残業代問題とは

未払い残業代の請求は、法律で認められた正当な権利

未払いの残業代を請求する場合、まずは「残業」について知っておくことが大切です。企業ごとに設けられた就業規則や雇用に関する契約書などがありますが、最大の根拠は労働基準法です。1日で8時間、1週間で40時間を超える労働をさせてはならない(労働基準法第32条)と定められています。つまり、この時間が法律上の労働時間と解されていて「法定労働時間」となっています。この法定労働時間を超えた労働時間が時間外労働とされ、法的に「残業」と位置付けることができます。細部は就業規則などを確認する必要があります。また、残業代を請求できる時効は2年と決められており、 原則としてそれ以前の未払い分は請求できません。さて、ここでは、近年に起きた問題をいくつか見ていきます。

CASE1

パソコンなどに残る、実際に働いた時間にずれ

西日本の鉄道会社は2018年3月、全社員の約4割にあたる約1万4200人に対して、未払いの残業代を支払うと発表しました。17年3月に大阪労働局天満労働基準監督署の是正勧告を受けて、その後の社内調査で発覚。自己申告などで会社が把握していた労働時間と、パソコンなどに残る実際に働いた時間にずれがあり、仕事でパソコンを使う約1万7700人に同社が聞き取り調査などをした結果、約80万1200時間分の未払いがあることが判明。最も額が多いのは、50代の駅助役の男性(約456万円分)のケースで、1192時間(月平均47時間)の残業が把握できていなかったそうです。

CASE2

裁量労働制を不正適用して、女性に違法残業を強いる

裁量労働制を社員に不正に適用して残業代を支払わなかったとして、建設事務所(東京)が中央労働基準監督署から是正勧告を受けました。申立人の20代の女性社員と、女性が入る社外の労働組合が記者会見して明かになりました。労組によると、女性は2015年4月に入社。実際に働いた時間に関わらずあらかじめ決めた「みなし労働時間」に基づき残業代込みの賃金を支払う裁量労働制を適用されました。みなし労働時間は1日8時間でしたが、残業が月80時間を超えることが大半だったそうです。中央労基署はこの協定に基づく同制度の適用は無効と判断。女性に違法な残業をさせ、残業代を支払わなかったとして是正勧告を行いました。労組によると、女性の未払い残業代は過去2年で約700万円。同社には同じ労使協定で裁量労働制を適用された社員が約80人いるそうです。

CASE3

書類送検された企業334件

共同通信によると、厚生労働省は平成29年5月10日、違法な長時間労働や労災事故につながる瑕疵、賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで書類送検された企業の社名を同省のホームページで公開。各労働局が発表した内容を一覧表にまとめ、一括して掲載しました。公表されたのは昨年以降、労働関係法令で書類送検した334件に関わる企業名。労働安全衛生法違反や最低賃金法違反に関わるケースが大半を占めましたが、労使協定(三六協定)で決めた延長時間を超えて従業員に残業や休日労働をさせたとする労働基準法違反容疑で送検されたケースもありました。