横領着服とは

そもそも横領とはどんな犯罪か

企業の経理担当が立場を利用して会社のお金を私的に流用するなどといった「横領」のニュース。テレビや新聞などの報道で目にすることも珍しくありません。では、この横領とは一体どういう犯罪なのでしょうか。
横領罪とは「他人から委託を受けて預かっているものを自己の利益のために使ってしまう」 「自分のものにしてしまう行為」をいいます。横領罪が悪質なのは立場を利用して他人との約束や信頼関係を裏切るという点にあるのです。横領は冒頭の例のように特に企業では後を絶たない犯罪といえます。金銭面だけでなく結果的に信用問題にも発展するため、時には企業そのものの存続も脅かしてしまいかねません。

横領の種類、
どんなものがあるの?

横領には「単純横領罪」
「遺失物横領罪」「業務上横領罪」
の3種類があります

単純横領罪

他人から委託を受けて自分が占有している他人ものを横領する行為

遺失物横領罪

占有者の意思に基づかず、その占有を離れたものを、横領する行為

業務上横領罪

立場を利用し権限を越えて横領行為を反復的に行う行為

企業で仕事をする上で大きくかかわってくるのが、「業務上横領罪」です。業務上横領罪は「立場を利用し権限を越えて横領行為を反復的に行う行為」です。企業の持つ資産や売上金などを着服したり支払代金を水増し請求したりするなど、さまざまな手口が見られます。信用問題にかかわってくるため刑罰は「10年以下の懲役」となっており、他の横領罪よりも罪が重いのが特徴です。

近年に起きた事件

CASE1

執行役員が、請求書偽造で10億円着服

大手食品企業の子会社で執行役員だった男性が、約11年間で9億8千万円の金額を着服していました。この元役員の男性は、2004年6月から2015年3月までの間に、取引の請求書などを偽造して着服。その着服したお金を私的に流用していたと見られています。

CASE2

不正作成の小切手を使い、女性やギャンブルに24億円を貢ぐ

製紙会社の子会社に勤めていた総務部長が、2013年の2月から3月にかけて不正に作成した小切手を使用し、複数回にわたり会社の銀行口座から約6,600万円を横領したとされ、2016年6月1日に逮捕されました。この男性は、他にも、2000年4月から2015年4月までの間にも合計約24億7600万円をさまざまな手口で横領し、女性との交際費や競馬などのギャンブル、株などの投資に使ったと見られ捜査が行われています。

CASE3

資金送金時に一部を抜き取り、掛け金24億円を横領

県の建設業厚生年金基金の掛け金約24億円を、当時事務長であった男が横領しました。この事件で男性は、資金を送金する際に一部を抜き取るという手口で、44回にわたり、計約28億8000万円を抜き取っていました。2014年6月25日に行われた裁判では、業務上横領罪と収賄罪の最高刑である 懲役15年と追徴金430万円の判決が言い渡されています。

CASE4

4カ月に渡って、こっそりイベント費用を着服

県の男性職員(20代)がイベント関連費用など計約175万円を着服していたとして、県はこの職員を懲戒免職処分としたと発表。さらに、当時上司だった50代の男性管理職も、管理責任を問い訓告の懲戒処分としました。これは、男性が当時所属していた県情報政策課が実施した関連イベントで、約4カ月の間に行われた着服事件と見られています。