最近、製品データの偽装が特に目立ってきています。こうした改ざんは、昔からありましたが、近年では安全性に対する基準や意識がかなり高まっており、より厳しく見られています。ひとたび製品データの改ざんが発覚すると、企業は、顧客や社会に対する説明責任、規制当局や監督官庁への対応、情報開示など、
文書や記録が本来なされるべきでない形式、内容などに変更されることを言い、故意や過失、悪意の有無を問いません。また、それを行った者を罰するために、法律で文書偽造の罪が定められており、1年~10年の懲役や最大20万円以下の罰金を科せられる場合がります。ここでは近年に起きた文書改ざんにかかわる事件をいくつか見ていきます。
学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が、不当に安く払い下げられたことが発端となった「森友問題」では、財務省理財局による決済文書改ざん問題も発生。財務省が国有地払い下げの経緯を記した文書を国会に提出した際、首相やその夫人の関与が疑われかねない記述を削除していたことを認めました。当時の理財局長が証人喚問され、交渉記録は残っていないと答弁しましたが、財務省は後日、改ざんの調査報告書を公表しました。
2016年夏頃、東京大学は研究不正の疑義があるという匿名の告発書を2回にわたって受けました。医学部の5人の教授、分子細胞生物学研究所の1人の教授が主宰する合わせて6つの研究室から出た計22本の論文に載っている図版に不自然な点があるということで、東大の科学研究行動規範委員会は外部有識者を含む2つの部局内調査班を立ち上げ、調査を行いました。その結果、論文5本から16項目を捏造または改ざんがあったとして認定しました。
2010年9月21日、大阪地方検察庁特別捜査部所属で、障がい者郵便制度悪用事件担当主任検事が、押収したフロッピーディスク(FD)のデータを改竄したとして、証拠隠滅の容疑で、さらに当時の上司であった大阪地検元特捜部長・元副部長らが検事の故意の証拠の改ざんを知りながら、これを隠したとして犯人隠避の容疑で、それぞれ逮捕されました。