攻撃者が悪意のあるSQLコードをアプリケーションに注入し、データベースに不正アクセスすることで、機密情報の漏洩、データの改ざんや削除が行われるリスクがあります。企業にとっては重大なセキュリティ脅威となります。
万が一、社内システムが攻撃を受けている疑いがある場合や、ネットワークの脆弱性を確認したい場合は、専門のセキュリティ業者に依頼することが有効です。
本記事では、SQLインジェクションの仕組みとその影響を解説し、企業が実施すべき効果的な対策方法についても紹介します。
目次
SQLとは?
SQL(Structured Query Language)は、リレーショナルデータベース(RDB)を操作するための標準的な言語です。データベース内のデータを管理・操作するために使用され、主にデータの更新、追加、削除、検索などの機能を提供します。
リレーショナルデータベース(RDB)を使用しているシステムで広く利用されており、企業やWebアプリケーションで顧客データ、商品データ、取引履歴などを管理するために不可欠な役割を果たします。
SQLは、データベースの中の情報を効率的に取得・変更・削除できるため、企業やWebアプリケーションが顧客情報や商品情報など、大量で重要なデータを安全かつ効果的に取り扱うための重要なツールとなっています。
SQLインジェクションが発生する仕組み
SQLインジェクションは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用して、攻撃者が不正なSQLコードをデータベースに注入する攻撃手法です。攻撃により、攻撃者はデータベース内の情報にアクセスしたり、改ざんしたりすることが可能となります。
攻撃者はウェブサイトの検索枠やログインフォームなど、ユーザーが入力するフィールドにSQL文を埋め込み、意図的に不正な操作を実行させます。
具体的な攻撃の流れは以下になります。
- 脆弱性の特定
攻撃者が脆弱なウェブアプリケーションを見つける - 不正なSQL文の作成と入力
入力フォームなどに不正なSQL文を含む文字列を入力 - SQL文の生成
アプリケーションが入力値を適切に処理せずにSQL文を生成 - 不正なSQL文の実行
不正なSQL文がデータベースで実行され、意図しない操作が行う
リスクを避けるためには、社内のセキュリティ脆弱性を特定し、SQLインジェクション対策を徹底することが非常に重要です。もし自社で対策を講じるのが難しい場合、専門の業者に依頼することも一つの有効な手段です。
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SQLインジェクションによる主な被害
攻撃者はSQLインジェクションを通じてデータベースに不正アクセスし、以下のような重大な被害を引き起こすことが可能になります。
システムへの不正アクセス
攻撃により、攻撃者がシステムへの管理者権限を取得するリスクがあります。管理者権限を得ることで、攻撃者はシステム全体を制御し、完全に乗っ取ることが可能になります。
システムが乗っ取られると、業務運営に深刻な影響を与えるだけでなく、攻撃者はシステムを悪用して他のネットワークやシステムに攻撃を仕掛けたり、マルウェアやウイルスをインストールして拡散させる可能性があります。
データの改ざん・削除
SQLインジェクション攻撃により、データベース内の情報が不正に変更されたり、削除されたりする可能性があります。例えば、正規のログインページを偽のページに上書きし、ユーザーの認証情報を盗むために悪用されることがあります。
不適切な内容や悪意のあるリンクをウェブサイトに挿入することで、ユーザーを誤導し、業務プロセスの混乱や企業活動の停止を引き起こすリスクがあります。
サービス停止
データベースが破壊されると、ウェブサイトやサービスの正常な機能が停止する恐れがあります。重要なデータが消去されると、復旧には時間を要し、その間に業務が中断されたり、顧客サービスが停止することがあります。さらに、長期間にわたる停止は収益の損失を招く可能性があり、企業の信頼性や運営に深刻な影響を与える恐れがあります。
情報漏えい
SQLインジェクション攻撃により、攻撃者がデータベースに不正にアクセスし、顧客の個人情報や機密情報を盗み出すことが可能になります。情報漏えいは、個人のプライバシー侵害や金融情報、企業のビジネスに関連する重要なデータの漏洩を引き起こし、企業にとって重大な損害をもたらす恐れがあります。
さらに、顧客の個人情報が漏洩した場合、企業は「漏洩した情報の種類」「侵入経路」「漏洩件数」などを調査し、個人情報保護委員会および情報漏洩した本人に報告・通知する義務があります。報告を怠ると、罰金刑などの法的制裁を受けることになります。
社内での調査が難しい場合、専門のフォレンジック調査会社に依頼することが推奨されます。フォレンジック調査を通じて、SQLインジェクション攻撃による被害を正確に把握し、適切な対応を取ることができます。
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SQLインジェクションの被害事例
SQLインジェクション攻撃による被害事例は以下の通りです。
学習塾のメールアドレス流出(2022年)
株式会社日能研のウェブサーバーに外部からの不正アクセスがあり、メールアドレスが漏洩した可能性があることが判明しました。不正アクセスはSQLインジェクションを利用して行われ、漏洩した可能性のあるメールアドレスは最大280,106件に及びます。日能研はセキュリティ強化と再発防止に取り組むと共に、個人情報保護委員会と警察に対応を報告しています。
出典:日能研公式サイト
統計数理研究所サーバに対する不正アクセス(2023年)
2023年4月3日、統計数理研究所(統数研)のサーバがSQLインジェクション攻撃を受け、2018年度以前に採択された共同研究課題の研究参加者のメールアドレス5527件が流出した可能性があることが判明しました。
攻撃は2月7日と3月16日から17日に発生し、サーバの設定に不備があった可能性が考えられます。統数研は、運用システムのセキュリティ対策と監視体制の強化を行い、再発防止に取り組むとともに、影響を受けたユーザーには個別にお詫びを行っています。
出典:統計数理研究所公式サイト
SQLインジェクション攻撃により企業のデータベースが不正にアクセスされると、顧客の個人情報や機密情報が漏洩するリスクが大きくなります。
特に、顧客の個人情報が流出することで、企業の信用は失われ、法的責任を問われる可能性もあるため、企業の運営に深刻な影響を及ぼします。攻撃が発覚した場合には、迅速かつ適切な対応が求められます。
被害の範囲や攻撃経路を正確に把握するためには、専門のフォレンジック調査会社に依頼することが非常に重要です。フォレンジック調査によって、攻撃の詳細やデータ漏洩の範囲が明らかになり、適切な対策を講じることができます。また、専門家による調査を通じて、企業は再発防止策を講じ、顧客や関係機関に対して適切な報告や通知を行うことができます。
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SQLインジェクション攻撃の疑いがある場合は専門業者に相談する

サイバー攻撃、不正アクセス、マルウェア感染のような問題が発生した場合、どのような経路で、どのような情報が漏えいしたのか、被害の全容を正確に把握する必要があります。適切な調査によって原因究明を行うためにも、フォレンジック調査の専門家に相談することが重要です。
特に、法的手続きが絡むケースや被害が広範囲に及ぶ場合は、専門家の力を借りることで被害の最小化と信頼性の高い証拠の収集が可能です。
>情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告義務とは?詳しく解説
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【初めての方へ】フォレンジックサービスについて詳しくご紹介
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SQLインジェクションの効果的な対策
SQLインジェクションの対策は以下のとおりです。
プレースホルダの利用
プレースホルダは、SQLクエリ内で直接値を埋め込むのではなく、パラメータとして値を渡す方法です。プレースホルダの利用によりSQLインジェクション攻撃を防ぐことができます。SQL文の中で変動する部分にプレースホルダを使用することで、不正なSQL文の実行を防ぎます。
プレースホルダを使うと、入力値が単なる文字列として扱われ、SQLコードとして解釈されることを防ぎ、データベースエンジンがパラメータを適切にエスケープして実行するため、セキュリティが強化されます。
エスケープ処理の実施
エスケープ処理は、ユーザーからの入力がSQLクエリの一部として誤って解釈されるのを防ぐための重要な手段です。具体的には、SQL文内で特別な意味を持つ文字を解釈されないようにします(例えば:「’」→「”」、「¥」→「¥¥」等)。
スケープ処理を適切に施すことで、攻撃者が意図的にSQL文を操作して不正なコマンドを実行することを防ぎ、データベースへの不正アクセスを防止できます。結果として、SQLインジェクション攻撃に対する防御が強化され、システム全体のセキュリティを高めることができます。
入力データの制限と検証
SQLインジェクションを防ぐためには、入力データに制限を設け、検証を行うことが重要です。データの長さや型、形式を制限することで、予期しないまたは不正なデータの入力を拒否できます。
さらに、正規表現や検証ルールを使用して、ユーザー入力が正しい形式であることを確認します。入力データの制限と検証により、不正な入力を早期に検出し、SQLインジェクション攻撃のリスクを減らすことができます。
最小権限の付与によるセキュリティ強化
データベースへのアクセス権限を「必要最低限」に制限することは、SQLインジェクション攻撃が成功した場合の被害を最小限に抑えるための重要な対策です。
具体的には、データベースのアカウントには、必要なデータの読み取りや書き込みに関する最小限の権限のみを与え、不要な操作(例:データベースの削除や変更)を許可しないようにします。
万が一攻撃者が不正アクセスをしても、制限された権限内でしか操作できないため、システム全体への深刻な影響を防ぐことができます。最小権限の付与によって、セキュリティが強化され、攻撃が成功しても被害が抑えられる可能性が高まります。
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