「あなたのパソコンをハッキングした」「トロイの木馬に感染させた」——こんな文言で脅迫し、仮想通貨の送金を要求する詐欺メールが、自分自身のメールアドレスから届くことがあります。

こうしたメールを受け取ったとき、本当に自分のアカウントが乗っ取られたのか、パソコンがハッキングされたのかと不安になる方は多いでしょう。

実はその多くは、メール送信元の「なりすまし」による詐欺で、実際に侵害されているケースはごく一部に過ぎません。ただし、状況によっては本当にアカウント情報が漏洩していることもあるため、冷静な判別と適切な対処が必要です。

「トロイの木馬」ハッキング脅迫メールの特徴と実態

まずは、自分のアドレスから届く不審メールの実態を正しく理解することが重要です。

自分のアドレスから届く脅迫メールの特徴

送信元アドレスに自分のアドレスが記載され、脅迫的な内容が記載されたメールが届くことがあります。内容は概ね次のようなものです。

• あなたのパソコンを遠隔操作した
• ウェブカメラで録画した動画を公開する
• トロイの木馬でスマホを監視している
• ビットコインで身代金を支払え

なぜ送信元を偽装できるのか

これはメールの仕様上、送信者アドレス（From:）の欄が任意編集可能であるためです。悪意ある第三者があなたのメールアドレスを差出人に設定して送信しているだけで、実際にアカウントが侵害されているわけではありません。

実際に乗っ取りかどうか見極める方法

次のような方法で「なりすまし」か「乗っ取り」かを見極められます。

「トロイの木馬」ハッキングメールへ取るべき対処法

詐欺メールが届いた場合、何よりも冷静に行動することが重要です。脅しに屈することなく、次の対策を順に実施してください。

メールの削除・無視

ビットコイン送金や脅し文句が含まれるメールには絶対に返信せず、開封後は速やかに削除しましょう。

情報漏洩の有無を確認

Have I Been Pwnedを利用して、自分のメールアドレスが過去の情報漏洩で流出していないか確認しましょう。

アカウント管理・認証強化

• パスワードの使い回しをやめる
• すべての主要アカウントを複雑なパスワードに変更
• 2段階認証を有効化する

ウイルススキャンとセキュリティ強化

自分の端末がマルウェアに感染していないかを確認するため、セキュリティソフトでフルスキャンを行ってください。

併せて、OSやアプリを最新版に更新し、脆弱性を悪用されるリスクを下げましょう。

送信ドメイン認証（SPF・DKIM・DMARC）の設定

自分が管理するメールサーバーにこれらの認証を導入することで、なりすましメールの拒否率を大幅に高めることが可能です。

フォレンジック調査が必要な場合

もしも、次のような事象が発生しているなら、専門家による調査＝フォレンジック調査が必要です。

フォレンジック調査では、

• メールヘッダ解析による真正性の確認
• マルウェア感染経路の特定
• 操作ログの追跡と証拠保全

といった対応が可能です。

社内や個人でフォレンジック調査を完結させるのは、証拠の観点からリスクが高いため、必ず専門業者への相談を推奨します。

まとめ

「自分のメールアドレスからハッキングされたメールが届いた」というケースの大半は、なりすまし詐欺です。

脅し文句に惑わされず、冷静にメールを削除し、基本的なセキュリティ対策を講じることが最善の対応です。

ただし、実際の侵害が疑われる場合や不正なアクセス痕跡がある場合には、警察やフォレンジック調査会社など、信頼できる専門機関に早期相談しましょう。