Solarisは堅牢性の高いUNIX系OSの一つとして、企業や官公庁の重要なインフラにも利用されています。しかし、RBACやMACといった高機能なセキュリティが備わっていても、設定ミスや古いパッケージの放置により、不正アクセスのリスクはゼロにはなりません。
たとえば、意図しないroot権限の追加や、ログの改ざん、サービスファイルの変更などが発生していた場合、そのまま放置すると適切な対応を行うための痕跡が消失する恐れがあり、復旧や原因特定が困難になります。
本記事では、Solarisにおける不正アクセスの典型的な手口、確認すべき兆候、実施すべき初動対応のステップについて紹介します。
目次
Solarisで不正アクセスが疑われた場合に最初にやるべきこと
不正アクセスが疑われる場合、まず重要なのは「むやみに操作しない」ことです。再起動や不要なコマンド実行は、侵入経路や実行プロセスなどの重要な痕跡を上書きしてしまう可能性があります。
初動対応として、以下の点を優先してください。
- 現在のネットワーク接続状況を確認し、必要に応じて外部との通信を制限する
- ログファイルや設定ファイルのバックアップを取得する
- 現在実行中のプロセス一覧や接続中セッションを保存する
- 変更を加える前に、証拠保全を意識した記録を残す
原因が特定できていない段階で復旧や設定変更を行うと、後から侵入経路を特定できなくなるおそれがあります。まずは状況を正確に把握することが最優先です。
Solarisが不正アクセスされた際に疑われる主な兆候
Solarisでは、/var/log/ や /var/adm/messages などのシステムログに加えて、RBACやauditdなどのセキュリティ監査機能によってアクセス履歴を確認できます。以下に、不正アクセスの疑いがある代表的な兆候を紹介します。
見覚えのない使用者やグループの追加
/etc/passwd や /etc/shadow ファイル、または /etc/group に、管理者が追加した覚えのない使用者やグループが登録されている場合、外部からの不正侵入によりバックドア用アカウントが作成された可能性があります。
特に、UIDが0(root権限)だったり、wheel や root グループに属する新規利用者は極めて危険です。
これは、攻撃者が将来的な再侵入や権限維持のために作成する典型的な痕跡であり、即時にアクセス制限や状況確認が必要です。不要な利用者の無効化を検討するとともに、認証ログやコマンド履歴も確認する必要があります。
ログファイルの改ざんや欠損
/var/log や /var/adm/messages に保存されるシステムログや認証ログの一部が欠損していたり、特定期間だけ不自然にログが存在しない場合、不正侵入者が操作の痕跡を隠すためにログを改ざん・削除した可能性があります。
また、定期的なログローテーションを管理する logadm や logrotate の設定が無効化されている場合も、ログの保存を妨害している兆候と考えられます。
このような状況では、通常の障害と断定せず、ログのバックアップ確認やタイムスタンプの不整合チェックなどを慎重に行うことが重要です。
root権限の異常な利用履歴
last コマンドや auditd のログにおいて、通常の業務時間外や管理者の操作と一致しないタイミングで root アカウントによるログインや操作履歴が確認された場合、不正アクセスの可能性があります。
また、crontab に見覚えのない定期実行ジョブが追加されている場合、攻撃者が権限を獲得した後に継続的な操作を仕込んだ痕跡であることもあります。
root権限の操作はシステム全体への影響が大きいため、どのタイミングで・誰が・何をしたかを追跡できる状態を維持し、不審な動作があれば詳細な確認が必要です。
意図しないサービスやポートの起動
inetd や svc などのサービス管理機能によって、通常は使用していないポートが LISTEN 状態になっている場合、外部との不正な通信を許すためにバックドアやリモートシェルが動作している可能性があります。
netstat や ss コマンドで不審なポートが確認された場合は、どのプロセスがそのポートを使用しているのかを突き止める必要があります。正規プロセスに偽装した不正プログラムが動作しているケースもあるため、慎重な確認が求められます。
外部への不審な通信やデータ送信
netstat や ss、snoop、tcpdump などのネットワーク監視ツールで、通常の業務では使用しない外部IPアドレスや不明なポートへの通信が継続している場合、情報流出が進行している可能性があります。
特に、深夜帯や業務時間外に発生する周期的な通信や、不審な国外ホストへの接続は注意が必要です。
こうした通信を検知した場合は、まず通信状況の記録と保全を優先し、安易にプロセスを停止させる前に状況を整理することが重要です。
複数の兆候が確認された場合は専門業者に相談する
上記のような兆候が複数確認された場合や、内部で原因を特定できない場合は、専門業者への相談を検討することが重要です。
自己判断で操作を進めると、適切な対応を行うための痕跡が消失する恐れがあります。調査の目的や対象が曖昧なまま復旧を急ぐと、原因究明が困難になるばかりか、再発のリスクも残ります。
専門のフォレンジック業者であれば、Solarisの監査ログやプロセス、利用者管理構造を踏まえた上で、証拠保全から侵入経路の特定、被害範囲の分析、報告書作成まで一貫した対応が可能です。
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