いじめとは

陰湿で巧妙。
表面化しにくいSNSいじめ

文部科学省が実施した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(平成25年度)によると、いじめの認知件数のうち、「いじめの態様」の区分で「パソコンや携帯電話等での誹謗中傷や嫌なことをされる」の件数は8,788件、「いじめ」の認知件数185,803件に占める割合は4.7%となっており、その件数は年々増えています。また、スマホ利用のうちSNSの使用率も90%以上という調査データが出ており、10代のほとんどがスマホでSNSを利用しているということになります。こうした状況に伴い「SNSいじめ」も増加しており、ある高校でのアンケート調査では、SNSを利用している生徒のうち、16%が「SNS外し」や「書き込みで嫌な思いをした」などのトラブルを経験したと答えています。しかし「SNSいじめ」はなかなか表面化しません。SNSの閉鎖性もありますが、子供たちにとってSNSのつながりは日常の当たり前のコミュニケーションになっており「ひとりぼっちになるより、ツラい思いをしてもみんなの中にいたい」という心情が働くことも多いそうです。さて、ここでは、近年に起きた事件をいくつか見ていきます。

遺族が要望を出さなければ、
無かったことに

2017年、北九州市の私立高校2年の女子生徒(当時16歳)が4月に自殺していたことが、学校への取材で判明。自殺前、無料通信アプリで同じクラスの女子生徒に「私に何かあったらあんたたちのせい」「後悔しても知らん」といったメッセージを送っており、学校は近く第三者委員会を設置していじめの有無を調査しました。女子生徒は同じクラスなどの3人の女子生徒と仲が良かったらしいですが、このうちメッセージを送った1人と昨年11月中旬ごろにトラブルとなり、関係が悪化していたそうです。学校は一部の生徒を対象にしたアンケート結果に基づき緊急保護者会などで「いじめはなかった」との認識を示しましたが、遺族の要望を受けて改めて全生徒対象のアンケートを実施。「終業式で写真を撮る時、わざと写らないようにされていた」といった情報が寄せられたといいます。

暴行の様子を動画で投稿

2016年、警視庁によると、14歳から19歳の少女3人は、2015年12月、池袋駅近くの公園に16歳の女子高校生を呼び出し、30分以上にわたって顔や腹を殴る蹴るなどしてケガをさせた疑いで逮捕されました。少女3人と被害者の女子高校生はSNSで知り合い、「池袋メンツ」というSNSグループを作っていましたが、1人が女子高校生と男性との交際を巡ってトラブルになり、暴行の様子を動画サイトに投稿していたそうです。調べに対し3人はいずれも容疑を認め、このうち14歳の女子中学生は「男友達のことでトラブルになり、腹が立って殴った」などと供述しているということで、警視庁がいきさつを調べています。

亡くなった後も終わらない
誹謗中傷

2016年、アメリカ在住の女性(18歳)が自らの命を絶ちました。彼女は生前、執拗なネットいじめの被害にあっていたそうで、彼女は家族の前で命を断つ直前に、家族に向けてこんなメールを送っていました。「みんなを愛してるわ、それだけはどうか覚えていて。こんなことになってしまった私を、どうか許して」と。メディアの報告によると、彼女の死後、誰かが彼女の名前でSNSのページを作成。最初にそれを見た人達は、彼女を悼むページだと思い、彼女への哀悼の意を寄せていましたが、数分でそれが一変。「ついに死んだのか」「弱虫め!」「もっと早く自殺してればよかったのに」という、悪質なコメントが次から次へと書き込まれていったそうです。さらに彼女の顔の部分に豚の顔をコラージュした画像を投稿した者もいたそうです。