社内不正・労働問題

架空取引とは|手口や発覚した際の注意点/調査方法を徹底解説

近年、頻繁に発生する企業の不正や不祥事。企業では以前にも増してコンプライアンスの強化が求められるようになりました。これらの問題は一度でも発生すると、企業の社会的信用の失墜のみならず、企業の存続自体が危ぶまれるなど取り返しのつかない事態になりかねません。

この記事では、企業の不正取引である架空取引が手口や発覚した際の注意点、調査方法について解説します。

架空取引とは

架空取引とは、取引の実態や実効性がないにも関わらず、取引を行ったように見せかける会計処理のことを指します。

架空取引には次の2種類があります。

  • 当事者間で売買を往復させる循環(往復)取引
  • 取引の間に第三者を介入させる取引

多くの架空取引は後者にあたります。この場合は、第三者に手形払いなどの金融機能の役割を担わせ、最終的には第三者の不良債権が膨らむというケースが大半です。

架空取引の目的

架空取引は様々な目的をもって行われます。以下は代表的な目的として考えられるものです。

  • 信用度向上
  • 資金調達
  • 粉飾決算(ノルマ達成)
  • 利益圧縮
  • 金銭搾取目的
  • 礼金目的

架空取引の手口

架空取引では以下のような手口が用いられることが多いです。

  • 売上金の架空計上
  • 融通手形を振り出す
  • 業者間で同じ製品を繰り返し取引する
  • 製品を倉庫に隠し売上を立てる
  • 形式のみの業務委託契約を結ぶ

売上金の架空計上

売掛金の架空計上は行いやすく、その事実が明るみに出ることも少ないのが問題です。会社の規模が大きければ取引の数も比例して膨大になるため、数千万単位の取引の実態を一つずつ確認することは監査法人でも難しいとされ、架空売上の手続きは案外容易に行われてしまいます。

融通手形を振り出す

実際の商取引がないにも関わらず、資金調達のために振り出される手形のことを融通手形といいます。この手口は、資金繰りが苦しい企業同士が互いに融通手形を振り出し合い、金融機関で換金するか裏書きをして支払先に譲渡するなど、当座の運転資金の調達に使われるケースが大半です。

業者間で同じ製品を繰り返し取引する

仕入期と販売期のずれを埋めるため、業者が仕入れた商品を買い取り、一定期間経過後に売り戻す「預かり在庫取引」によって、同じ商品を業者間で繰り返し取引することを指します。仕入先では商品の在庫を抱えず、確実に販売できるというメリットがあり、業者間に貸し借りをする相補関係が生まれ、長期にわたって不正取引が継続されていることが多いです。

製品を倉庫に隠し売上を立てる

会計上では架空売上を立て、販売したはずの製品を外部倉庫などに隠し、在庫がバレないようにする手口です。在庫調整は自社で会計処理ができてしまうため、売上の水増しによく利用されます。この手口は、投資家からの出資を得るため、大手企業よりも、高い成長性を演出しようとするベンチャー企業に多いといわれています。

形式のみの業務委託契約を結ぶ

業務委託契約とは会社が外部の企業や個人に業務を委託する際に行う契約を指します。通常の請負契約は成果物と納期が決められており、発注者は成果物が期日通りに納品されれば請負人に請負額を支払います。しかし、業務委託契約は受けた側は労働力ではなく仕事の成果を提供するというものなので、不正が行われやすくなります。この手口はグループ会社同士で行われ、特に実態がない請負契約や委任契約をするIT業界で多く見られます。

架空取引の調査を行う際の注意点

調査の事実を知られないようにする

架空取引の調査を行う前提として、実態調査の過程では、不正に関与した疑いのある人物が不正に関わる証拠資料・データの廃棄や隠滅を行うリスクがあります。ですので、調査の事実を知られないように細心の注意を払う必要があります。同時に対象人物の行動も監視するのが賢明です。

仮に該当者に調査の事実を悟られ、証拠の破棄・隠蔽が行われた場合も、データ媒体であれば証拠が復元できる可能性が残っています。このような場合、データ復旧を専門としている業者であれば、データを復元することができます。

架空取引の調査方法

「架空取引」を証明するには、以下の手順に沿って適切な対処を行わなくてはなりません。

すでに証拠隠滅が図られ、社内調査ではデータ復元を含めた証拠獲得が困難という場合、調査会社に依頼することで架空取引の実態調査を委託できるため、まずは一度問い合わせてみることをおすすめします。

①証拠保全

証拠保全とは、証拠となりうる資料やデータが、改竄改ざん・隠蔽されないよう、「裁判で使う証拠をあらかじめ確保すること」を指します。データや資料をただコピーしただけでは、それ自体が改ざんされていると思われる可能性もあり、証拠に法的効力が認められない場合があります。

②書類・データの徹底的なチェック

次に、不正が疑われる帳票類(取引の配送伝票や請求書、出張申請書、会計伝票、納品書、入・出庫履歴、売掛金滞留明細等の関係帳票類など)やデータなどを徹底的にチェックし、不正の事実を明らかにします。

その後、在庫数量の不自然な増減がないか、サービス提供の有無など事実確認を十分に行い、不正につながる実態がないか、在庫・サービス提供の事実確認を行います。この際、証拠となる重要資料やデータが犯人によって改ざん・隠滅されないように安全な場所に移して保管するようにしましょう。

証拠となりうる書類やデータが膨大な場合や早急な調査を行わなくてはならない場合、個人や自社で行うのではなく、不正調査を専門としている会社への相談するのがおすすめです。

③関係者への聞き取り調査

状況を把握するために、不正に関与した疑いのある人物の関係部署や取引先などで聞き取り調査を実施します。これは、職場環境を把握することに加え、架空取引がなぜ起こったのかという原因を明らかにするために行われます。

④鑑識調査やPCのフォレンジック調査

不正取引の法的証拠を見つける場合、鑑識調査フォレンジック調査を行う必要があります。

鑑識調査とは通常、各都道府県の警察本部に所属している鑑識官によって行われます。鑑定調査を行うには、警察が事件・事故と判断しなければいけないため、被害届の提出・受理が必須となります。

またフォレンジック調査とは、パソコンやスマートフォンといった電子媒体に残されているデータや操作履歴等から必要な情報を抽出・解析し、不正の事実の有無を第三者機関として客観的に調査する手法のことです。フォレンジック調査の調査会社が作成した報告書は、法廷でも証拠として使用することができます。

フォレンジック調査会社への相談方法

フォレンジック調査の流れ

デジタルデータフォレンジック(DDF)では、フォレンジック調査ならびにデータ復旧サービスで蓄積してきた豊富な経験と技術力をもとに、削除・破損したデータでも復元・修復して、証拠を確保することが可能です。

また、証拠利用の場合、法定資料としても活用できる報告書の作成も承っております。詳細については、まず専門アドバイザーにまでご相談ください。

フォレンジック調査会社へ相談・依頼する際は以下のような流れで行います。なお、当社では作業内容のご提案とお見積りのご提示まで無料でご案内しております。

社内でインシデントが発生した際、フォレンジック調査を行うかまだ決定していない段階であっても、一度専門会社へ相談するのをおすすめします。なぜなら専門的なノウハウを持たない中で自社調査を行っても、信憑性が疑われやすく、正確な実態把握ができなかったり、証拠となるデータが故意に改ざん・削除されている可能性も想定されます。

調査の実施が未確定の場合であっても、今後のプロセス整理のためにもまずは実績のある専門会社へ相談することを推奨しています。

\24時間365日 相談受付/

デジタルデータフォレンジックでは、国内売上シェアトップクラスのデータ復元技術を活用し、PCやスマートフォンなど、デジタル端末に残されたログの調査やマルウェア感染の経路調査を行っています。また、ご相談件数は警察機関や法律事務所、官公庁、上場企業から個人のお客様まで32,377件以上を数えます。

お困りの際はデジタルデータフォレンジックまでご相談ください。なお、証拠利用の場合、法廷資料としても活用できる報告書の作成も承っております。

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