デジタルフォレンジックは、サイバー犯罪や社内不正、情報漏えいなどに対して有効な証拠収集手段として注目されています。しかし、すべてのケースで万能とは言えません。
デジタルフォレンジックについては、専門家に相談するのが一番です。本記事では、実際の現場で直面するデジタルフォレンジックの限界について解説します。
デジタルフォレンジックの限界とは
ここでは、実務において多くの専門家が直面しているデジタルフォレンジックの主な制約や課題を詳しく見ていきます。
暗号化と復号の壁
暗号化されたファイルは、技術者であっても容易には解析できません。特にランサムウェアに感染した場合、攻撃者による強固な暗号化処理が施され、復号キーが提供されない限り解除は極めて困難です。
実務で直面する課題
- 復号に膨大な時間がかかり、調査スピードが低下
- AIを用いた暗号化アルゴリズムが増加し、従来のツールが無効に
- 復号の試行そのものがデータ改変リスクとなる場合がある
クラウドデータの取得が困難
Microsoft 365やGoogle Driveなどクラウドストレージに保存されたデータの保全は、アカウント権限とサービス側の仕様に大きく依存します。
よくある問題例
- クラウド側のログ保持期間が短く、アクセス記録が取得できない
- API経由でのデータ取得に制限がある(エンタープライズ契約でなければ不可)
- 管轄国によるデータ開示制限(例:米国のCLOUD法)
データ量の増加による処理遅延
近年のストレージ容量の増加に伴い、1台のPCでも数TBのデータが存在します。フォレンジックでは、その全てを取得・保全・解析する必要があり、大量のデータが調査時間のボトルネックになります。
現場での例
- 社内サーバ全体を取得するために複数日以上必要
- 自動バックアップやミラーリングが解析を複雑化
- USBデバイスや外部HDDも対象に含めると調査範囲が拡大
プライバシーと法的制約
従業員や個人ユーザーの情報を調査する際、個人情報保護法や労働契約が調査に影響を与えることがあります。
具体的なリスク
- 従業員のプライベートデータを勝手に閲覧したことで訴訟に発展
- 証拠能力が否定され、裁判で不利になる
- 国際案件ではGDPRやCCPAなどの対応も必要
専門知識とリソースの不足
デジタルフォレンジックには高度な専門知識が必要であり、社内の情報システム部門だけでは対応が困難な場合が多くあります。
ありがちな状況
- インシデント直後に誤ってPCの電源を落とし、証拠が消失
- 一部しか保全できず、調査が中断
- 専用ツールのライセンス不足や技術者の確保が困難
リモート環境でのデータの保全
テレワークやハイブリッド勤務が普及した今、証拠機器が会社外にあることも珍しくありません。しかし、VPN越しの接続や端末への物理アクセスができないことにより、保全は困難になります。
典型的な障壁
- 対象PCがオンラインにならず、遠隔操作できない
- 社内NW外からの証拠取得に制限がある
- エンドユーザーによる削除やフォーマットのリスク
デジタルフォレンジックの限界に直面したときの対処法
デジタルフォレンジックの限界にぶつかったとき、単なるツールでは解決できないケースが多くあります。ここでは、現実的かつ効果的な対応策を紹介します。
専門業者に依頼する
ランサムウェア、社内不正、横領などが疑われる場合、自社内での調査は証拠性を損なうリスクがあります。データの保全が不完全だと、訴訟時に不利になる可能性があるため、初期段階からデジタルフォレンジック専門会社へ相談すべきです。
- 被害状況と証拠がある端末の情報を整理する
- フォレンジック業者へ被害状況を伝え、対応可否を確認
- 証拠機器の通電や操作を控え、速やかに発送または訪問を手配
法的手続きと併用する
クラウド事業者や通信事業者からのデータ提供は、令状や訴訟を通じてしか得られない場合があります。フォレンジック調査と並行して、弁護士と連携し、法的措置を視野に入れることが有効です。
初動対応を徹底する
証拠が最も多く残るのは「発生直後」です。OSを再インストールしたり、操作履歴を削除してしまうと、証拠は完全に失われます。
- 電源を切らず、現状維持を徹底する
- Wi-Fiやネットワーク接続を遮断し、証拠の改変を防止
- ログイン履歴、アクセス権限、メール送受信などを記録
クラウドログの早期取得
Google WorkspaceやMicrosoft 365には、アクセスログや操作履歴が記録されていますが、保存期間が短いため、発見が遅れると取得できないことがあります。
- 管理者アカウントでログイン
- 「セキュリティセンター」や「監査ログ」機能を選択
- CSV形式でエクスポートし、別環境にバックアップ
リモート保全の代替策を講じる
リモート端末にアクセスできない場合は、USBブートで起動可能な保全ツールを郵送し、ユーザーに操作させる手段もあります。
従業員教育と事前準備
不正や事故が起きた際の初動対応を、従業員に教育しておくことで、証拠の喪失を最小限に抑えられます。
準備すべき内容
- フォレンジック対応マニュアルの整備
- 誤操作防止のための定期研修
- 社内CSIRTの整備と対応フローの共有

適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
当社では、インシデント対応のプロが初動対応から、専門設備でのネットワークや端末の調査・解析、調査報告書の提出、ならびに報告会によって問題の解決を徹底サポートします。
フォレンジックサービスの流れや料金については下記からご確認ください。
【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
【サービスの流れ】どこまで無料? 調査にかかる期間は? サービスの流れをご紹介
【料金について】調査にかかる費用やお支払方法について
【会社概要】当社へのアクセス情報や機器のお預かりについて
デジタルデータフォレンジックの強み
デジタルデータフォレンジックは、迅速な対応と確実な証拠収集で、お客様の安全と安心を支える専門業者です。デジタルデータフォレンジックの強みをご紹介します。
累計相談件数39,451件以上のご相談実績
官公庁・上場企業・大手保険会社・法律事務所・監査法人等から個人様まで幅広い支持をいただいており、累積39,451件以上(※1)のご相談実績があります。また、警察・捜査機関から累計395件以上(※2)のご相談実績があり、多数の感謝状をいただいています。
(※1)集計期間:2016年9月1日~
(※2)集計機関:2017年8月1日~
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(※3)第三者機関による、データ復旧サービスでの売上の調査結果に基づく。(2007年~2017年)
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