社内不正・労働問題

職務怠慢(サボり)を証明する | 調査方法・処分方法や解雇リスクを解説

職務怠慢を証明する | 調査方法・処分方法や解雇リスクを解説

「不当な残業代を請求されている」「業務上関係のないことをしている社員がいる」など、職務怠慢の疑いのある社員がいても、裏付けとなるデジタル証拠を適切に確保することができなければ、職務怠慢の立証は非常に困難になってしまいます。

そこでこの記事では「職務怠慢とみなされる要件」「不適切な解雇によるリスク」そして「職務怠慢を適切な手段で調査する方法」まで横断的に解説します。

職務怠慢とは

職務怠慢とは読んで字のごとく「従業員が職務を果たさないこと」です。
たとえば職務怠慢に該当する可能性として、次のようなケースを挙げることが出来ます。

■成績不振の外回り営業職がサボっている可能性がある。
■業務中に、業務とは関係ないPC利用が目立つとの内部通報があった。
■残業代支給額が不自然に増えた。
■素行不良社員が退職前にパソコンを初期化して返却してきた。
■職務怠慢が改善されず、懲戒解雇したところ、不当解雇だと訴えられた。

法的な説明をすると、労働者と会社は「雇用契約」(民法623条)結んでおり、労働者は労務(職責)を果たし、会社はそれに対する報酬を支払います。しかし、どちらか一方が契約で約束・締結した義務を果たさない場合、債務不履行(契約違反)となります。つまり「職務怠慢」とは、”契約を結んだ労働者が起こす債務不履行”を指しているわけです。

職務怠慢とみなされる要件

職務怠慢の対象は「雇用契約で定められている労働時間、および労務を果たさない債務不履行すべて」が該当します。

ここでは職務怠慢の構成要件に該当する具体例を紹介します。

遅刻・無断欠勤・勤務成績不良

労働者は、雇用契約で定められた所定労働時間を守り、過不足なく職責を果たす義務があります。しかし、正当な理由がない遅刻や、無断欠勤などで、労働者が所定労働時間に満たない労働しか行わない場合は当然、債務不履行となります。

就業規則が定める解雇事由に該当している

厚労省の「モデル就業規則」51条では、解雇相当事由として「労働能力に欠ける」「改善の意志がない」などが定められており、具体的には次の2つが規定されています。

 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、職責を果たし得ない
 勤務成績、または業務能率が著しく不良で向上の見込みもなく、他の職務にも転換できない

すなわち、本人に改善の意志や意欲がなく、適切な指導が平等になされているにも関わらず、労働能力不足や成績不良につながっている場合は、職務怠慢とみなすことができます。

しかし、本人の意志や意欲などは、客観的に判断しにくいため「解雇相当」として法的に認められるのは、きわめて難しいとされています。ゆえに職務怠慢の証明には、説得力のある証拠を複数収集し、かつ第三者に提出できる調査報告書としてまとめなければなりません。

会社に損害がある

労働者の故意または過失により、会社に損害を与えた場合は、不法行為責任(民法709条)が、または労務を遂行する上で、必要な注意を怠ることにより、会社に損害を与えた場合は、債務不履行責任(民法415条/雇用契約の義務違反)が成立します。

たとえば、タクシー運転手が居眠り運転で、乗客の安全確保義務を怠り、交通事故を起こした場合は「債務不履行」「不法行為」の2要件が成立し、解雇事由になりえます。ただし、会社都合で労働者がオーバーワークの状態になっていたり、あるいは労働者を切り捨てるような態度を取ると、裁判官の心証を悪化させ、解雇が認められないこともあります(※)。

(※)民法415条でも「労働者の債務不履行が(中略)社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない」とされています。

不当に残業代を請求している

サボりなどの怠慢勤務で不当な残業代を請求することも、職務怠慢の一環です。

企業としても、職務怠慢の傾向があるのに「それを立証する方法がない」として諦めていることがほとんどです。しかしながら近年はデバイスの調査・分析を行うことで、業務態度に対する懲罰や指導が行いやすくなっています。

たとえば、残業の際に使っていたパソコンの利用履歴を調べたり、テレワーク時の位置情報を特定して「漫画喫茶に居座って数時間動いていない」などの事実を明らかにすることで、不当な残業代請求を阻止することが可能となっているわけです。

安易な解雇の危険性

「解雇相当」と認められるハードルは非常に高い

職務怠慢は、それ自体が就業規則違反として規定されている場合、債務不履行として論理的には「解雇事由」に該当します。しかし必ずしも、職務怠慢が「解雇相当の理由」として法的に認められるわけではありません。なぜなら労働法では、労働者の生存権が保障されており、労働者の権利保護という観点から、安易な解雇処分が原則的に認められないからです。

労働契約法の16条でも”解雇の社会的正当性”として「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」と定められています。つまり、法的に正当な手続きを踏まない懲戒解雇は、原則として無効になり、会社側は解雇したい労働者にも、賃金を支払い続ける保障義務が生じてしまいます。

無断欠勤などの素行不良に対して、いきなり解雇など重い処分を行うことは、解雇相当事由の「会社の規律と秩序を乱した」とは基本的に認められません。目に余る素行に対しては、あらかじめ「事前注意」→「戒告(=厳重注意)」→「譴(けん)責(=始末書処分)」などの軽い懲戒処分を行い、並行して怠慢調査と報告書の作成を行うことをお勧めします。

解雇が無効とされた場合のリスクもある

職務怠慢が度重なり改善されない為、懲戒解雇したところ、不当解雇として訴えられたという事例は数多くあります。労働者側にしてみても、正当な段階を踏まず、解雇宣告をいきなり受けた場合は納得がいかず、懲戒処分に対して不服な感情を与えてしまいます。

もっとも、前述したような手順を踏まえ「正当な解雇理由に値する怠慢証拠」を収集・調査しておけば、訴訟リスクが低減し、実際に訴訟を起こされたとしても、スムーズかつ適切な措置を取ることが可能です。

職務怠慢(サボり)の調査方法について

解雇の有効性が法的に争われる場合には、雇用者が労働者の職務怠慢を立証し、解雇事由に該当することを正当な手順で主張する必要があります。

職務怠慢の調査対象になるデータ

ここでは職務怠慢で調査すべきデータを紹介します。
職務怠慢の事実を調査する際、収集する資料としては主に次のものがあります。

■タイムカード(打刻申請表)
■注意指導文書・始末書
■懲戒処分通知書
■従業員のパソコン

これ以外にも、社員の不正をデジタル機器から確実に記録する製品を導入しておくこともおすすめです。たとえば社内PCの画面を全て録画し、職務怠慢の証拠をつかむ次のようなソフトウェアも存在します。

これらの資料やデジタル機器から、酌量の余地があるかを、数字で表せる「定量的なデータ」と、勤務態度など「定性的なデータ」の両方の側面から参照します。

◇定量的なデータ

業務に与えた悪影響
無断欠勤・遅刻回数
戒告や譴(けん)責の回数

◇定性的なデータ

無断欠勤・遅刻の動機
反省態度の有無
警告後の成績
過去の処分例や判例

フォレンジック調査を行う

コンプライアンス違反や従業員の社内不正を調査する手法として、もっとも有効なのが「フォレンジック調査」です。

フォレンジック調査とは、パソコンやスマートフォンの調査・解析を行い、端末内に残されたログから不正行為が行われていないかを調査する調査手法のことで、別名「デジタル鑑識」とも呼ばれます。

フォレンジック調査を行うと、たとえば以下のような調査を行うことができます

■Webブラウザの閲覧履歴の調査
■データの消去・改ざんの有無
■PCのON/OFFの履歴の調査

このようなフォレンジック調査では、第三者機関として調査専門のエンジニアが報告書を作成します。また、この報告書は裁判利用など法的な資料としても活用することも可能です。

なお、残業代の不当請求・職務怠慢といった労働問題において、事実を正確に把握することは非常に重要です(※)。なぜなら、証拠となるデジタルデータが上書き・消去などで改ざんされていることも多く、このような場合は高度なデータ復元作業が必要となるほか、担当者が不用意に操作を行ってしまうと、職務怠慢に関わるアクセスログなど、証拠となるデータが上書きされ、完全に失われてしまう恐れがあるからです。

(※)もし十分な証拠がなければ、第三者に事実を証明できず、法的な正当性も確保できないため、解雇が無効になる可能性が高くなります

このような事態を避け、最も安全かつ適切に証拠データを復元・調査するには、データから法的証拠を正しく収集、解析、報告できる「フォレンジック専門業者」まで相談・依頼しましょう。フォレンジック調査については下記の記事においても詳しく紹介しています。

フォレンジック調査
フォレンジック調査とは | その役割とメリット、活用事例、手順など徹底解説デジタルフォレンジックとは?メリット・活用例・実手順などを紹介。デジタルデータフォレンジック(DDF)では、デジタル機器から法的証拠を見つけ、裁判証拠として活用できます。当サービスはデータ復旧11年連続国内売上No.1、復旧ご相談件数約29万件、データ復旧率95.2%の実力を活かしたフォレンジックサービス。 ...

フォレンジック調査会社への相談方法

フォレンジック調査の流れ

デジタルデータフォレンジック(DDF)では、フォレンジック調査ならびにデータ復旧サービスで蓄積してきた豊富な経験と技術力をもとに、削除・破損したデータでも復元・修復して、証拠を確保することが可能です。
また、証拠利用の場合、法定資料としても活用できる報告書の作成も承っております。詳細については、まず専門アドバイザーにまでご相談ください。

フォレンジック調査会社へ相談・依頼する際は以下のような流れで行います。なお、当社では作業内容のご提案とお見積りのご提示まで無料でご案内しております。

社内でインシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うかまだ決定していない段階であっても、一度専門会社へ相談するのをおすすめします。なぜなら専門的なノウハウを持たない中で自社調査を行っても、信憑性が疑われやすく、正確な実態把握ができなかったり、証拠となるデータが故意に改ざん・削除されている可能性も想定されます。

調査の実施が未確定の場合であっても、今後のプロセス整理のためにもまずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。

\24時間365日 相談受付/

デジタルデータフォレンジックでは、国内売上シェアトップクラスのデータ復元技術を活用し、パソコンやスマートフォンに残されたログの調査やマルウェアの感染経路調査を行っています。また、ご相談件数は警察機関や法律事務所、官公庁、上場企業から個人のお客様まで1万4,000件以上を数えます。

お困りの際はデジタルデータフォレンジックまでご相談ください。なお、証拠利用の場合、法定資料としても活用できる報告書の作成も承っております。

 

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