です。

  1. 現状の簡易棚卸し: 情報資産、契約書、教育体制などの現状をまとめる
  2. 最低限のルール整備: セキュリティ方針、責任者の設定、初動マニュアルの整備
  3. バックアップとログ: データ復旧テスト、ログ保存の有無と運用方法を確認
  4. 外部支援の活用: テンプレートやセキュリティ支援企業を利用して効率的に整備

完璧を目指すより、「まずは取り組みを始めること」が制度対応における最重要ポイントです。

評価制度の対応には期間と準備が必要です。まずは現状を見える化し、できるところから段階的に整えていくことが、★3取得への近道です。

評価制度対応に不安がある場合は、サイバーセキュリティの専門業者にご相談ください。体制の診断、評価準備のサポート、証跡整備、自己評価のレビューなど、実務に即した支援を受けることが可能です。

まとめ

サプライチェーンセキュリティ評価制度は、単なる認証制度ではなく、今後の公共調達やBtoB取引の「新たな前提条件」となり得る重要な枠組みです。

★評価や第三者確認、更新義務なども、適切な準備と外部支援を活用すれば中小企業でも十分に対応可能です。評価取得に向けた対策は、そのままセキュリティ体制の強化にも直結し、インシデント発生時の備えにもなります。

評価制度への備えは、将来の取引や信用に直結する経営課題です。まずはお気軽にご相談ください。

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よくある質問

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この記事を書いた人

デジタルデータフォレンジックエンジニア

デジタルデータフォレンジック
エンジニア

累計ご相談件数47,431件以上のフォレンジックサービス「デジタルデータフォレンジック」にて、サイバー攻撃や社内不正行為などインシデント調査・解析作業を行う専門チーム。その技術力は各方面でも高く評価されており、在京キー局による取材実績や、警察表彰実績も多数。

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