以下のような状況に心当たりはありませんか？
- 削除したはずのHDDファイルが重要証拠として必要になった
- 社内で誰かが意図的にデータを消去した可能性がある
- SSDで削除したファイルが復元できないと判明した
このような事態が発生した場合、個人レベルでの復元は困難であり、専門的なフォレンジック調査が必要となります。誤った対応により復元可能だった証拠が失われるケースも少なくありません。
デジタルフォレンジック調査を行うことで、削除されたHDDデータの真正性を保ちながら、安全に復元できる可能性があります。本記事では、復元の基本原則から高度な解析方法まで、法人様が実務で押さえておくべきポイントを解説します。
＼HDDから削除された重要データの復元に対応／
目次
フォレンジック調査で明らかになるHDDデータ消失の原因
削除されたデータを復元するには、機器の状態や保存形式、上書きの有無など多くの要因が関係します。不適切な取り扱いや調査順序の誤りによって、復元可能だった証拠が永久に失われる危険性もあります。主に代表的な原因として下記が挙げられます。
誤操作や改変を防ぐ物理・論理保全の不備
データ復元において最も重要なのは、対象HDDの「変更されていない状態」を確保することです。これが不完全なまま作業を行えば、元データが改変されて証拠能力を失ってしまいます。
ファイルシステムのメタ情報消失
ファイルが削除された際、OS上では「消えた」ように見えても、実際にはファイル本体のデータは残っている場合があります。これを復元するには、NTFSなどのファイルシステム構造を正しく解析する必要があります。
SSDや暗号化による技術的制限
SSDはTRIM機能により削除されたデータを自動的に消去するため、復元可能性が大きく下がります。さらにBitLockerやFileVaultなどの暗号化が施されている場合、復号鍵が失われると復元はほぼ不可能です。
フォレンジック調査を用いたHDDデータ復元の具体的な手順
データ復元には、対象デバイスを保護したうえで、ファイルシステム解析やデータカービングなどの複合的手法を使って進める必要があります。
①HDDの保全とミラーイメージ作成を行う
データ改変を防ぐため、HDDは書き込み防止装置に接続し、ミラーイメージを取得したうえで調査を行います。
- HDDを電源オフし、物理的に隔離します。
- 専用のWrite Blockerを使い、デバイスを読み取り専用にします。
- 完全なミラーイメージを取得して複製環境で解析を行います。
②ファイルシステムからの復元を行う
NTFSやHFSの構造を解析し、削除済みフラグの付いたファイル情報から元データを復元します。
- 対象HDDのファイルシステム構造を調査します。
- 削除済みとして管理されている領域を特定します。
- 復元可能なファイルを抽出し、別環境へ保存します。
③データカービングによる復元を行う
ファイル名や階層情報が失われていても、ファイル特有のシグネチャをもとにデータ本体を検出して復元します。
- ディスク全体をバイナリ単位でスキャンします。
- JPEGやPDFなどのファイルヘッダー／フッターを基準に抽出します。
- 復元データを目視確認し、再構成を試みます。
④SSDや暗号化デバイスの復旧を行う
暗号鍵がある場合は復号処理を行い、SSDの場合はTRIM未実行領域を中心に調査を進めます。
- 暗号化の有無と方式（BitLockerなど）を確認します。
- 鍵情報があるかを確認し、復号ツールで復元を試みます。
- TRIMコマンド未適用セクタを重点的にスキャンします。
⑤ハッシュ検証による真正性の確認を行う
復元されたファイルの改ざん有無をハッシュ値により検証し、証拠性を担保します。
- オリジナルデータと復元データ双方のハッシュ値を取得します。
- ハッシュ値が一致するかを確認します。
- 記録として調査報告書に記載し、証拠性を担保します。
削除データの復元を依頼するなら、専門調査機関への相談が確実です
削除されたHDDデータは、時間経過や操作によって復元難易度が大きく変わります。証拠として活用する場合は、法的要件に則った正確な調査と記録が求められます。
適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料？ 調査にかかる期間は？ サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
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この記事を書いた人
デジタルデータフォレンジック
エンジニア
