法人組織は不正アクセスなどのリスクをしっかりと評価し、対策を立てることが大切です。なぜなら、不正アクセスなどの被害により、顧客情報や機密情報が漏えいした場合、企業の信用は失墜し、顧客離れや取引先からの信頼低下などの損失につながる可能性があるからです。また、金銭的な被害が発生したり、業務に支障をきたしたりする可能性もあります。
したがって法人組織は想定リスクを正確に評価し、事前に備えることが重要です。この場合に有効なのが、脆弱性診断です。脆弱性診断は、システムやソフトウェアに存在する脆弱性を発見するための手法の一つです。これにより、攻撃者が悪用できる可能性のあるセキュリティ上の欠陥を発見することができます。
この記事では、脆弱性診断の概要や、テスト実施の流れなどを解説します。
目次
脆弱性診断とは
脆弱性診断とは、システムの脆弱性を見つけ、リスクを評価することです。脆弱性とは、攻撃者によって悪用される可能性のあるセキュリティ上の欠陥を指します。
脆弱性診断では、システムやソフトウェアのセキュリティ状態を把握し、適切な対策を講じることで、セキュリティインシデントの予防や被害の軽減を図ることができます。
脆弱性診断の必要性とは
なぜ脆弱性診断が必要になるのでしょうか。その必要性は以下のとおりです。
- セキュリティインシデントの予防
- 法令遵守
セキュリティインシデントの予防
脆弱性を放置しておくと、マルウェア感染や不正アクセスなどの被害に遭い、情報漏えいや金銭要求、システム停止などのセキュリティインシデントにつながる可能性があります。
この際、脆弱性診断によってシステムやソフトウェアの脆弱性を特定することで、適切な対策を実施し、セキュリティを強化することができます。脆弱性を放置することは、企業にとって大きなリスクとなるため、脆弱性の発見対策はインシデントを予防する上で重要です。
法令遵守
個人情報保護法23条では、個人情報を取り扱う事業者は、個人情報の漏えいなどの防止に、必要な措置を講じるよう義務付けられています。
つまり、事業者は、個人情報の漏えいなどのリスクを十分に認識し、そのリスクを低減するために適切な措置を講じる必要があります。その一環が脆弱性診断です。
また第26条では個人情報を扱う事業者は、その情報が漏えいし、権利侵害が起きる可能性がある場合、かならず個人情報保護委員会に報告しなければなりません。
すでにデータが漏えいしてからでは手遅れになるため、あらかじめ脆弱性診断によって、脆弱性を特定し、適切な対策を実施することで、法令を遵守することができます。
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脆弱性を放置すると、どのようなリスクがあるのか?
脆弱性を放置すると、次のようなリスクがあります。
- サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが拡大する
- マルウェア・ランサムウェア感染の危険性がある
- 情報漏えいのリスクがある
脆弱性によるリスクを軽減するためには、最新の脆弱性情報を把握するとともに、脆弱性診断を行うことで、そのリスクを評価し、適切な対応を行うことが求められます。
サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが拡大する
脆弱性を放置しておくと、攻撃者からのサイバー攻撃や不正アクセスを受けるリスクが大幅に拡大します。これは、攻撃者が一貫してインターネット上で公開されている脆弱性の情報を収集し、それを利用してシステムやソフトウェアへの攻撃を行うからです。
このため、脆弱性があるシステムやソフトウェアは特に攻撃の目標となります。これらの攻撃は、情報の流出やシステムの停止など、組織に大きな被害をもたらす可能性があります。だからこそ、脆弱性を早期に特定し、それを修正することは非常に重要です。
マルウェア・ランサムウェア感染の危険性がある
脆弱性を悪用してマルウェア(悪意あるソフトウェア)に感染させられる可能性があります。マルウェアに感染すると、システムやデータが破壊されたり、情報が盗まれたりする可能性があります。特にランサムウェアに感染するとコンピュータやサーバーのデータを暗号化され、復号するために身代金を要求され、データが永久に失われる可能性があるほか、ダークウェブ上の暴露サイトにデータが漏えいする恐れがあります。
つまり感染してからでは手遅れであり、あらかじめ感染しないように脆弱性診断を行うことが重要となってくるわけです。
>ランサムウェアの感染経路として最多を占めるRDPの抱える問題についてはこちら
情報漏えいのリスクがある
攻撃者は、ソフトウェアやOSの脆弱性を突いて、個人情報や機密情報を盗みます。
2022年4月から施行された改正個人情報保護法では、個人情報保護委員会への報告、さらには本人への通知が義務化されました。また個人情報が流出した場合の対応も厳しく規定され、措置命令違反には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
したがって、法人組織は脆弱性診断などを通して、個人情報の取り扱い状況や、そのリスクを定期的に点検・評価し、万が一の流出に備える必要があります。
脆弱性診断の種類
脆弱性診断は、検査対象や作業上の分類によって、以下の種類に分けられます。
- 検査対象による分類
- 作業上の分類
ここでは、それぞれの内容を見ていきましょう。
検査対象による分類
脆弱性診断は検査対象によって、以下2種類に分けられます。
- アプリケーション診断
- プラットフォーム診断
アプリケーション診断
これはWebアプリケーションや、社内システムなどのアプリケーションを対象とした脆弱性診断です。アプリケーション診断では、ユーザーの認証や認可が不十分なために、不正アクセスやなりすましを許してしまう脆弱性などを診断することができます。
例えば、ユーザー名やパスワードの再利用を許可している場合、攻撃者は辞書攻撃やブルートフォース攻撃によって、簡単に認証を突破してしまう可能性があります。アプリケーション診断では、このような脆弱性を発見することができます。
プラットフォーム診断
OSやミドルウェア、ネットワーク機器などのプラットフォームを対象とした脆弱性診断です。プラットフォーム診断は、システム全体のセキュリティ状態を把握し、セキュリティインシデントの予防や被害の軽減に効果的です。特に、OSやミドルウェアなどのソフトウェアには、頻繁に脆弱性が発見されるため、定期的なプラットフォーム診断が重要です。
作業上の分類
作業上の分類によって、以下の2種類に分けられます。
- 手動診断
- 自動診断(ツール診断)
それぞれ一長一短があるため、それぞれの診断方法を組み合わせることで、効果的な診断を行うことができます。
手動診断
これは専門のエンジニアが、目視やツールを用いて、脆弱性を検出する手法です。
手動診断では、自動診断では検出できない脆弱性も発見できるメリットがあります。ただ、作業に手間と時間がかかるため、コストがかかる場合があるほか、専門のエンジニアのスキルや経験が必要になるなどのデメリットがあります。
自動診断(ツール診断)
これは脆弱性診断ツールを用いて、自動的に脆弱性を検出する手法です。
自動診断は、脆弱性診断ツールを用いて、自動的に脆弱性を検出するため、手動診断に比べて、作業にかかる手間と時間を削減できるなどのメリットがありますが、自動診断ツールだけでは、すべての脆弱性を発見できず、脆弱性の原因や影響を詳細に分析できない場合もあります。
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脆弱性診断の手法
脆弱性診断の手法には主に下記2つが存在します。
- 静的診断
- 動的診断
静的診断
静的診断は、ソースコードや構成ファイルなどの静的な情報をもとに検査を行う手法です。ソースコードの解析や、構成ファイルのチェック、設定ファイルの確認などを行い、脆弱性を発見します。
静的診断は、比較的短時間で脆弱性を発見できるというメリットがあります。また、ソースコードや構成ファイルなどの情報を取得できる限り、あらゆるシステムに対して適用できるというメリットもあります。
動的診断
動的診断は、実際にシステムを稼働させて、動作を観察しながら検査を行う手法です。たとえば、攻撃者視点で実際に稼働しているアプリケーションに対して、様々な不正なデータを送信・入力し、脆弱性を確認するテストが動的診断に該当します。
動的診断は、静的診断では発見できない脆弱性を発見できるというメリットがあります。また、システムの実際の動作を観察しながら検査できるため、攻撃者が実際にどのように攻撃するかを想定した検査ができるというメリットもあります。
ただ、脆弱性診断を実施する際には、システムやソフトウェアの特性に合わせて、適切な手法を選択することが重要です。
脆弱性診断は専門業者へ依頼する
脆弱性診断の実施には専門性の高い知識と豊富な経験が必要不可欠です。
専門的なノウハウを持たない中で、個人ないし自社のみで脆弱性診断を行うと、実態を正確に把握できない可能性が高いです。
組織や社内において、現状のセキュリティ上の抜け穴や脆弱性、問題点を把握しておくことは重要です。今後サイバーインシデントの発生リスクを最小限に抑えるためにも、まずは信頼性の高いフォレンジック業者に一度相談することをおすすめします。
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